2008年に15歳という年齢でデビューしたIUは、「国民の妹」と呼ばれるほど、絶大な人気を集める歌手です。2011年には日本にも進出。かわいらしいルックスからは想像もつかないほど、パワフルな歌声を披露していました。
同じ2011年、芸能高校を舞台にしたドラマ「ドリームハイ」で俳優としてもデビュー。
でも、その姿がですね……。
え!? これは誰???と思うほどのバケっぷりなんですよね。
(画像はclienより)
演技の方もまだまだ固く、ぶっちゃけ、歌のシーンだけがリアルに感じられるドラマでした。
このイメージが強かったため、長らく「IU出演」という言葉に引かれなかったくらいでした……。
ただ、シンガーソングライターとしても活動するくらいなので、表現者としての才能は確かなもの。映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」は、そんなIUの魅力を4人の監督が切り取ったオムニバスです。
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映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」
https://www.netflix.com/title/81044884
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IUは、歌手として活動する時は「IU」、俳優として出演する時は本名の「イ・ジウン」を使っています。だから映画のクレジットも「イ・ジウン」になっています。
4つの短編で構成されている「ペルソナ」は、そんな「イ・ジウン」にさまざまな仮面を被せてみた、という趣向。勝ち気で無邪気、悪女で純粋という、相反する姿を見せてくれています。
映画のあらすじは、こちら。
父が新しい彼女とテニスを楽しむ様子を見つめるイ・ジウン。彼女が気に入らないイ・ジウンは、対戦をすることにするが……。
年下の彼女(イ・ジウン)に夢中なジョンウだが、どうやら彼女の気持ちは冷めているよう。久しぶりにデートをするが、すれ違いから妄想が広がり……。
女子高生のハンナ(イ・ジウン)は、同級生の家を訪ねるも、父親に追い返されてしまう。どうにか会えた友人の首筋には、たくさんのアザがあり……。
恋人と夜道を散歩しながら、思い出話をするイ・ジウン。しかし、彼女は亡くなったばかりだった……。
それぞれの短編に、ペ・ドゥナやパク・シフら、“大物”俳優も出演しています。けど、この映画は、ひたすらIUのために作られたものといえるでしょう。エロチックなカットも、白黒の幻想的な映像も、すべての演出がIUの魅力を引き立てています。
1話目の「ラブセット」のイ・ギョンミ監督は、チョン・ユミ主演のファンタジー映画「保健室のアン・ウニョン先生」の監督でもあります。味わいがずいぶん違うので、おお、こういう目線もいけるのか!と感じました。
2話目と4話目は、ちょっと「世にも奇妙な物語」的な展開。めちゃくちゃシュールなストーリーです。
2話目では、パク・シフがいい感じに転がされていて笑いを誘います。「刑務所のルールブック」で再起を目指す、不器用な野球選手を演じた姿とは大違い。
3話目はコミカルに女子高生の気ままさを描いたドラマなんですが、ラストがブラックな結末で、ニヤリとしちゃう。
「ドリームハイ」の第一印象が塗り替えられるまで、10年もかかってしまいました。
世界59地域でトップソングチャート1位という記録を残した「IU」もすごいけど、記憶に残る演技をする「イ・ジウン」もすごい。
ひとりの人間の皮が一枚めくれるたび、違う姿が映し出される、万華鏡のような映画です。
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