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金持ちの道楽に踊らされる若者はどこへたどりつくのか 映画「バーニング 劇場版」 #142

韓国ドラマや映画を観ていると、次々に実力のある若手が登場するので楽しみでなりません。わたしがずっと注目していたひとりが、ユ・アインです。 (画像はKMDbより) 2006年に「俺たちに明日はない」で映画デビュー。ドラマでは「トキメキ☆成均館スキャンダル」や「ファッション王」、「チャン・オクチョン-張禧嬪-」などで観ていましたが、一番よかったなーと思うのは「密会」です。年上の人妻に恋してしまう純粋で一途な天才ピアニスト役でした。 ドラマ「密会」#921   このドラマが放送されたのが2014年。そして翌年、彼にとって転機となる映画が公開されます。初の悪役を演じた「ベテラン」です。 「ベテラン」おしりペンペンされなかった悲劇がうむ喜劇 「ファン・ジョンミン主演映画にハズレなし!」と、観客からの信頼も厚い実力派俳優のファン・ジョンミン。中でも2015年に公開された「ベテラン」は、1300万人以上の観客を動員し、歴代5位につけています。 現在、Amazonプライムはじめ、Hulu、U-NEXTで配信されています。大笑いしながらスカッとするので、いま観るのがおすすめ。今回のコラムでは、この映画の魅力をお伝えします。   続いて出演した映画「王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間」で名優ソン・ガンホの演技にがっつり食らいつき、青龍映画賞の主演男優賞を受賞しました。 王位をかけた壮大な親子ゲンカ 映画「王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間」 #302   人気に実力がついてきたなーと実感する映画でしたね。2018年に公開された映画「バーニング」では、名匠イ・チャンドン監督の作品に出演。この映画は、2018年大鐘賞映画祭で最優秀作品賞を受賞、第71回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞しています。 ☆☆☆☆☆ 映画「バーニング 劇場版」 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> アルバイトで生計を立てるジョンスの夢は小説家。幼なじみのヘミと再会し、彼女がアフリカ旅行をする間、飼い猫の世話を頼まれます。旅行から戻ったヘミは、アフリカで知り合ったお金持ちの男ベンと一緒でした。ヘミに惹かれていたジュンスはかなりモヤモヤ。ある日ヘミが姿を消してしまいます。ジュンスは必死で彼女の行方を捜すのですが……。 原作は村上春樹の短編小説

校閲レディの仕事術 Part II・「読み方」について

突然ですが、こちらの文章を読んでみてください。 「こんにちは 皆さんお元気ですか? 私は元気です。」 と読んだ方、もう一度、一文字ずつ読んでみましょう。 「あれ? あぁぁ!」 と、なった方、これからご紹介する 「校正的読み方」 をぜひご覧ください。 決して、意地悪したわけではないですよ! 今日は校閲レディの仕事術 Part IIとして、文字の「読み方」について書いてみたいと思います。 Part Iはこちらから。 校閲レディの仕事術・校正ってどうやってやるの? Part I   「校正的読み方」:どう見るのか 上の文章をスルリと読めるのは、「Typoglycemia」という現象だそうです。 「Typoglycemia」とは、単語の最初と最後の文字が合っていれば、中の文字が入れ替わっても読めてしまう現象のこと。 ずいぶん前に話題になりましたよね。まだ日本語の名称はないそうですが、要するに、「そら目」しちゃうということかと思います。 デジタル世界では、「こんちには」と「こんにちは」はまったくの別物。読み間違いという現象は起きません。 それはそれでいいのですが、人間がそれをやると疲れてしまいます。だから、“だいたい”のところで“ふんわり”と把握する能力は、生きる知恵なのではないかとわたしは感じるのです。 この大雑把でゆる~い感じはO型人間にとって、とてもうれしい! 大好き! サイコー! なんですが。 校閲レディとして仕事をする時は、この技は使えません。 ダメ。絶対。 校正の読み方とは、こちらです。 1 字 ず つ つ ぶ す なぜ、「つぶす」と呼ぶのか? 理由はよく分かりませんが、色鉛筆でひと文字ずつマークしていくので、確かに「つぶしている感」はある気がします。 webの短い記事を校正する時は、色鉛筆を使いますが、書籍などの長い文章を校正する時は、使いません。たぶん、疲れちゃうからでしょうね。 Part I で書いたように、校正の作業の流れは下記のとおりです。 <校正の流れ> 1 情報確認 2 資料合わせ 3 素読み 4 整合性 5 ネガティブチェック そして、どの作業においても、 1 字 ず つ つ ぶ す のです。 大変でしょ?笑 でも、残念ながら、校正のすべては、このひと言に尽きるのです。 「校正的読み方」:何を見るのか 1字ずつマークするだけなら簡単なのですが、もち

校閲レディの仕事術・校正ってどうやってやるの? Part I

校閲レディで、社内研修機関の校長をしているmameと申します。 ひと頃、話題となった「校閲」という仕事ですが、ドラマのサブタイトルにもあるように、本当に「地味」です。いまどきそれ?感満載のアナログな仕事です。 ただ、この仕事をしていると、文章のチェック方法を知らないライターや編集者はけっこう多いのだなということに気づきます。だから「自分でも見直ししてね」と言っても、セルフチェックが機能しない。 そこで、文章校正のポイントをまとめてみました。自分で文章を書いている方、他の人が書いたものをチェックする立場にある方は、ぜひ参考にしてください。 「校正」と「校閲」 まず、「校正」と「校閲」って何が違うの?という点について。 区分けはいろいろとありますが、ひと言で言うなら「作業内容の違い」です。「校正」の方が範囲が広く、「校正」の中に「校閲」があると考えると分かりやすいと思います。 ドラマの影響もあって世間では「校閲」という言葉の方が知られているようなので、わたしもここでは「校閲レディ」と名乗っていますが、自分の仕事を説明する時には「校正」の方を使います。 「校閲」だと、仕事の一部しか指していないような気がしてしまうんですよね。 目的はどちらも同じ(というか、校正の中に校閲があるので)、 「情報を正しくすること」 です。 他人の文章の粗探しをして悦に入る……と、今でもそう思っている人がいるようですが、それは絶対絶対絶対違います。 ま、それについては別の機会に書くことにして、具体的な作業の流れを説明しましょう。 「校正」でやること <校正の流れ> 1 情報確認 2 資料合わせ 3 素読み 4 整合性 5 ネガティブチェック 重要なのは、上記の工程を 「ひとつずつ」やる ことです。 情報確認をしながら整合性を見ない、資料を引き合わせながら素読みしない、ということ。 なぜなら、人間はふたつ以上のことを同時に確実にやれるほど有能ではないからです。(わたしだけ?) 資料を見ながら表記のユレに気を取られてしまうと、肝心の引き合わせが疎かになります。曜日を確認する時もそれだけの工程を最初から最後まで通してやる。その方が確実です。絶対に。 分量にもよるので小説や論文などの長い文書だとやり方が異なりますが、ネット上の記事などの短い文書(3000〜5000字くらい)なら、上記の5つを押さえるだけ