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『敬語の疑問が全て解ける本』#900

敬語の調べ物をしていて、何気なく開いた本が、狂気の本だった……。いい意味で、です。 わたしの「4月」は新人研修の日々でした。メールの書き方や、パワーポイントの使い方を教えるのは楽しいのですが、ひとつ、とても気が重い講義があります。 敬語のおけいこの時間です。 いまの時代、フラットな関係が支持されているのだから、いまさら敬語なんていらないんじゃないだろうか。 そんな思いを抱えつつ、それでも「必要な時の方が多いから」という要望を受けて研修を続けてきました。 「謙譲語」とか「尊敬語」とか、そんな分類はどうでもいい。自分の言動に使うのか、相手の言動に使うのかだけ覚えて!と、よく使うワードで練習します。 まぁ、研修ならこれでいいけど。 校正の場合は、指摘を出す際に「根拠」がいるため、いま四苦八苦しています……。 ずいぶん前に買ってあった北舘誠一郎さんの『敬語の疑問が全て解ける本』を開いてみたら、著者の経歴に、「公認会計士」とありました。 公認会計士さんが、敬語の本!? なんでも30歳にして会計士試験に挑戦し、合格。会計ソフトの開発会社に勤務していたのに、今度は50歳で日本語研究の道に進まれたそう。 年中無休、一日平均10時間以上を研究にあて、完成させた本が『敬語の疑問が全て解ける本』なのです。狂気や……。 ☆☆☆☆☆ 『敬語の疑問が全て解ける本』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 「これって正しい敬語の使い方なんだっけ?」 それを確認したいとき。一番やってはいけないことは、ネット検索です。 ホントーーーーーーーーーーに、ダメ。ぜったい。 そう言いたくなるくらい、ネットの情報、特に就職関連サイトの「敬語指南」記事は当てにならなかったです。 「○○という言い方は間違っています。△△と言い換えましょう」 とある記事の、「△△」が間違ってるよ……ということが多々あります。こういうサイトを見て面接の準備をした人たちが、過剰な敬語を使っているんだな、と感じることも。 ある意味、とても残念な「広告置き場」としての記事にだまされはいけません、と言いたい。珍しく、こんなネガティブなことを言ってしまうくらい、今回の調べ物が大変だったのです……。 北舘さんの『敬語の疑問が全て解ける本』はというと、大量の関連本や国語審議会の文献を参考に、「敬語」の用法がまとめてあります。とくに、敬意の表し方に注目して

ルールを決めて、“考える”に時間を振り分ける 『記者ハンドブック』 #486

「鶏は三歩歩くと忘れる」は、本当にそうなのでしょうか? 出典を調べても、『広辞苑』や明鏡の『ことわざ成句使い方辞典』には掲載されていません。どうやらマンガから広まった言葉のようですが、真偽のほどは分からずじまいでした。 でも、「わたしは三歩歩くと忘れる」は本当だと思う。悲しいくらいに事実だなーと思う。 先週の「#1000日チャレンジ」は辞書をいろいろ紹介していて、最後は絶対これにしよう!と思っていたのに、一冊忘れていた……。 校正の仕事でも、ライティングの仕事でも、たぶん『広辞苑』より使っています。共同通信社が出している『記者ハンドブック』。一般に「記者ハン」と呼ばれている用語集です。 ☆☆☆☆☆ 『記者ハンドブック』 https://amzn.to/3cXo8Qf ☆☆☆☆☆ いまほどインターネットが普及する前は、世の中で一番文章を書く仕事といえば「日刊紙の記者」と言われていました。毎日締め切りがあるわけですから、自然とそうなりますよね。なので、記事の書き方や記号のルールなどは、新聞社が出しているハンドブックを参考にするのが一番手っ取り早いのです。 わたしはずっと共同通信社のものを使っていますが、朝日新聞や読売新聞からも出ています。 漢字か、ひらがなか。「づ」と「ず」の使い分け。「超える」と「越える」の見分け方といった辞書的部分と、算用数字を使う場面と漢数字を使う場面、外来語で「・」が必要な場合といった、文章を書く時の基本的なルールが掲載されています。 中でも重宝しているのが、「差別語、不快用語」のページ。ここは、辞書部分とは別に、新人ライターには必ず一度目を通すようにしてもらっています。 そんなわけで、会社で新しいメディアを起ち上げた時には、「記事執筆のルールは『記者ハンドブック』をベースに」と決めてもらいました。 ルールを決めることで、ムダに「考える」を減らすのが目的です。 「 」か『 』かなんてことに迷うより、「記者ハン」にあるからこう!と決めてしまう方がラクなんです。そんなことに時間を使うより、もっと内容に神経を注いだ方がいいので。 そんな超超超超超おすすめな用語集なのですが、なぜか買った後ロッカーにしまう人が多い……。 辞書は手の届く位置に置きましょう。面倒でも、一度引いてみましょう。新しい発見、もしくは、安心安全がありますよ。 パソコンやスマホで文章を

類似点と相違点をクリアにするナビゲーター 『日本語の類義表現辞典』 #482

日本語教師をしている友人に、「一番教えにくい言葉ってなに?」と聞いたことがあります。「質問が大雑把すぎる」と文句を言われちゃったのですけれど。 漢字圏以外の学生が一番つまずくのはやっぱり「漢字」、それ以外で多いのは「助詞」とのことでした。 わたし “は” 、mameです。 わたし “が” 、mameです。 一文字違うだけで、ニュアンスが変わってしまうのが日本語。もし「わたし “が” 」だけを覚えてしまったら、とても出しゃばりな人に見えてしまうかもしれませんね。 ふだん何気なく使っている言葉でも、あらためて考えてみると混乱してくるものもあります。 「水 が 飲みたい」か「水 を 飲みたい」か。 「食欲をそそら れ る」か「食欲をそそら せ る」か。 そんな、辞書の用例だけではとらえられない、微妙な使い分けについて解説したのが『日本語の類義表現辞典』です。 ☆☆☆☆☆ 『日本語の類義表現辞典』 https://amzn.to/3iY6xLD ☆☆☆☆☆ 著者の森田良行さんは、外国人留学生への日本語教育をされていた方で、『助詞・助動詞の辞典』の著者でもあります。 日本語を使いこなすために 『助詞・助動詞の辞典』 #478   受け身・可能表現について確認したいことがあって『日本語の類義表現辞典』を買ったのですが、たぶんはるかにたくさん活用させてもらっているのは「語順の入れ替わる言い方」の章です。 ① 母だけ に 相談する。 ② 母 に だけ相談する。 どちらも相談するのは「母」オンリー。お父さんも、お姉ちゃんも、おじいちゃんも、おばさんも、ない。意味としてはそうなんですけれど。 助詞の順番が違うだけなのにちょっとニュアンスが違いませんか? 「だけ」は限定を表す言葉ですが、①の場合、「お父さん、お姉ちゃん、おじいちゃん、おばさん、その他大勢」を無関係のものとして排除し、「母」だけを取り出して限定する言い方。 一方の②は、行為の対象や範囲を限定しているのだそうです。「相談する」という行為が、他のものには当てはまらないけれど、「母」にだけ成り立つということですね。 「どこを強調したいのか?」と考えると、分かりやすいのかもしれません。 「ありがとうございます」と「ありがとうございました」といった態度を表す表現、「現代に生きる」と「現代を生きる」といった時や場所を表す言い方など、よ

いつもの表現に多彩な色を 『日本語使いさばき辞典』 #481

親戚の「おじさん」のことを、なんて呼んでいますか? 韓国語を勉強していて一番おどろくのは、「呼称」の多さです。親戚ご一同様の呼び名なんて、まったく覚えられない。父方、母方、父より年上か年下か、父の兄の奥さんは……といった感じで、どんどんと広がっていきます。 日本語は「兄弟」か「姉妹」くらいかな、と思っていたら、そんなことは全然なかったんです。『日本語使いさばき辞典』という、日常語を検索ワードとした構成の辞書には、 ・種類・様態からみた「兄弟姉妹」 ・家族の中で年長の男性をいう「兄」 ・家族の中で年長の女性をいう「姉」 ・家族の中で年下の男性をいう「弟」 ・家族の中で年下の女性をいう「妹」 ・それぞれの呼称 という見出しで言葉が並んでいます。日本語も十分多かった。 ☆☆☆☆☆ 『日本語使いさばき辞典』 https://amzn.to/2SjD5VI ☆☆☆☆☆ この辞典は一般的な辞書の感覚で引こうとすると、ちょっと分かりにくいかもしれません。巻末に「分類キーワード目次」があるので、そこをまず見るようにしています。 「川」という身近な言葉ひとつとっても、日本語の表現は多様です。 ・大小、地形などからみた「川」:河川、小川、せせらぎ、伏流 ・速さ、位置などからみた「川」:急流、早瀬、河口、御手洗川 ・様態からみた「川」:流れ、合流、古川、清流 ・種別、名称などからみた「川」:名川、鵜川、杣川、岸辺 ・季節、行事からみた「川」:秋水、川涼み、川祓え、五月川 こんな言葉があるんだなーと思いながら、いつか使ってみたいと思う言葉を発見して妄想するのも楽しい。 「秋水」なんて、文字だけ見るといまの季節にぴったりじゃないですか? ですが『広辞苑』で「秋水」を引いてみると、こんな意味も載っていました。 「秋水」 ①秋の頃の澄み渡った水の流れ。 ②秋季の洪水。 ③転じて、曇りなくとぎすました鋭利な刀。 おお、まさか洪水も指すことがあるなんて。 『日本語使いさばき辞典』には言葉の意味は載っていないので、「単語の厳密な意味を確認したい場合には、『国語辞典』あるいは『漢和辞典』を援用してください」と注意書きがあります。 どんな場面で使われるのかを確認したいなら、日本語コーパスサービスの「少納言」や『てにをは辞典」で検索するのがおすすめ。 表現をサポートしてくれる心強い相棒 『てにをは辞典』 #

図解でクリアに、判断基準が明確に 『漢字の使い分けときあかし辞典』 #480

この世に、こんな便利な辞典があるのか。 手に取って、思わず震えたのが『漢字の使い分けときあかし辞典』です。辞典ごときで大袈裟なと思われるかもしれませんが、この本ほどクリアに「同訓異字」を説明してくれているものに出会ったことがなかったです。 ☆☆☆☆☆ 『漢字の使い分けときあかし辞典』 https://amzn.to/3zKpoju ☆☆☆☆☆ 日本語のよいところは、文字としての表現が豊かなところだと思います。漢字とひらがなとカタカナによって構成されているから、幅が広いんですよね。でもその分、「同訓異字」に迷うことも増えます。 たとえば、「はかる」という言葉は、こんな名詞とくっついて使われます。 気温 重さ タイム 悪巧み 逃亡 これ、全部漢字が違うんです。 『漢字の使い分けときあかし辞典』は、「ときあかし」というだけあって、判断基準(見分け方)を教えてくれる本です。 長さや広さ、体積や重さ、時間、何かをしようとするとき、といった基本形と発展形に分けて解説が載っています。おまけにイラスト図解も。 上の例でいくと、正解はこうなります。 気温を測る 重さを量る/測る タイムを計る 悪巧みを謀る 逃亡を図る こんな複雑な用例を使いこなしている人って、ホントにすごい……。 「かげ」についての説明なんて、イラストだととてもよく分かります。 『漢字の使い分けときあかし辞典』がわたしにとってありがたかったのは、考え方と事例が豊富なので、若手のライターに説明するときに活用できた点です。 校正の仕事をする際、一番大切なことは「根拠」を持つことです。赤字の指摘を出すときにも「なんとなく」では、絶対に書きません。とはいえ、こちらも神ではないので、判断に迷うことなんて山ほどあります。 「辞書的な説明だとこうなるけど、どう思う?」 そう話しながら、一緒に原稿を練り上げていくこともありました。著者の円満字二郎さんも、「これって不思議な書き方ですよね」なんて、本の中で迷っておられます。笑 わたしは、表現力豊かな日本語の可能性とおおらかさが好きです。でも、使いこなすのは、まだまだ。だからこそ、面倒くさがらずに辞書を引こうと決めています。 書くときは手元に辞書を!

表現をサポートしてくれる心強い相棒 『てにをは辞典』 #479

文章を書いていて、混乱してしまう慣用句や助詞がありませんか? あと、「なんていうんだっけ~」と思い出せなくなる時。そんな時に重宝するのがコロケーション辞典です。コロケーションとは、言葉同士のつながりのこと。 効果「が」→上がる 効果「を」→上げる といった助詞のつながりや、形容詞や副詞など修飾語との相性を確認できる辞典です。その名も『てにをは辞典』。まとまった文章を書く人に超おすすめです。 ☆☆☆☆☆ 『てにをは辞典』 https://amzn.to/2TPjU6h ☆☆☆☆☆ たとえば「愛する」という文章を書いていて、同じ言葉が連続しちゃうなーというとき、類語辞典を引く人は多いと思います。『てにをは辞典』も同じように使えますが、より表現に即した事例が載っているんです。 愛する 心から。本気で。永遠に。極端に。真剣に。素直に。熱烈に。人波に。一方的に。こよなく。掌中の玉と。激しく。ひたすら。…… 編者の小内一さんは校正者だそうで、独力で250人の作家の作品から「結合語」を採集したとのこと。その中から60万語の事例を掲載しています。 誠に「ごいすー!」としか言いようのないお仕事です。 校正者らしいなと思ったのが、表現に違和感を覚えたときや、否定形で使うのか肯定形で使うのか、相性の合う言葉を確認するためにも使える点です。 たとえば「気配」という言葉は、後に続く助詞によって相性のいい言葉があります。 気配「が」:あふれる。色濃く残る。動く。薄れる。伝わる。 気配「を」:うかがう。受け止める。帯びる。探る。振りまく。 気配「に」:脅える。気づく。耳を澄ます。異常な~口もきけない。 ~気配:怪しげな。忙しそうな。恐ろしげな。静謐な。ひそやかな。 こんな感じで、『てにをは辞典』というタイトル通り、「てにをは」の助詞を中心に編成されています。語句から探したいよというときは、兄弟版に『てにをは連想表現辞典』というのもあります。 ☆☆☆☆☆ 『てにをは連想表現辞典』 https://amzn.to/3xvIcRy ☆☆☆☆☆ こちらは慣れないと探し方がちょっと難しいかもしれません。大分類(見出し)と用例(引き出し)に分かれています。索引を使うと便利。 見出し:繰り返す 引き出し:くどくど(文句を言う。言わずに引き退る)/何度(言ったか知れない。見ても飽きない)/蒸し返す(前のことを。

日本語を使いこなすために 『助詞・助動詞の辞典』 #478

「校正・校閲」は、「間違い探し」と思っている方が多いようで、とても残念に感じています。「間違い探し」ゲームのようなものなら、どれだけ気楽なことか! わたしが校正を教わった師匠は、「情報を正しくすること」と説明していました。資料をあたったり、日付と曜日を確認したりといった「情報」を確認し、「正しく」整えること。 その中にはもちろん、日本語の文法に合っているかどうかも含まれます。ただ、根拠のない指摘はできないんです。「なんとなく、感覚的に」とか、「わたしならこうは書かない」と思うことがあっても、根拠がなければ単なる揚げ足取りに思われてしまうから。 今の会社でわたしが校正を担当しているのは、主に企業のリリースとweb記事です。以前はインターンの学生に書いてもらった記事も読んでいたのですが、その時いちばん感じたことは。 「日本語の文法を知らない人が多すぎる!!!」 でした。 主語と述語が合わない、いわゆる「ねじれ文」を見たとき。「名詞がね~」や「受け身はね……」なんて説明をしても、「受け身ってなんですか?」から話が始まるのです。道は遠い……。というわけで、自分の勉強のために買った日本語の辞書が『助詞・助動詞の辞典』と『動詞・形容詞・副詞の事典』です。 ☆☆☆☆☆ 『助詞・助動詞の辞典』 https://amzn.to/2U7PWL1 『動詞・形容詞・副詞の事典』 https://amzn.to/3q8Nn7z ☆☆☆☆☆ (なんかビックリする値段になってるからご注意を……。定価は2800円です) この本、どちらも早稲田大学日本語研究教育センター所長の森田良行さんがまとめたものなのですが、「辞典」と「事典」なことにお気づきでしょうか。 『助詞・助動詞の辞典』の方は、「は」と「が」の違いといった解説を載せたもの。 一方の『動詞・形容詞・副詞の事典』はというと、各品詞ごとに文型や用法、類義語を集めた事例の本だからです。 特に重宝しているのは、『助詞・助動詞の辞典』にある「ので」と「から」の違いや、「に」と「へ」の違いです。ざっくり説明すると、こうなります。 「に」:場所→ 駅に行く(駅自体に用事がある) 「へ」:方向→ 駅へ行く(駅の方向に向かう) 一文字違うだけで、ニュアンスがちょっと違うんですよね。はぁ、日本語って奥深い。 日本語学者の方なら、古典の○○の頃には「を」で受けて

言葉を巡る冒険 『三省堂国語辞典のひみつ』 #477

中華といえば幸楽苑。三大庭園といえば後楽園。国語辞典といえば『広辞苑』。というわけで、校閲の仕事をするとき、一番使っているのは『広辞苑』かもしれません。 ただ辞書って不思議なもので、「あと一歩、かゆいところに手が届かない」と感じることが多いんです。 普段はCASIOの電子辞書「XD-SX20000」を使っています。収録されている国語系の辞書は、『広辞苑』『明鏡』『新明解』『日本国語大辞典』です。探し物をしながら、解説の違いを読み比べるのもおもしろいもの。 電子辞書 - 生活・ビジネス | CASIO   これには入っていませんが、ユニークだと有名な辞書が三省堂の国語辞典です。飯間浩明さんの『三省堂国語辞典のひみつ』は、その編集の裏側を綴った本。リアルに『舟を編む』の世界です。 ☆☆☆☆☆ 『三省堂国語辞典のひみつ』 https://amzn.to/2TKMHt0 ☆☆☆☆☆ 『新明解』と三省堂の国語辞典、通称『三国』は、ひとつの辞書から分かれたものなのだとか。原形を作ったのは見坊豪紀さんという方で、ほぼ独りで145万枚もの用例カードを作り、言葉の収集にあたったそうです。 ☆☆☆☆☆ 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』 https://amzn.to/3zxF6hP ☆☆☆☆☆ 「w」を辞書に載せたことでも話題になった『三国』。『新明解』との違いは、にやりとさせる『新明解』か、すとんと理解できる『三国』かとのこと。『三国』は「要するに何か」が分かる説明に振り切っているため、百科事典的な要素は、あえて省いているそうです。 辞書作りの背景だけでなく、言葉の「揺れ」についての話も興味深く読みました。 たとえば、「的を射る」か、「的を得る」か。これまで校閲の際に「的を得る」を見かけたら、 一般的には「的を射る」と使います。 と青字(著者への注意喚起や確認事項を書くときは青いペンを使います。エンピツを使う人も)で書いていました。赤字にしないのは、なんぞ「思惑」があるのかもしれないと思うからです。 が、飯間さん曰く、「あながち間違いとはいえない」とのこと。例として引用されているのが新井素子さんの小説『結婚物語』で、まさしくこの小説でわたしも「あぁ、そうなのか!」と覚えたんですよね。 「的を射る」と似たような言葉に、「正鵠を得る」という表現があります。正鵠=的と考えれば、「