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ドラマ「ミセン-未生-」#968


「心を閉じた人へ思いを伝える方法は、学校では教わらなかった。だから、がむしゃらにやってみることにした」

毎年、この時期になると見返すドラマが、「ミセン-未生-」です。

原作のWebマンガは、韓国のビジネスパーソンのバイブルと呼ばれ、数々のドラマ賞を獲得。イ・ソンミン&キム・デミョン&イム・シワンの「営業3課」が味わう悲喜こもごもに、何度も胸を熱くするドラマです。

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ドラマ「ミセン-未生-」

(画像リンクです)

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<あらすじ>
10歳からプロ棋士になるため、修行を続けてきたチャン・グレ。父親の病気でバイトをしているうちに、入団試験に失敗しあきらめることに。 26歳でやっと、インターンから契約社員として採用されるが、高卒で何の技術もないグレは、同期の有能さに押しつぶされ、自分の無能さを知る。 配属された営業3課で、囲碁で鍛えた集中力や戦い方を活かし、少しずつ仕事を覚えていくが……


「営業3課」は、専務に反抗したせいで、課長のまま据え置かれているオ・サンシクが率いる部署です。会社の中では「オマケ」扱い。演じるキム・デミョンの寝癖が、「こんなオッチャンいるいる~」な感じです。

唯一の部下キム・ドンシク代理を演じるのは、キム・デミョン。週末はお見合いに励んでいるけれど、くせ毛のせいで決まらない……と悩んでます。たぶん違う。

そこに配属されたのが、高卒で、コネ入社というだけで、同期のインターンたちからイジメを受けていたチャン・グレ。

(画像はNetflixより)

韓国は日本のように、新卒一括採用というシステムではないため、就職活動=インターンで経歴を積むことが大切なのだそう。

たくさんのインターン生がいましたが、チャン・グレの同期となったのは3人。でも、この3人は大学卒業資格を持っており、「正社員」の立場。高卒のグレだけが「契約社員」となります。

この立場の違いもドラマの中にはしっかり描かれていて、同期のありがたさや嫉妬心と一緒に味わうことができます。

カン・ソラ、カン・ハヌル、ピョン・ヨハン、そしてイム・シワンが演じる4人の新人たちがぶち当たる、会社員の壁。

説明してくれないと分かんねーよ!ってなったり、丸投げかよ!ってなったり。「会社」という組織の論理に“慣れて”しまったわたしには、新人たちのとまどいを知ることができる、貴重なドラマでした。

冒頭のセリフは、女性が配属されてガッカリする先輩たちに無視され、仕事を任せてもらえなくなった新人の言葉です。

「学校では教わらなかった」ことを教えるために、入社してすぐに新人研修を実施する企業が多いと思います。

でも、グレたちの会社にはそういうシステムがなく、すべてがOJTなんです。

会社員だったころは、まさに、この新人研修を担当していました。毎年この時期は新人研修の準備でアワアワ。おまけに年度末祭りも重なって、フラッフラになっていたものだったんですよね。

ところが、今年はすべてを手放したので。

めっちゃ晴れやかな気持ちで3月を迎えています……。すまぬ、って感じですが。なのにまたドラマを観てしまったのは、初心に返ることができるから、かもしれません。

タイトルの「ミセン」とは囲碁の用語で、「弱い石」という意味だそう。弱い石が集まって、勝負しているビジネスの世界。

出世競争にパワハラ、ジェンダー不平等に家族の問題などなど、現実世界では心をすり減らすことも多いですが、ドラマには励まされる名セリフもいっぱいです。

「他の人が派手に見えるのは気にしないで、派手じゃなくても必要なことをすることが大切だ」

「俺たちは成功とか失敗ではなく、死ぬまで扉を開け続けていくんだと思う」

「とにかく踏ん張れ。踏ん張った者が勝つ。俺たちはまだミセン(弱い石)だ」

「弱い石」でも、置き方次第で使いどころはあるはず。

だから今日も扉を開けよう。


ドラマ「ミセン-未生-」全20話 tvN(2014年)

監督:キム・ウォンソク

脚本:チョン・ユンジョン

出演:イム・シワン、イ・ソンミン、キム・デミョン、カン・ソラ、カン・ハヌル、ピョン・ヨハン


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