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7月, 2021の投稿を表示しています

ドラマ「プロデューサー」#749

プロデューサーとディレクターって何が違うんだろう? 調べてみると、プロデューサーは「制作統括を担当する総責任者」、一方のディレクターは「制作現場の責任者」のようです。 日本ではドラマの制作責任者をディレクター、もしくは演出家と呼んでいますが、韓国では「監督」と呼んでいます。映画と同じ扱いなんですね。 「プロデューサー」というと、肩からセータを掛けている人っていうイメージが強いけど、実際の現場は泥臭く、ヘビーなんだなーと感じさせてくれたのが、コン・ヒョジンとキム・スヒョン主演のラブコメ「プロデューサー」でした。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「プロデューサー」 https://amzn.to/3BVKXyA ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 大学時代に憧れていた先輩を追いかけて、KBSのバラエティ局に就職したペク・スンチャン。初日から大失敗をして、上司に目を付けられてしまう。が、ある時、その上司の秘密を知ってしまい……。 韓国では2015年に放送されていたんですが、KBSのドラマ局ではなく、バラエティ局が企画したのだそう。「冬のソナタ」で世界中に韓流ブームを起こした監督がユン・ソクホ。その彼が、人気脚本家のパク・ジウンと組んだドラマということで、大いに話題になっていました。 おまけに、“ラブコメ女王”や“視聴率女王”という称号を持つコン・ヒョジンと、MBCのドラマ「太陽を抱く月」などで人気スターとなったキム・スヒョンの主演です。期待はどんどんふくらむばかり……。 ところが第1話の評判が芳しくなく、監督が交代。ラブコメ路線に話を大きく振り、最終的には視聴率20%超えに育てています。 せつない……。 とはいえ、K-POPアイドルや大物俳優がカメオ出演しているし、実在の番組は出てくるし、なんだかお得感あふれるドラマです。 たとえば、少女時代のユニットテティソ(テヨン、ティファニー、ソヒョン)や、BLACKPINKのジス、イ・スンギ。 「ミナリ」 のユン・ヨジョン、 「SEOBOK ソボク」 のパク・ボゴム。 テレビ局が舞台なので、すごい顔ぶれがそろっています。 そんな中で、IUことイ・ジウンは、ポーカーフェイスでワガママ放題の人気歌手シンディを演じています。彼女の面倒をみることになった新人プロデューサーのキム・スヒョンが、大いに振り回されてしまう。 (画像はAmazonより) キム・スヒョン演

ドラマ「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」#748

韓国で「国民の妹」と呼ばれるほど大人気の歌手IUは、俳優として活動する時は、本名の「イ・ジウン」を使っています。 2011年にドラマ「ドリームハイ」で俳優デビューして以降、コンスタントに活動を続けていますが、「2018 APAN STAR AWARDS」の中編ドラマ部門で最優秀演技賞を受賞し、その実力を知らしめたドラマが「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」でした。 現在、Netflixで配信されています。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」 https://www.netflix.com/title/80214406 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 建設会社で働くドンフンに、差出人不明の5000万ウォンの商品券が届く。思わず受け取ってしまう姿を、派遣社員のジアンが目撃。監査部の調査を受けることになってしまう。ドンフンの妻は、ドンフンの会社の社長と不倫しており、これに気付いたジアンは、邪魔者を追い出してあげるとお金を要求。ドンフンの盗聴を始めるが……。 実は、第1話があまりにも暗くてドン底だったから、一度離脱していました。でも、「いいドラマだよー」という声をあちこちで聞いたので、再度挑戦。IUことイ・ジウンが笑顔を見せるのは、3回くらいしかありません。 イ・ジウン演じる「イ・ジアン」は、悲惨のひと言しかない境遇です。母の借金を抱え、障がいのある祖母の介護をし、いくつもの仕事を掛け持ちする生活。 仏頂面でニコリともしないし、借金取りにボコボコにされている様子は、まさにあれですよ……。 『ナニワ金融道』!!! (画像はAmazonより) そんなジアンの境遇を知り、手を差し伸べるパク家の次男坊・ドンフンは、イ・ソンギュンが演じています。「パラサイト 半地下の家族」で、お金持ちの“キム社長”を演じた、ナイスボイスな俳優です。 (画像はKMDbより) 主演はこのふたりなのですが、ドラマの主人公は「町」だといえます。古い建物が多く残る後渓(フゲ)という町が舞台で、むかしからずーーーっとここに暮らしている人たちの、濃密な人情がみどころ。 韓国ドラマは親子関係や、親戚との関係が近く、よく言えば「情が濃い」、平たく言えば「おせっかい」な印象を受けることが多いんですよね。 なのに「マイ・ディア・ミスター」は、その100倍は濃い!! 象徴的な出来事が、ドンフンが殴

映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」#747

2008年に15歳という年齢でデビューしたIUは、「国民の妹」と呼ばれるほど、絶大な人気を集める歌手です。2011年には日本にも進出。かわいらしいルックスからは想像もつかないほど、パワフルな歌声を披露していました。 同じ2011年、芸能高校を舞台にしたドラマ「ドリームハイ」で俳優としてもデビュー。 J.Y.Parkが俳優として初出演。恋と嫉妬は芸に活きる!? ドラマ「ドリームハイ」 #385   でも、その姿がですね……。 え!? これは誰???と思うほどのバケっぷりなんですよね。 (画像はclienより) 演技の方もまだまだ固く、ぶっちゃけ、歌のシーンだけがリアルに感じられるドラマでした。 このイメージが強かったため、長らく「IU出演」という言葉に引かれなかったくらいでした……。 ただ、シンガーソングライターとしても活動するくらいなので、表現者としての才能は確かなもの。映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」は、そんなIUの魅力を4人の監督が切り取ったオムニバスです。 ☆☆☆☆☆ 映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」 https://www.netflix.com/title/81044884 ☆☆☆☆☆ IUは、歌手として活動する時は「IU」、俳優として出演する時は本名の「イ・ジウン」を使っています。だから映画のクレジットも「イ・ジウン」になっています。 4つの短編で構成されている「ペルソナ」は、そんな「イ・ジウン」にさまざまな仮面を被せてみた、という趣向。勝ち気で無邪気、悪女で純粋という、相反する姿を見せてくれています。 映画のあらすじは、こちら。 1. ラブセット:イ・ギョンミ監督 父が新しい彼女とテニスを楽しむ様子を見つめるイ・ジウン。彼女が気に入らないイ・ジウンは、対戦をすることにするが……。 2. コレクター:イム・ピルソン監督 年下の彼女(イ・ジウン)に夢中なジョンウだが、どうやら彼女の気持ちは冷めているよう。久しぶりにデートをするが、すれ違いから妄想が広がり……。 3. キスの罪:ジョン・ゴウン監督 女子高生のハンナ(イ・ジウン)は、同級生の家を訪ねるも、父親に追い返されてしまう。どうにか会えた友人の首筋には、たくさんのアザがあり……。 4. 夜の散歩:キム・ジョングァン監督 恋人と夜道を散歩しながら、思い出話をするイ・ジウン。しかし、彼女は亡くなった

映画「ブラック・ウィドウ」#746

かつて吉田沙保里さんは「霊長類最強 女子 」と呼ばれていましたが、現在「霊長類最強 兄妹 」といえば、間違いなく阿部一二三さんと詩さんでしょう。 兄妹で同日に金メダルを獲得したのは、日本柔道史で初の快挙なのだそうです。 柔道、阿部兄妹が金メダル 兄妹Vは日本初   でも、「霊長類最強 姉妹 」となれば、ナターシャ&エレーナ姉妹だと思う。スカーレット・ヨハンソンが演じるブラック・ウィドウのラスト演技となった映画「ブラック・ウィドウ」は、美しくも哀しい、憎しみと慈しみのこもったストーリーでした。 ☆☆☆☆☆ 映画「ブラック・ウィドウ」 https://marvel.disney.co.jp/movie/blackwidow.html ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 逃亡生活を送るブラック・ウィドウのもとに、“妹”エレーナからのメッセージが届く。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織「レッドルーム」の秘密を知ったことで命を狙われることに。ふたりはかつて家族として暮らした“偽りの両親”を尋ねることにするが……。 2010年に公開された「アイアンマン2」で登場し、2019年の「アベンジャーズ/エンドゲーム」まで、孤高の暗殺者ブラック・ウィドウを演じたスカーレット・ヨハンソン。 シリーズが23本もあるので混乱しますが、今回公開された「ブラック・ウィドウ」は、2016年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」の後の世界です。 アベンジャーズシリーズを整理すると、こんな感じ。 1:「アイアンマン」2008年 2:「インクレディブル・ハルク」2008年 3:「アイアンマン2」2010年 4:「マイティ・ソー」2011年 5:「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」2011年 6:「アベンジャーズ」2012年 7:「アイアンマン3」2013年 8:「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」2013年 9:「キャプテンアメリカ/ウィンター・ソルジャー」2014年 10:「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」2014年 11:「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」2015年 12:「アントマン」2015年 13:「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」2016年 14:「ドクター・ストレンジ」2016年 15:「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」2017年 16

映画「サムジンカンパニー1995」#745

先日、日本で公開された映画「サムジンカンパニー1995」は、清々しく、気持ちのいい「女同士の連帯」を見た!と感じられた映画でした。 高卒女子というだけで、サポート仕事ばかりさせられている、“ちっぽけな”女性たちが、会社の不正に立ち向かう物語。舞台が1995年なので、メイクやファッションにもレトロ感が漂っていて、かわいい。ドラマにも増えているこの雰囲気は、韓国のブームなのでしょうね。 ☆☆☆☆☆ 映画「サムジンカンパニー1995」 https://samjincompany1995.com/ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 大企業サムジン電子に勤める高卒の女性社員たちは、すぐれた実務能力を持っていても、任されるのはお茶くみや書類整理など大卒社員のサポートばかり。そこへ、会社の新たな方針が発表され、TOEIC600点を超えたら「代理」という肩書を与えられることに。英語の勉強に励む女性社員のひとり、ジャヨンは、会社の工場から汚染水が川に流出しているのを目撃する。しかも、その証拠を会社は隠ぺいしようとしていた……。 原題は「サムジン・グループ 英語TOEICクラス」で、「I can do it! You can do it! We can do it!」が映画のテーマになっています。 まぁ、3か月後のTOEICで600点とれたら役職をつけてやる、という会社の提案が、高卒女子たちの境遇を表しているようなもの。人事考課自体から外され、任されるのは雑務だけ。見えないところでアイディア出しのサポートをしたり、資料のありかをすべて把握したりしているので、彼女たちがいなければ、ぶっちゃけ仕事がまわらないんですけどね。 頭は切れるし、実務能力も高いけれど、学歴が「ガラスの天井」になっていたのでした。 ただ、TOEICの点数を重視する大企業は、1997年のIMF危機以降に増えたそうで、1995年当時では試験自体があまりなじみのないものだったのだとか。 うれしそうにカタコトの英語を話し、でも現実にがっかりしているサムジンカンパニーの女性メンバーたち。ジャヨン、ユナ、ボラムの仲良し3人組が中心となって話が進んでいきます。 (画像は映画.comより) 上の画像の中央がジャヨン。手に持った本には「基礎TOEIC問題集」と書かれています。自分のキャリアを変えられるかもしれないチャンスを、心から信じているん

『魯肉飯のさえずり』#744

最近では日本でも見かけるようになった「魯肉飯」は、台湾の庶民フードです。甘辛く煮込んだ豚肉をご飯にのっけた丼で、わたしもよくデリバリーしています。 醤油ベースの味付けですが、味の決め手になっているのは香辛料。特に、八角の味と香りが強いんですよね。 んん~台湾! そう感じるその味を、自分のアイデンティティとして認められるようになるまでの痛みを描いた小説が、温又柔さんの『魯肉飯のさえずり』です。 ☆☆☆☆☆ 『魯肉飯のさえずり』 https://amzn.to/3eVAyZX ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 就活に失敗し、逃げるように結婚を選んだ桃嘉。だが、少しずつ夫との生活にズレが生じてしまう。台湾人の母・雪穂は、なにも言わない娘が心配でならない。日本人の夫と出会い、結婚して日本にやって来たものの、日本語が上手ではないため、思いを十分に伝えることができないでいた。夫とケンカをした桃嘉は、友人に誘われ、台湾の親戚宅を訪れることになり……。 「魯肉飯」は、お店のメニューには「ルーローファン」と表記されていることが多いのですが、これは中国語の読み方。台湾語では「ロバプン」というのだそうです。 タイトルに現われているように、日本語も、中国語と台湾語も、チャンポンになって出てきて、いくつもの文化が折り重なる、風味豊かなお話。でも、序盤は痛みが重なって胸をえぐられるようでした。 「理想的な夫」と結婚したものの、自分の気持ちを正直に言うことができない桃嘉。夫の両親やきょうだいたちも、気を使っているようでいて無神経やろと感じる発言をしています。その中で、孤独を深めてしまうんです。 台湾から日本へやって来て、慣れない環境で子育てをする母・雪穂の孤独も深い。 父の茂吉は、台湾で仕事をしている時に雪穂と出会い、結婚することになりました。初めて家にあいさつに行った時、雪穂の母が作ってくれた魯肉飯を三杯も食べたという人物です。 雪穂にとっては「おふくろの味」である台湾フードを、思春期の桃嘉に拒絶され、傷つく雪穂。 妻となった桃嘉もまた、夫に台湾フードを作って「もっとふつうのご飯がいいな」と言われてしまう。 そんな「魯肉飯」というソウルフードを軸にした、ルーツをたどる旅の小説ともいえます。 小学校の高学年から中学生って、誰かと「同じ」であることに一番敏感になる時かもしれません。少しでも「違う」ことに、

『三体』#743

現代中国最大のヒット作と呼ばれる小説が、劉慈欣さんの『三体』です。 おもしろいと噂に聞いていたものの、分厚さにひるんでいました。だって第1巻は1冊ですが、第2巻の『三体II 黒暗森林』と第3巻の『三体III 死神永生』は上下巻なんです。この沼に落ちたら、寝不足必至やな……。 そう思っていたので、なかなか手が出なかったのに。考え事をしていて眠れなくなった夜、ついにページを開いてしまいました。 この展開だと、夢中になって朝まで読んだ、となりそうでしょう? いやー、訳が分からなくて。SF小説という程度しか知らなかったから、父親が無残に処刑される冒頭シーンから、殴られたような衝撃を受けました。 SF的展開は、いったいいつから始まるの? そうして1巻を読み続け……。半分を過ぎた頃、やっと! やっと! おもしろくなってまいりました。「スケールが大きい」と言われる意味も、やっと分かった。大きすぎて全体像をつかむことができなかったんですね。たぶん。 ☆☆☆☆☆ 『三体』 https://amzn.to/3rtMO92 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 1967年、文化大革命の粛正によって、物理学者の父を惨殺された少女・葉文潔。反乱分子の扱いを受けてきた文潔は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える軍事基地で仕事をすることに。 数十年後、ナノテク素材の研究者・汪淼は、ある会議で世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。謎の学術団体「科学フロンティア」への潜入を引き受けるが、怪現象に襲われてパニックに。知り合いの科学者に教わったVRゲーム「三体」にログインした汪淼は、三つの太陽を持つ世界を体験することになり……。 1966年から1976年まで続いた文化大革命は、知識人、旧地主の子孫などを「反革命分子」とし、迫害した政治闘争です。 エリート教育を完全否定したことに加えて、「知識青年上山下郷運動」が展開されたことで、都会の知識人ほど、辺鄙な村に送られることになったのだそう。 小説の冒頭で行われる暴行シーンも、めちゃくちゃリアルです。実在の知識人の名前も登場するので、どこまでが史実で、どこからが創作なのかと思ってしまいます。 SF小説と聞いていたけど、歴史小説だったのかしら……と感じるころ、物語は現代へ。主人公はエリート科学者の汪淼です。 怪現象に襲われ、エラそうな刑事につきまとわれ、殺人事

『ネットと愛国』#742

「朝鮮人は嫌いだけど、ちゅうさんは好きだ」 崔洋一監督の「月はどっちに出ている」。タクシーの運転手をしている在日朝鮮人の青年に対し、同僚がつぶやくセリフは、いまも心に残っています。 「○○人だから」的な言い回しは、よく耳にしますよね。その人が国を代表しているわけでもないのに。 個人としての「人」をみないで、「属性」でもって攻撃する行為、特に韓国や中国に対する悪質なデモは、2011年頃から激しくなりました。 耳を覆いたくなるような言葉で罵る様子を、「ヘイトスピーチ」として紹介したのは、安田浩一さんの『ネットと愛国』がきっかけだそうです。 ☆☆☆☆☆ 『ネットと愛国』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 本は、「在日特権を許さない市民の会(略称:在特会)」の設立から、参加者へのインタビューなどを元に、在特会の実態に迫ったルポルタージュです。 初代会長である桜井誠氏(本名:高田誠)の故郷、北九州の炭鉱町から始まります。子どものころは目立たない少年だったそうですが、一時は「ネット右翼のカリスマ」と呼ばれていました。 彼に大きな影響を与えたといわれる西村修平氏のコメントに、映画「月はどっちに出ている」を思わせるものがありました。 「主権回復を目指す会」という右派系団体のリーダーをしていた西村氏。街頭演説では激しく中国人や韓国人を攻撃しているのに、食事に訪れた中華料理屋さんの中国人女性にはいたわりの言葉をかけているのです。 「体調はどう? 無理して働くなよ」 彼の中でどういう線引きがあるんだろう……。分からん。 そんな西村氏は、多くの活動家にとって「学校」のような存在だったそうで、桜井氏の街宣テクニックも西村氏から学んだものとのこと。 ただ。 在特会のメンバーの場合は、たとえば外国人の店員に対する対応が違います。政治的な問題をふっかけてつるし上げ、ブログで発表していたというのですから、タチが悪い。 西村氏からは、罵声を発することが運動の目的になっており、ビジョンも覚悟もなく、知識も教養もないとバッサリ評されています。 そんな在特会のメンバーは、安田さんのインタビューに対して、積極的に答えてくれる人もいれば、敵とみなして門前払いをした人もいます。 コメントでよく挙がっているのが、「ネットで真実を知った」という言葉です。 見たいものだけ見て、知りたいことだけ知った気になる。そんな情報リ

『ヘイトをとめるレッスン』#741

「あの人たちはなんなの!? 人間じゃないでしょ……」 いまから10年近く前のこと。東新宿に住んでいた友人は、新大久保へと買い物に出かけ、在特会(在日特権を許さない市民の会)のデモ、というか、集団に出会ってしまったのでした。 あり得ないような言葉で、外国人を罵る集団。 この数日前、池袋で同じような光景を目にして、熱を出してしまったわたしのことを、友人は「繊細だねー」と笑っていたのですけど。いざ、自分が会った時には、吐いてしまったのだとか。 なにより怖かったのは、そんな光景が自分のすぐ近くに、日常の中にあることでした。 2011年8月ごろから、フジテレビに対して反韓デモが行われるようになり、9月には規模が拡大。ちょうど番組の改編期だったせいか、秋クールからはどの局も韓流ドラマの放送を中止にしました。当時わたしが仕事を請けていた字幕制作会社は、仕事の6割が消滅し、社長はいろいろな整理に追われていたっけな。 すっかりヒマ人となってしまったわたしは、池袋の映画館に行く途中で、在特会の集団に出くわしたのでした。 書くのもためらわれるほどの、侮辱と侮蔑の言葉。憎悪という感情を、これほどまでに“堂々と”まき散らしている人を初めて見ました。 3日ほど寝込んでいるうちに、どんどんと気持ち悪さが増していきました。知性とか、気品とか、恥じらいとか、わたしが今まで大事にしていたものが全部吹っ飛んだ。 こうしたマイノリティに対する“攻撃”を、韓国の淑明女子大学法学部教授のホン・ソンスさんは、「ヘイト」と定義しています。 “ヘイト表現とは「マイノリティに対する偏見、または差別を拡散させたり、助長する行為、あるいは個人、集団に対して彼らがマイノリティとしての属性をもっているという理由で蔑視・侮辱・威嚇したり、彼らに対する差別、敵意、暴力を扇動する表現」と、その概念を定義することができる。” ☆☆☆☆☆ 『ヘイトをとめるレッスン』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ この本自体は、韓国での状況を書いたものですが、読みながら日本のことなんでは!?と、感じる内容です。 韓国では、2004 年に「外国人勤労者雇用許可法」、そして2007年に移民受入の基本法である「在韓外国人処遇基本法」が施行され、移民国家へと舵を切りました。 でも、外国人労働者と移民を隣人とみなしたくないと考えている人は、なんと31.8%もい

映画「ガール・コップス」#740

韓国コンテンツを支える名バイプレーヤーたちには、大好きな俳優がいっぱいです。“おじさん”俳優の層の厚さこそ、おもしろさの指標といえるかもしれません。でも、女性陣だって負けてない。 パク・チャヌク監督の「親切なクムジャさん」、ユン・ジェギュン監督の「国際市場で逢いましょう」で、味のある演技をみせてくれたラ・ミラン。 「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」 のクソババアから、映画 「82年生まれ、キム・ジヨン」 で見知らぬ高校生を助けるおばさんまで、幅広い演技をみせるヨム・ヘラン。 こんな、名バイプレーヤーが“主役”となって、大暴れするコメディ映画が「ガール・コップス」です。 ☆☆☆☆☆ 映画「ガール・コップス」 https://amzn.to/36QZQDW ☆☆☆☆☆ <あらすじ> かつて女性機動隊で活躍していた伝説の刑事・ミヨンは、結婚出産後、苦情センターに異動させられる。そこへ、義妹で熱血刑事のジヘが異動してくることに。ある日、一人の女性から相談を受けるふたり。アダルト動画サイトに動画を拡散されると脅されていたのだ。期限は48時間。相性最悪のミヨンとジヘは非公式捜査を開始するが……。 “大暴れ”と書きましたが、フェミニズム文脈に照らすと、なんともビミョーに感じる映画ではありました。理由はふたつ。 「女性も男性と同様に○○できる」 これは当然のことだと思うんです。だけど、 「女性が男性と同様の○○をする」 となると、ちょっとそれは違うんじゃないか。 刑事ものなので、アクションと切り離せないのは仕方がない。でも、女性刑事が男性のように闘わなくてもいいんじゃないか。それでなくても女性は、産休・育休を経て閑職にまわされるという「システム」と闘っているのだから……。 (画像はKMDbより) そして、どちらかの優秀性を語るために、どちらかの性を貶めることはないのではないか、と思うのですよね。 映画に登場する「男性」は、ことごとくマヌケで、能なしで、情けない人ばかり。それが笑いを生むようにしたのだと思いますが、逆にムグムグとなりました。 「最も卑劣で、汚らしくて、醜悪な犯罪を、せいせいした気分がするように解決する愉快な映画を作りたかった」 制作意図についてこう語るジョン・ダウォン監督。調べてみたら男性だったので、正直、ちょっと意外でした。 派手目のアクションに挑戦するのは、ラ・

映画「SEOBOK ソボク」#739

今度のコン・ユが守るのは、人類初のクローン人間! 余命わずかな元情報局員と、永遠の命をもつクローンの青年による逃避行。ド派手なカーチェイスに、作り込まれた実験室。 素材はハイテクなんだけれど、いつもの韓流メロドラマ感あふれる展開が待っているのですが。“永遠の命”を持つことは、はたして幸せなことなのかと、メーテルみたいなことを考えてしまいました。 コン・ユとパク・ボゴム主演の映画「SEOBOK ソボク」は、命を巡る哲学的な物語です。 ☆☆☆☆☆ 映画「SEOBOK ソボク」 http://seobok.jp/ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 余命宣告を受けた元情報局員の男ギホンは、人類初のクローン、ソボクの護衛を命じられる。任務早々、何者かの襲撃を受け、逃げ惑うふたり。衝突を繰り返しながら、徐々に心を通わせていくが……。 「ソボク」は漢字で書くと「徐福」となります。史上初の中国統一を果たしたのが、秦の始皇帝。彼に仕えた学者の名前です。始皇帝は、あらゆる権力と富を手にしたものの、死だけは避けては通れません。そこで徐福は不老不死の霊薬を探して東方に船出し、そのまま戻らなかったのだそう。 徐福は日本に渡来していたそうで、佐賀県には徐福を祀る「金立神社」という神社もありました。 金立神社上宮 観光情報   秦の始皇帝が車椅子を使っていた、という事実があれば、映画のストーリー的におもしろいなーと思ったのですが、そんなことはなかったようで、残念。 現代の科学をもって誕生した「ソボク」は、不老不死の能力を持つことに。でも中身は10歳の少年で、パク・ボゴムが純粋さと残酷さを併せ持つクローンを演じています。 ビオトープのような場所で純粋培養されていたソボク。 (画像は映画.comより) 謎の襲撃者から逃げるため、より目立たない格好をと、ギホンに服を買ってもらいます。でも、なんでそれを選ぶ!?というセンス!! (画像は映画.comより) 初めて外に出て、普通の人間と接して、インスタントラーメンを食べて。ソボクが求めていたのは、人のぬくもりだったのではと思わせるチョイスです。「僕には行くところがない」とつぶやく姿は、とても愛らしくて、思わず抱きしめたくなりました。 そんなソボクを“守る”役割を担うギホンは、常に全力投球のコン・ユが演じています。 (画像は映画.comより) 「なんで僕を守るんです

ドラマ「ホント無理だから」#738

いまの寄宿舎って、こんなにコジャレているのか!!! 6月にNetflixで配信が始まったドラマ「ホント無理だから」は、大学の国際学生寮が舞台のシチュエーションコメディです。 世界中から集まった留学生が暮らす寮。文化の違いや恋愛など、お決まりの青春ネタを盛り込みつつ、自虐ネタも満載で、気軽に楽しめるドラマでした。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「ホント無理だから」 https://www.netflix.com/title/81194153 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> テハン国際学生寮でチューターをしているパク・セワンは、トラブルを解消する代わりに寮生たちから料金を徴収していた。アメリカからやってきたジェイミーに携帯を壊され、弁償させようとするが……。 登場人物が多いので、まとめてみました。 とにかくお金がない苦学生のセワン役は、パク・セワン。 出生の秘密を抱える、謎のアメリカ人ジェイミー役は、シン・ヒョンスン。 オーストラリアからやって来たほら吹きのヨンジェは、アイドルグループGOT7のメインボーカル・ヨンジェが演じています。 韓国人の母とナイジェリア人の父を持つヒョンミンは、往復5時間の通学に耐えかねて、寮に潜り込んでしまうという学生。演じるハン・ヒョンミンは、モデルとタレントとして活躍中の人だそう。 ここまでは、韓国にルーツのある学生たち。 アメリカからやって来たカーソンは、口が悪く、大食いという迫力満点な学生です。 タイ人のミンニは、韓国ドラマ大好きという設定で、このドラマで演技に初挑戦しています。 スウェーデン人のハンスは、ゴリゴリの原理原則信者。おかげで巻き起こるドタバタが笑いを誘います。 トリニダード・ドバゴ人のテリスは、モテモテの男です。 シットコムなので、もちろん笑えるシーンがたくさん。でも、そのネタが。 北朝鮮がミサイル発射というニュースを見て、慌てる人、慌てない人がいて、もはや日常と化していることが分かったり。 セワンとジェイミーが怪しい……と感じたミンニは、すぐに病院に行くようにアドバイス。 なぜ? 不治の病か、生き別れの兄妹かもしれないから!!! なんていう、韓流ドラマあるあるなパターンがあったり……。ほぼ「自虐」。 そんなお笑いパートもよかったけれど、N放世代の悲劇や、親の因果に苦しむ子ども側の本音など、社会的なテーマも取り上げられています。その辺りが、

ドラマ「ボイス~112の奇跡~」#737

財閥と公権力の癒着は、韓国ドラマの定番テーマといえます。 呆れるほどの手口が披露?されたり、スルリスルリと法の網をすり抜けたり。 そんな悪党どもに対して、法律ではなく私的に復讐するドラマや映画を韓国では「サイダー」と呼ぶそうです。プッハーとスカッとするってことですね。 それくらい、闇が深いのだともいえますし、庶民の権力への絶望感が強いともいえそう。 ソン・ジュンギ主演のドラマ「ヴィンチェンツォ」の最終回なんて、サイダー感特盛でしたもんね。自分で「オレは悪党だから」と言わなきゃいけないのって、どうよ?とは思いましたが……。 ドラマ「ヴィンチェンツォ」#667   数あるサイダードラマの中でも、歴代最高に残酷なエンディングと呼ばれたドラマが、韓国では2017年に放送された「ボイス~112の奇跡~」だそう。現在、Netflixなどで配信されています。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「ボイス~112の奇跡~」 https://www.netflix.com/title/80987095 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> ソンウン地方警察の刑事ジニョクは、妻が殺される直前、112通報センターに助けを求めていたことを知る。容疑者が逮捕されるが、通報センターのグォンジュが声が違うと証言したため、釈放されてしまう。しかしグォンジュの父もまた、同じ日に殺されていた……。 シーズン1は、112通報センターに「ゴールデンタイム」チームが作られるところから始まります。「112番」は、日本の「110番」にあたります。 韓国に旅行する際、覚えておくといい電話番号はふたつ。 119番:消防と救急 112番:警察署 「110番」は現在、虐待相談に使われているのだそう。 イタズラ電話も多い通報センターが舞台とは、斬新というか、地味目の設定かと思いきや、バリバリの血みどろでした……。 残虐な方法で妻を殺され、自暴自棄になった刑事ジニョクを、チャン・ヒョクが演じています。 (画像はNetflixより) “初めての”刑事役という紹介を読んで、そうだっけ?と思ったくらい、なにかを「探っている」役柄が多かったように思います。 「根の深い木」は、時代劇だから“刑事”にカウントされないのかしら。 ハングル創製をめぐるミステリー ドラマ「根の深い木」 #424   ゴールデンタイムチームを立ち上げ、112申告センターを組織する司令塔カ