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ドラマ「ミセン-未生-」#968

「心を閉じた人へ思いを伝える方法は、学校では教わらなかった。だから、がむしゃらにやってみることにした」 毎年、この時期になると見返すドラマが、「ミセン-未生-」です。 原作のWebマンガは、韓国のビジネスパーソンのバイブルと呼ばれ、数々のドラマ賞を獲得。イ・ソンミン&キム・デミョン&イム・シワンの「営業3課」が味わう悲喜こもごもに、何度も胸を熱くするドラマです。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「ミセン-未生-」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 10歳からプロ棋士になるため、修行を続けてきたチャン・グレ。父親の病気でバイトをしているうちに、入団試験に失敗しあきらめることに。 26歳でやっと、インターンから契約社員として採用されるが、高卒で何の技術もないグレは、同期の有能さに押しつぶされ、自分の無能さを知る。 配属された営業3課で、囲碁で鍛えた集中力や戦い方を活かし、少しずつ仕事を覚えていくが…… 「営業3課」は、専務に反抗したせいで、課長のまま据え置かれているオ・サンシクが率いる部署です。会社の中では「オマケ」扱い。演じるキム・デミョンの寝癖が、「こんなオッチャンいるいる~」な感じです。 唯一の部下キム・ドンシク代理を演じるのは、キム・デミョン。週末はお見合いに励んでいるけれど、くせ毛のせいで決まらない……と悩んでます。たぶん違う。 そこに配属されたのが、高卒で、コネ入社というだけで、同期のインターンたちからイジメを受けていたチャン・グレ。 (画像はNetflixより) 韓国は日本のように、新卒一括採用というシステムではないため、就職活動=インターンで経歴を積むことが大切なのだそう。 たくさんのインターン生がいましたが、チャン・グレの同期となったのは3人。でも、この3人は大学卒業資格を持っており、「正社員」の立場。高卒のグレだけが「契約社員」となります。 この立場の違いもドラマの中にはしっかり描かれていて、同期のありがたさや嫉妬心と一緒に味わうことができます。 カン・ソラ、カン・ハヌル、ピョン・ヨハン、そしてイム・シワンが演じる4人の新人たちがぶち当たる、会社員の壁。 説明してくれないと分かんねーよ!ってなったり、丸投げかよ!ってなったり。「会社」という組織の論理に“慣れて”しまったわたしには、新人たちのとまどいを知ることができる、貴重なドラマでした。 冒頭のセリフ

『ビジネス戦略から読む美術史』#859

西岡文彦さんの『ビジネス戦略から読む美術史』を読んで、もう一度、歴史を勉強し直したいなーとワクワクが止まりません。 歴史って、ホントにおもしろいなと思いませんか? プラトンの『国家』には「最近の若者は……」という言葉があって、ジェネレーションギャップは二千年前からあったんだなーと、なんだか笑ってしまいます。わたしごときが悩んでもムダムダと思えるような感じで。 『ビジネス戦略から読む美術史』では、技術の進化と社会の変化が、美術という芸術のあり方も変えていったことが、よく分かります。 ☆☆☆☆☆ 『ビジネス戦略から読む美術史』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 西洋美術は、聖書の物語をビジュアルで伝える役割を担っていました。そのため、描かれる場所は、教会や宮殿でした。フレスコという技法で壁や天井に直接描く「不動産絵画」だったんですね。 そこから油彩の技術が発達し、キャンバスに描かれるようになり「動産絵画」へと変化。 これは、現代でいえば、オフィスに出勤しなければ仕事ができない人と、リモートワークで十分仕事ができちゃう人との、境遇の差とのこと。 そんな「へー!」がいっぱいです。 印象派の販売戦略を立てた人物として紹介されているポール・デュラン=リュエルは、原田マハさんの小説『ジヴェルニーの食卓』にも登場します。『たゆたえども沈まず』のドイツ系ユダヤ人の画商とも接点があったのだそう。 (画像リンクです) (画像リンクです) こうしたひとつひとつの歴史の流れが、一大絵巻のように繰り広げられていくので、飽きずに一気に読むことができます。 あのダ・ビンチが、「ちくしょー! オレだって自宅で仕事してー!」と思っていたかもしれないと想像するだけで楽しい。 カシコク生きるヒントは、歴史の中にありそうですね。

『戦国ベンチャーズ』#858

年功序列の弊害や、45歳定年制が話題になるなど、日本の「働き方」は大きく変わろうとしています。 「働かないおじさん」と呼ばれる世代としては、ニュースを見るたび暗い気分になるのですよね。 そんなにジャマですか!? そう言いたくなってしまうところもあるけれど。 歴史上、ゼロからのし上がった名将で「年功序列」の人事制度を採用していた人物はいなかったと聞くと、ああ、やっぱりという気もします。 人事と戦略のプロである北野唯我さんの『戦国ベンチャーズ』は、歴代の戦国武将の特性を人事の視点で分析した本です。 ☆☆☆☆☆ 『戦国ベンチャーズ』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ わたしは高校時代に歴史が好きになりました。これは、おもしろい授業をしてくれた高校2年生の先生のおかげです。 通常の、年表丸覚え式のテストもあるのですが、これに加えてレポートの宿題が出るんです。人物について、事件について、風俗についてなどなど、自分の好きなテーマで書くことができて、先生に「おもしろいね」と言ってもらえれば加算されます。 だから、テストの結果が「100点満点」じゃなくなってしまう。 たしか「曹操にはなぜ友だちがいないのか」みたいなテーマでレポートを書いて、10点の加点をもらいました。授業は日本史だったんですけどね……。 いま思えば、先生はどうやって成績を付けていたんだろうと心配になってきました。 閑話休題。 北野さんはというと、一番嫌いな科目が「歴史」で、この本をつくるにあたって、歴史を研究したのだそう。 徳川家康や織田信長といった戦国時代の武将たちをはじめ、『三国志』の曹操らを、“人事”目線で分析。その能力の特徴から、強みの活かし方と、パートナーとなる人物の組み合わせが紹介されています。 ・創造性系 ・再現性系 ・共感性系 という区分けは、『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』と合わせて読むと、より理解できるかも。 (画像リンクです) 『戦国ベンチャーズ』はKindle版しかありません。紙の本に慣れている人にはとっつきにくいかもしれませんが、これなら読めますよ!! だって、おもしろいんだもん!! 自分のキャリアを棚おろししたい人、マネジメントをしている方におすすめです。 人事戦略があたった時ほど、人と働く醍醐味を感じられることはないと思います。「働かないおばさん」と呼ばれる日まで。

『マチズモを削り取れ』#855

合気道の稽古に「かかり稽古」というものがあります。 通常の稽古は、ふたり一組になって、取り(技をかける方)と受け(技をかけられる方)を交代しながらやります。 「かかり稽古」はというと、5人~8人くらいが一組になり、ひとりが全員に技をかけていく、というものです。受けが順番に「かかって」いくから、「かかり稽古」と呼ぶのかしら。そこはよく知らないのですが。 ある時、身長180cm超のデカイ男性ばかりのチームに入ってしまったことがありました。一人目が投げられ、二人目が投げられ、三人目がわたしです。 けど。 明らかに取りの人は、わたしを見失っていました……。 ピョンピョン跳びながら手を振ると、ようやく目線が下に降り、わたしを発見。思わず、ふたりで吹き出しました。稽古中に笑っちゃいけないんだけど。 ふだん、町を歩いていて、ガタイのいい人ほどぶつかってくるのは、わたしが視界に入っていない性なのか?と、この時、思いました。 もちろん、もう少し注意深く歩いてよ、とは思いますが、視点を変えてみると、意外なことにイラッとポイントがあることが分かるはず。 チビッコで、女性で、おばさんであるわたしなんて、いろいろ大変なんですよ、ホントに。 たぶん正反対の極にいる、ガタイのいい男性であり、ライターである武田砂鉄さんが、視点を変えることで世の中にある「マチズモ=男性優位主義」に気付いていく、という本が『マチズモを削り取れ』です。 ☆☆☆☆☆ 『マチズモを削り取れ』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ ジェンダーギャップ指数、先進国でぶっちぎりの最下位である日本。 ヘイトスピーチは放置され、レイプされても女性に問題があることにされ、なのに「活躍」と「看護」を両立せよと迫られています。冗談としか思えない。 【独自】経団連、女性の両立支援強化に注力…春闘方針案 : 経済 : ニュース   「マチズモ」とは、男性が優位でいられる社会的な構図や、言動のことです。 日本にあふれる「マチズモ」を指摘し、毎回、武田さんに「お題」を出すのは、編集者のKさん。とにかくいろんなことに怒っているKさんですが、決して「ささいなこと」なんかじゃない。女性にとってはシビアにしびれる大問題。 だけど、こんなにも、男性の目には映っていないのか……と、武田さんの体験を読みながら感じました。 「女性活躍」とか、「男も大変なんだよ」とか言

『世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道』#828

失敗したくない。 できれば最高得点をとって「さすがだね!」って言われたい。 仕事とは、成果を積み上げていくものだから、どうしても失敗を避ける思考に陥りがちです。 でも、世の中には全力で勝負して、大金をかけ、壮大に失敗した事例だってたくさんあります。 『世界「失敗」製品図鑑』は、そんな世界のトップ企業に集う、最高頭脳による「全力の失敗」をケーススタディとして集めた本です。 こんなトップレベルでも、笑っちゃうくらいの製品を生み出してるんだもん。自分の失敗なんて小さいもんだと、心が軽くなるかも!? ☆☆☆☆☆ 『世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ いつでもすぐにAmazonでお買い物できるスマホ「ファイアフォン」。 いつでもすぐにFacebookにつながれる「フェイスブック ホーム」。 などなど、それって、誰得!?といいたくなるような製品が、大真面目に検討され、大々的に発表され、そして消えていった過程が紹介されています。 同じテーマの本で、デザイナーの佐藤オオキさんによる『佐藤オオキのボツ本』という本を読んだことがありました。 こちらはお仕事版「しくじり先生」といえそうな、“渾身の”ボツ案集です。 失敗にこそ成功の種がある 『佐藤オオキのボツ本』 #239   大きな業績を残している“強い”企業や人に通じているのが、失敗から学ぶリカバリー力かもしれません。 たぶん日本ではまだフィードバックの技術が発達していないので、 ダメ出しされた → 人格否定 と受け止めてしまう人も多いように思います。でも、仕事をする上で大切なのは、相手からのフィードバックではないでしょうか。 BtoC企業なら、それは消費者からの反応になるし、まだまだ新人レイヤーの人なら、一緒に仕事をしたチームの方からの褒め言葉、もしくはお叱りの言葉になるかもしれません。 『世界「失敗」製品図鑑』で紹介されている、コカ・コーラやグーグルなどの世界トップの企業家たちは、フィードバックに率直に耳を傾け、そこから学び、そして新しいチャレンジをした。 だから、いまがあるのだといえます。 「ミスターヌードル」と呼ばれた安藤百福さんは、世界初のインスタントラーメンを発明するまで、新築の家の床の間を吹き飛ばすほどの失敗をしたそう。 それでも、「失敗するとすぐに仕事を投げ

『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』#794

「ファイナンスを勉強しておいた方がいいよ」 とは、よく言われるのですが、この時、やってはいけないことがあるそうです。 「じゃあ、簿記の資格でも取ろうかな」 ってやつ。 もちろん、知らないよりは知っていた方がいいですが、簿記はどちらかというと実務に必要な知識。もっと大枠の経営戦略やビジネスプランをとらえるために必要なのが、ファイナンスなんではないかと思います。 とはいえ、会計のことだってよく分かってない……という方におすすめなのが、古屋悟司さんの『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』です。 ☆☆☆☆☆ 『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』 ☆☆☆☆☆ 脱サラしてお花屋さんをオープンした主人公。でも赤字ばかりが積み上がり、キャンペーンをやったり、倒れるほど働いたりするけど、右肩下がりの状況です。 そこにやってきたのは、スゴ腕の税理士さん! こんなストーリー仕立てで、会計の知識と、商売・経営を結びつけて把握することができます。 会計と一口にいっても、2種類に分かれるのだそう。 財務会計:決算や税金のための報告書 管理会計:儲けるための羅針盤 と考えればいいらしいです。 本で取り上げられているのは、管理会計の「限界利益」という考え方です。 利益を生み出す商品構造、値付けといった“当たり前”のことが、より実務と紐付いた形で解説されるので、経営戦略を立てられるようになりたい、いずれは独立したいという方の最初の一歩にピッタリだと思います。 「売上が足りないのが、赤字の原因ではない」 って、経営を知らないわたしには「ええっ、そうなの!?」という話でした。だって、売上が上がればハッピーなんじゃないかと思っていたのに。実は、花屋さんの脱サラ社長も同じだったようです……。 まずはこの勘違いを正していくのですが、会計の知識がある人には、「ここから!?」というレベルかもしれません。 が、在庫と売上の関係や、値上げ・値下げがどのように売上に影響するのかといったことを、ビジネス視点で考えることができるので、経理担当者にもおすすめです。 著者の古屋悟司さんは、楽天で「ゲキハナ」というお花屋さんを運営されています。倒産の危機を乗り越え、V字回復に成功したというその歴史に、学ぶこと多しです。 【楽天市場】一流品を卸値販売致します!激安から激レアまで!:ゲキハナ 感激安心のお花屋

『平成ネット史 永遠のベータ版』#688

「平成」という時代を天気で表すと「どんより曇り空」な気がします。バブル崩壊と、2度の大震災によって、「失われた30年」とも呼ばれている時代。 評論家の宇野常寛さんによると、「インターネットだけが、平成を語れる」のだそう。NHK Eテレで2019年に放送された「平成ネット史(仮)」の中での発言です。このたび、番組の内容が『平成ネット史 永遠のベータ版』として書籍化されました。  ☆☆☆☆☆ 『平成ネット史 永遠のベータ版』 https://amzn.to/3yIkTp7 ☆☆☆☆☆ テレビ放送は見ていないのですが、番組タイトルにあった「(仮)」は、書籍化にあたって「永遠のベータ版」になりました。オタクやギークの遊び場だったインターネットは、一般大衆も触れることができるように。でも、永遠に「完成」することのない技術という意味が込められているのだそう。 いままさに、現在進行形で続いているインターネットの歴史。それを「自分たちで作り上げてきた」方たちが、番組の出演者でした。 ○出演者 ・堀江貴文 ・落合陽一 ・宇野常寛 ・ヒャダイン ・眞鍋かをり ・森永真弓 ・池田美優 この方以外にも、伝説のテキストサイト「侍魂」を運営していた健さん、「初音ミク」の生みの親・佐々木涉さんらのインタビューが掲載されています。 わたしがパソコンを手に入れたのは、たしか1998年くらいだったと思います。仕事でwindowsやmacを使うことはありましたが、「自分用」のパソコンが欲しくて、大枚をはたいて購入。ニフティに加入して、初めてネットに接続したときのことは、いまでも覚えています。 ピ~ヒョロロロロ~ピ~ ガションガションガション なにが起こったのか分からず、爆発するかと思った!! 今思うと、画面に「なにか」が表示されるまで、呆れるほど時間がかかっていましたよね。そんな牧歌的な時代はあっという間に過ぎ去り、ADSL、フレッツ光と、契約とパソコンを乗り換えながら現在に至っています。 「集合知」としての機能が期待される一方で、中川淳一郎さんの『ウェブはバカと暇人のもの』にあるように、他人のことが気になって仕方がない人たちを生んだのも、インターネットといえるかもしれません。 宇野さんは、20世紀が「映像に映った他人の物語」に感情移入する時代だったとすると、ネットが生まれた瞬間に、「自分の物語を語る方

『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』#686

日本人は「休み下手」だといわれています。「働き方改革」とはつまり、「休み方改革」といえるのかもしれません。 身体を休ませることはもちろん、メンタルケアのためにも休むことは大切です。すべてに怠惰なわたしだけど、もっと「休み上手」になりたいと思っていました。 4月に社会人デビューした方も、そろそろ疲れがみえてきたころなのではないでしょうか。仕事用のエネルギーと、心のエネルギーの使い方を見直すなら、下園壮太さんの本『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』がおすすめです。 ☆☆☆☆☆ 『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』 https://amzn.to/2R2wvSQ ☆☆☆☆☆ 著者の下園壮太さんは、元・陸上自衛隊心理教官で心理カウンセラーという方です。自衛隊というと、強そうなイメージがありますが、その秘訣は「休み方」にもあるようです。 長期戦を戦うために必要な要素として挙げられているのが、「組織力」と「疲労のコントロール」。特に休むことの大切さは、あまり理解されていないのかもしれないなと感じます。なぜか、「がむしゃらにがんばる」ことが善と考える人が多くて……。 本によると、「ムリ」は4つの面で表われるそう。 ① 体 ② 人間関係 ③ 行動 ④ 心 ムリがどの面に表われても、本人は「ムリ」のせいだと気付きにくいもの。そして、3段階で進行していきます。 第1段階:普通の過労段階 第2段階:別人化の始まり 第3段階:別人化 組織内での人間関係の悪化は、こうした状況を示すシグナルでもあるわけです。 「ムリの防ぎ方」個人編と上司編があるので、チームを持っている方は、ぜひご一読を。また、感情の無駄遣いを止めて、「感情疲労」を避ける方法は、気持ちの浮き沈みに疲れちゃう、という方にもおすすめです。 今週は、新人たちのフォローアップ研修を実施しました。予想どおりではあったのですが、がんばり方に試行錯誤した2か月間だったようです。研修で話すことなんて、なかなか腹落ちしないもんだなとしんみり……。努力と結果がイコールとならない「仕事」という世界の洗礼にアップアップしたメンバーもいました。そして。 「ゴールデンウイーク中、何をすればいいのか分からなかった」 という声も……。 はぁ。もっと「休み上手」になりたい。

『組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2』#685

「1on1」ミーティングの難しさは、上司側の姿勢と、ブラックボックスになりがちなところにあると思います。ふたりきりで行われる以上、そこで詰められていても分からないからです。 宇田川元一さんの『組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2』には、より踏み込んだ「対話」の形である「2on2」が紹介されているのですが、これはとても演劇的な手法だなと感じました。前著『他者と働く』の実践編といえる内容です。 ☆☆☆☆☆ 『組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2』 https://amzn.to/2RPqhWL ☆☆☆☆☆ 企業は常に何かしらの悩みを抱えているものです。売上のこと、業界のこと、組織の中のこと。いろいろありますが、どれに対しても、「放っておくと悪くなりそうだけど、何から手を付ければいいのか分からない」状態で放置されることがあります。 宇田川さんはこうした状況を「組織の慢性疾患」と呼んでいます。「慢性疾患」なので、完治することは難しいけれど、安定した状態を保つ=寛解を目指すことはできる。そのために必要なのが「セルフケア」。小さな問題や、弱いシグナルにいち早く気付き、対応する能力を保つ組織を目指そう、という内容です。 「組織の慢性疾患」とは。 1. ゆっくりと悪化する 2. 原因があいまいで特定できない 3. 背後に潜んでいる 4. 後回しにされがちである 5. 既存の解決策では太刀打ちできない 6. 根治しない こうした状況では危機感も生まれにくくなってしまいます。そこで必要なのが、「対話」です。 <対話に必要な4つのステップ> 1. 問題を眺める 2. 自分もその問題の一部だと気づく 3. 問題のメカニズムを理解する 4. 具体的な策を考える 特に2の「自分もその問題の一部だと気づく」って、とても大事だと思います。すぐに解決策を提案できる人は、自分も問題に関わっている視点が抜けがちだから。 「対話」の方法のひとつとして紹介されているのが「2 on 2」。基本的に4人一組で行い、問題からの距離感を変えてキャスティングするのだそう。おもしろいのは問題に名前を付けて「妖怪」として扱い、その生態を探ってみるという過程です。 本では、忖度してしまって言いたいことが言えない状況に「ソンタック」という名前を付けていました。ちょっとコ

『ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法』#684

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」 オーストリア出身の精神科医であり心理学者のアルフレッド・アドラーの言葉です。「会社」という組織の中で、上司と部下の関係、他部署の人との関係、同僚(=ライバル)との関係などなど、「対人関係の悩み」は、誰もが一度は味わったことがあるのではないでしょうか。 日本のITトップ企業であるヤフーでも、現状は同じ。そこで取り入れたのが、上司と部下との「1on1」ミーティング。本間浩輔さんの『ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法』には、トークの例も紹介されています。 ☆☆☆☆☆ 『ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法』 https://amzn.to/3wvKsb1 ☆☆☆☆☆ 著者の本間さんは、ヤフー株式会社のコーポレート総括本部長をされている方です。人事革命を実行し、戦略人事プロフェッショナルとしても知られています。 そんな本間さんが取り入れたことで話題になった「1on1」ミーティングは、ひところ組織の「改善薬」としてもてはやされたような記憶があります。 毎週1回、原則30分を部下とのコミュニケーションに充てる。 ただそれだけで、なぜ変われたのか。ヤフーの人材育成の基本方針は、「社員の才能と情熱を解き放つ」こと。「1on1」を実施する目的のひとつがこれで、もうひとつは経験学習の促進にあるのだそう。だから、ただ部下の話を聞くという時間は、「ちゃんとあなたのことを気にかけていますよ」というメッセージとして伝わり、部下の側に安心を与えるからかもしれません。 わたしが勤務している会社でも「1on1」を実施している部署がありますが、どうも上司がしゃべりすぎているみたいで。あと、トラブル対応などで感情的なしこりが残っている場合には、部下の方が上司に対して信頼をなくしているので、「対話」が成立しなかったこともあるらしい。 こうした、「上司がしゃべりすぎる」「解決案を出してしまう」といったことはよくあるようで、本にはトークスクリプトとして掲載されています。客観的にトークを見直し、受け答えへのフィードバックを見ることができるのです。 基本的に「1on1」は、「部下のための時間」です。テーマは部下が決め、上司は話を「聴く」係であることを意識する必要があるわけですが。 分かってはいても、自分がどんな言動

『クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす』#683

事業部のクリエイティブ部門から、HRへ異動して4年目になります。これまでは研修“だけ”に力を入れていましたが(というか、それ以上のことをやる余裕はなかった)、今年の初めごろに「はて、人事ってどういう役割なんだっけ?」と、あらためて考える機会がありました。 いろいろと読んだ本の中の一冊が『クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす』。株式会社サイバーエージェントの人事本部長である曽山哲人さんと、神戸大学大学院の金井壽宏教授の共著です。 企業の中で「人事」はどうあるべきか。その存在価値について考えさせられる本でした。 ☆☆☆☆☆ 『クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす』 https://amzn.to/3fL0A1n ☆☆☆☆☆ 「人事部」とは、なかなかにせつない部署だと思います。制度や異動への不満が集まる部署でもありますし、経営陣と現場をつなぐ橋渡しの役目も負っています。時には矛盾と軋轢のクッション材になることも。 こうしたことから、わたしはずっと「心臓」のイメージを持っていました。身体中に新鮮な血液を巡らせるポンプの役割ですね。 サイバーの人事本部におけるミッションは「コミュニケーション・エンジン」だそう。ひらたくいうと、「経営陣と現場の通訳係」と表現されています。 元はモーレツ社員で、広告営業のトップを務めていた曽山さん。人事へと異動してからも、パワフルな体育会系体質が抜けずにいたのだそうです。コーチング研修を受けることで、「人を恐れていた」ことに気付き、変われたとのこと。 曽山さんの率直な告白は、新人マネジャーにとって励ましになるかもしれません。「わたしだけが苦しいんじゃないんだ」と思えるから。 最近では、YouTuberとしても活躍されています。毎回更新を楽しみにしているコンテンツのひとつです。 ソヤマン - 人と組織のお悩み解決!! https://www.youtube.com/channel/UCXNdhMaVY8wp06UaMCYiv_g 評価制度には「納得感のある対話」が必要という話は、北野唯我さんの著書 『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』 にもデータとして示されていました。 「人事部」は硬直化しやすく、官僚的になりやすい部署ではありますが、“こなす”だけでは味わえない仕事でもあるのだと、本を読んで感じ

『GREAT @ WORK 効率を超える力』#682

「あの人はなぜ優れた業績を残せるのか? 残業もしていないのに……」 朝から晩までモーレツに働くことがよしとされていた時代は終わったと思っていました。なのに、新人の中には「長時間働いて、がんばってる自分をアピールしよう!」と考えている人もいます。評価基準について説明して、“がんばる”方向性をマネジャーとすりあわせてもらっても、そこから抜け出せない。 誰に教わったのや!? 『GREAT@WORK 効率を超える力』の著者モートン・ハンセンもそんな考えを持っていたそう。野心満々で入社した一流のコンサルティング・ファームで、でも打ちのめされることになるのです。 残業もしないナタリーが、自分より優れた仕事をしているのはなぜか? 一所懸命働く<<<賢く働く 発想を変え、会社を変えることを説いた本です。 ☆☆☆☆☆ 『GREAT@WORK 効率を超える力』 https://amzn.to/2QJwbIo ☆☆☆☆☆ 数百の学術論文を精査し、5000人を対象に調査を実施。「賢く働く」ための7つのファクターを抽出するとともに、企業の業績に影響を与えない項目を明らかにしています。 「賢い働き方」をしている人は、どんな業種にも、どんなレイヤーにも存在します。この人たちは、優先すべきことを厳選して、そこに努力を注いでいるから優れた結果を残せるわけです。 賢く働くための「七つの習慣」とは。 ① 優先すべきことをいくつかに厳選し、そうして選んだ分野に大きな努力を注ぐ(業務範囲の重点化)。 ② あらかじめ定められたゴールに到達するだけでなく、新たな価値を生み出すことに重点を置く(仕事の再設計)。 ③ 機械的な反復練習を避け、技能を伸ばす練習を行う(質の高い学習サイクル)。 ④ 自分の情熱を強い目的意識と一致させられる役割を探し求める(内的動機づけ)。 ⑤ 他者の支援を得るために心理戦術をうまく使う(しなやかな主張)。 ⑥ 無駄な会議を減らし、参加する会議では白熱した議論が必ず起こるようにする(厳密だが、オープンなチームワーク)。 ⑦ 部署横断プロジェクトに参加する場合は、どれに参加するかを注意深く選び、生産性の低いプロジェクトは、はっきりと断る(ほどよい協働)。 これらの項目の影響力は66%である一方で、学歴や在職期間、年齢、性別といった要素は5%程度しかないとのこと。「組織」というものを見直した

『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』#681

企業の業績と、職場の空気には関連性がある。 北野唯我さんの著書『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』は、定量データから導かれた“キッパリ”とした結論が、刺激的な本でした。 ☆☆☆☆☆ 『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』 https://amzn.to/3bNx0Hn ☆☆☆☆☆ 「OPENNESS」とは、組織における「カナリア」と表現されています。危機に最初に反応する「炭鉱のカナリア」にたとえられているわけです。組織の「風通しの良さ」は、企業の採用や資本市場にダイレクトに影響を与えているというデータとのこと。 企業の口コミを集めたサイト「オープンワーク」のデータ、延べ840万人分を分析。従業員ロイヤルティ(職場に対する愛着・信頼の度合い)を数値化する指標「e-NPS」との関連性をみたところ、全11項目のうち、高かったのはこちらの項目です。 ○職場の満足度に関係する項目 ・風通しの良さ ・社員の士気 ・人材の長期育成 ・法令遵守意識 ・待遇面の満足度 ○平成30年間で時価総額を大きく伸ばした企業に関係する項目 ・風通しの良さ ・20代の成長環境 ・社員の士気 これは、企業の規模や設立年数には関係がなかったのだとか。 上場企業なら「財務データ」は公開されていますが、これまでブラックボックスになりがちだった「職場の空気」が数値化されたということは。 企業はステークホルダーに対しても、就職希望者に対しても、「嘘をつけない時代」なのだなと思います。 本では、採用におけるポイント、働きがいをつくるポイント、そして経営者(陣)が留意すべき点などが論じられています。 「風通しの良さ」や「社員の士気」といったソフト面は、やろうと思えばすぐにでも改善できることなのですが、一方で「人材の長期育成」は他社との比較が難しく、評価者(口コミを書いている人)の期待値と実際とのギャップが大きい項目でもあるんですよね。 “人材の長期育成は仮に会社が一生懸命投資したとしても、他社と比べて比較することが難しく、それゆえに「満足する基準がない」のだと思われる。” 学校じゃないんだから「育ててくれる」会社なんて、どこにも存在しない。会社ができるのは環境を準備するところまで。自ら学べ。以上! という感じで、理想論に逃げず、キッパリと言い切るところが北野さ

『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』#642

その昔、「腐ったみかんの方程式」が話題になったことがありました。 「箱の中のみかんが一つ腐り始めると、他のみかんも腐ってしまう。だから、腐ったみかんは早く取り除かなければならない」 これを聞いた武田鉄矢扮する金八先生が憤慨していました。 「私たちはみかんを作ってるのではない。人間を作っているのだ!人間の精神が腐るということは絶対ない!!」 会社という場所もこれと似ていて、「腐ったみかん=カルチャーの合わない人」がいると、その空気は伝染していきます。でも、会社で作っているのは「人間」というわけでもない。 『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』には、足を引っ張るメンバーを1人加えたグループでは、成績が30~40%も低くなったという研究が紹介されています。 ☆☆☆☆☆ 『NO RULES』 https://amzn.to/3fJTAC9 ☆☆☆☆☆ Netflixは、集団に凡庸なメンバーがいるだけで、組織全体のパフォーマンスが落ちると判断。勇気と規律を持って辞めさせるそうです。 スピード感があり、イノベーションの生まれる職場には「最高の同僚」だけが集まっている。 お互いを「最高の同僚」と認めているからこそ、常に率直なフィードバックを送り、コントロールによるリーダーシップではなく、コンテキストによるリーダーシップを推奨しています。 率直なフィードバックといっても、「思ったことをなんでも口にしていい」わけではありません。「4A」というガイドラインに則って行われます。 「4A」ガイドライン 1 相手を助けようという気持ちで(AIM TO ASSIST) 2 行動変化を促す(ACTIONABLE) 3 感謝する(APPERECIATE) 4 取捨選択(ACCEPT or DISCARD) 4のフィードバックを受け入れるかどうかは本人次第という姿勢も、Netflixらしいといえそうです。 休暇日数は指定しないとか、不要な社内規定を全部なくすとか、日本の企業だと「ひょえー」となっていまいそうなシステム。でも「ひょえー」と思ってしまう時点で、乗り遅れているのかもしれない。 自由って厳しいことがよく分かる一冊です。

『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』#641

チームを任される立場になると、新たな悩みが増えてきます。 頼んだことができていない。 みんなバラバラで統一感がない。 こんな時、下手な言い方をして「パワハラだ!」と言われたら困るし、関係が悪くなってしまったらどうしようと心配する方もいますよね。 最近では「コーチング」に注目が集まっていますが、わたしは「ティーチング」が必要な場面と、「コーチング」の方がよい場面とで分けて考えた方がいいのではないかと思っていました。 中原淳さんの『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』は、その辺りの考えの補強ができ、とてもありがたい本でした。 ☆☆☆☆☆ 『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』 https://amzn.to/3i2WLHR ☆☆☆☆☆ 「フィードバック」は、なぜ必要なのか。 ひと言で言うと、相手の成長のためです。どんなに厳しいことでも、言いにくいことでも、それが相手の成長に必要なのであれば伝えるのがマネジャーの役目。 そして、どんなに「いいこと」を言われても、納得がなければ相手の行動が変わることはありません。 効果的なフィードバックの方法はふたつ。 1. 情報通知 :いわゆるティーチング パフォーマンスに対して、理想と現実のギャップを把握することが目的です。 2. 立て直し :いわゆるコーチング 自らの行動を振り返り、今後の行動計画をたてる支援をします。 現役マネジャー3人によるフィードバック事例も、マネジャー自身の不安と迷いの声が聞けてよかったです。 先日、富士通が「優秀なマネジャー像」を解明したとニュースになっていました。 富士通が「優秀なマネジャー像」を解明!2400人の人事データ調査で https://diamond.jp/articles/-/265174 上の記事によると、高い成果を上げているマネジャーはコーチング型のマネジャーだったのだそう。しかも持続性もあるとのことでした。 いまはまだ上意下達の体育会系マネジャーが多いのかもしれませんが(自分たちがそう育っているので)、長期的な成長は常に視野に入れておきたいところ。その手助けとなる一冊です。

『ディズニーの魔法のおそうじ』#640

オフィスの掃除タイムって盛り上がらないんですよね。掃除なんかするより、クライアントへのメールを片付けたい!と考えてしまうから、でしょうか。 『ディズニーの魔法のおそうじ』によると、ディズニーで行われる掃除の目的は、清掃そのものではないのだそうです。掃除は、「ゲストの安全のため」に行われるもの。 ☆☆☆☆☆ 『ディズニーの魔法のおそうじ』 https://amzn.to/2RPz0II ☆☆☆☆☆ 汚れる前にベンチを拭くのは、汚れてから掃除するより効率的だからですが、それ以上に、ベンチの周囲に不審物がないか、木のささくれで怪我しないかといったことを確認するためなのです。そして、掃除自体もエンタメとして実施するため、人気職とのこと。 著者の安孫子薫さんは、東京ディズニーランドの開園時にカストーディアル(掃除担当の部署)を担当され、部長まで勤められた方です。 本を読んでマネしたいなーと思ったところは、「マニュアルはガイドラインであって、絶対ではない」という点です。いいアイディアがあればどんどん取り入れるし、提案もできる。 ディズニー流の魔法をオフィスで取り入れて、この辺りに取り組んでいました。 ・ケーブルがとぐろを巻いていていいのか ・入り口に段ボールが放置されていていいのか お恥ずかしい状態ですが、オフィスでの「幸福感」アップを目指して、ひとつずつ意識改革を進めたい。そのヒントをもらえる本です。

『心理的安全性のつくりかた』#639

「怒鳴っている人がいてびっくりした」 弊社に転職してきた方が、一か月後のフォローアップ面談で語っていたことでした。お恥ずかしい……。ずいぶん前の話です。 仕事の場で感情的になることが、よしとされる場面もあるでしょう。達成して喜びを分かち合い、ねぎらうような時ですね。でも「叱る」時こそ、自分の感情は横においておいたほうがいい。でないと、しっかり指摘して正さないといけないミスや勘違いが、どんどん言いにくくなってしまうから。 Googleは、「心理的安全性を高めると、チームのパフォーマンスと創造性が向上する」と報告しています。が、この「心理的安全性」について、仲良しグループをイメージしている人もいるのではないでしょうか。 どう違うの?という方におすすめなのが、石井遼介さんの『心理的安全性のつくりかた』です。 ☆☆☆☆☆ 『心理的安全性のつくりかた』 https://amzn.to/349Y8MQ ☆☆☆☆☆ 石井さんによると、「心理的安全なチーム」とは、「メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるチーム・職場のこと」です。 この「健全に意見を戦わせ」るという点がポイントで、上司が部下の意見を「なんも分かってない」と退けたり、知識と経験が豊富な先輩がマウントを取るようだと、健全な状態ではなくなってしまうのです。 日本の組織では、 ① 話しやすさ ② 助け合い ③ 挑戦 ④ 新奇歓迎 この4つがそろう時、心理的安全性が感じられやすいのだそう。 学ぶところの多い本で、「好子と嫌子」の行動マネジメントは、ハッとするものでした。 会社のmtgで、「心理的安全性を大事にしたい」という話になったとき、どうもわたしが考えている「心理的安全性」とは違う気がして質問してみました。するとやはり、イメージしていたのは「仲良しグループ」だったんですよね……。 「心理的安全性」は、「仲良しグループ」とは正反対のものです。 耳に痛いことでもしっかりとフィードバックを送り、健全な衝突を生み出す機能のこと。「衝突」が、即ちよくないことと受け止められがちな日本では、難しいと感じる人もいるかもしれない。 でも。 フレッシュなメンバーが職場にやってくる季節です。組織の空気作りについて、見直してみませんか?

『リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法』#637

「現場に裁量権を渡して、自ら動く仕組みを」 最近、よく耳にするようになった言葉ですが、“本当に”それを実施できている企業ってどれくらいあるのでしょう? リッツ・カールトンの創業メンバーが書いた『最高の組織をゼロからつくる方法』は、それをチェックするのにピッタリかもしれません。かなりうらやましい気がするエピソードも満載な一冊です。 ☆☆☆☆☆ 『リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法』 https://amzn.to/3vC1uUR ☆☆☆☆☆ 「お客さまに満足していただくためなら2000ドルまで自由に使ってよい」という決裁権の話は有名になりました。 たとえば、メキシコのビーチの側にあるホテルで起きた出来事があります。 新婚ホヤホヤのカップルが、宿泊中、ビーチで結婚指輪を落としてしまったのです。どんより沈むカップルのため、4人のスタッフがそれぞれの2000ドルで金属探知機を購入。ビーチを探索して指輪を発見し、朝食の席に届けたというエピソードです。この時、スタッフたちは上司の決裁を仰がずに動いたのですが、もちろん怒られることなんてなく、カップルにも感謝されました。 こんなことしてもらったら、惚れちゃう!!! なぜリッツではこうした動きができるのかというと、会社がスタッフを「紳士淑女」のように遇すると決めているから。 “私たちも一人の紳士、一人の淑女としての誇りを持って仕事に取り組むことができる。私たちはサービス業界のドアの陰でゲストにかしずく召使いではない。” 企業人としての失敗についても率直に告白し、一年前、三年前と比較してどれだけ進化したかを基準にしているそう。 目標に向かって効率的に走ろうとするのはいいのですが、そうした人ばかりだと、周囲の人間が“手段”として使われているように感じることがあります。リッツでもやはり、改革に合わない人は去って行ったのだとか。 きちんと、人間的な関係を結ぼう。 組織作りの第一歩は、ここにあるように思います。優れた社員を育成するために必要なことは、「徹底的に繰り返すこと」。クレド(行動指針のようなもの)を作って満足してちゃダメなんですよね。 今年の新人研修で、何度も何度も何度も伝えたことがありました。 「できないのは当たり前! そこで落ち込まなくてOK!」 「分からないだけじゃなく、判断に困ったら相談しよう!」 ちょっとだい

『育成の本質 才能が開花する環境のつくり方』#636

現代は「個の時代」といわれていますが、だからこそ「チーム」として力を合わせられる人が求められています。 そんな人材は、どうやったら育つのか。 『育成の本質 才能が開花する環境のつくり方』は、元サッカー日本代表選手の菊原さんと、楽天大学学長の仲山さんによる「チーム」についての対談本です。 ☆☆☆☆☆ 『育成の本質 才能が開花する環境のつくり方』 https://amzn.to/3vxsUuW ☆☆☆☆☆ 菊原さんがプレーされていたころの、読売クラブの例がとても刺激的でした。 ラモスさんと都並さんが、試合中にケンカをしていたくらい、勝つために言わないといけないことを言う。自分の意見が尊重される=心理的安全性の大切さを感じさせるエピソードがいっぱいです(そしてなぜヴェルディが低迷したのかも……)。 テーマはサッカーですが、「チームの成長ステージ」の変化や、支援の法則などは、ベンチャー企業でも使えそうなモデルです。伸びない子の特徴として挙がっていた「うまくいかなかった時に振り返りをしない」は、新人時代こそ気を付けたいことでした。 今年は強い組織作りに取り組みたいと考えていたところに出会った本。「サッカーを通して幸せになる」という話はそのまま、「仕事を通して幸せになる」につながると思います。 そうだよなー。幸せに生きたいのですよね。

“ジャンプの法則”は海を越える!? 起業を目指す若者たちの溌剌ストーリー ドラマ「スタートアップ:夢の扉」 #520

友情・努力・勝利。 2020年10月17日から始まり、現在Netflixで配信中のドラマ「スタートアップ:夢の扉」は、韓国ドラマにこの「ジャンプの法則」を取り入れたストーリーといえるものでした。さすが黄金の方程式は海を越えるんですね……。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「スタートアップ:夢の扉」 https://www.netflix.com/title/81290293 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 両親が離婚し、ソ・ダルミは、姉のインジェと母と別々に暮らすことに。おまけに交通事故で父を亡くしてしまう。落ち込むダルミを見かねた祖母は、食堂にかくまっていた少年ジピョンに文通してくれるよう依頼する。架空の少年「ナム・ドサン」から届いた手紙に励まされ、ダルミは笑顔を取り戻すが、ジピョンは祖母のもとを出奔。大人になり、インジェと再会したダルミは、パーティーに彼氏を連れて行くと約束してしまい、「ナム・ドサン」を探すことにするが……。 「週刊少年ジャンプ」は、「友情・努力・勝利」の3要素のうち、最低1つを入れることが編集方針といわれています。最近ではこれに加えてキャラクターの魅力も重視しているのだとか。 一方で韓国ドラマにおける3要素といえば「復讐・格差・初恋」じゃないかと思います。 「スタートアップ:夢の扉」は、見事に三拍子がそろっていて、キャラクターの魅力も全開。ヒットの法則である「ジャンプの法則」の法則まで踏襲しているんですもん。おもしろくない訳がないのです。 タイトルに「スタートアップ」とある通り、メインのキャラクターは韓国のハイテク業界で起業を目指す若者たちです。まずは「SAND BOX」というサポート企業に選ばれ、投資を募り、事業を軌道に乗せ、売却する。 起業を目指す人にとっては、各フェーズで陥りがちなトラブルをシミュレーションするような気持ちになれるかもしれません。 なにしろベースが「友情・努力・勝利」なので、ワクワク感とハラハラ感にあふれたドラマです。そこに韓国ドラマの定番「復讐・格差・初恋」がからんでくる。脚本が中だるみすることもないので、一気に観られるドラマだと思います。 ソ・ダルミを演じるペ・スジは、もともとアイドルグループ Miss AのメンバーでJ.Y. Park率いるJYPの所属でした。学園ドラマの「ドリームハイ」や、映画にも出演しています。 そして、架空の少年で