この世に、こんな便利な辞典があるのか。
手に取って、思わず震えたのが『漢字の使い分けときあかし辞典』です。辞典ごときで大袈裟なと思われるかもしれませんが、この本ほどクリアに「同訓異字」を説明してくれているものに出会ったことがなかったです。
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『漢字の使い分けときあかし辞典』
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日本語のよいところは、文字としての表現が豊かなところだと思います。漢字とひらがなとカタカナによって構成されているから、幅が広いんですよね。でもその分、「同訓異字」に迷うことも増えます。
たとえば、「はかる」という言葉は、こんな名詞とくっついて使われます。
重さ
タイム
悪巧み
逃亡
これ、全部漢字が違うんです。
『漢字の使い分けときあかし辞典』は、「ときあかし」というだけあって、判断基準(見分け方)を教えてくれる本です。
長さや広さ、体積や重さ、時間、何かをしようとするとき、といった基本形と発展形に分けて解説が載っています。おまけにイラスト図解も。
上の例でいくと、正解はこうなります。
重さを量る/測る
タイムを計る
悪巧みを謀る
逃亡を図る
こんな複雑な用例を使いこなしている人って、ホントにすごい……。
「かげ」についての説明なんて、イラストだととてもよく分かります。
『漢字の使い分けときあかし辞典』がわたしにとってありがたかったのは、考え方と事例が豊富なので、若手のライターに説明するときに活用できた点です。
校正の仕事をする際、一番大切なことは「根拠」を持つことです。赤字の指摘を出すときにも「なんとなく」では、絶対に書きません。とはいえ、こちらも神ではないので、判断に迷うことなんて山ほどあります。
「辞書的な説明だとこうなるけど、どう思う?」
そう話しながら、一緒に原稿を練り上げていくこともありました。著者の円満字二郎さんも、「これって不思議な書き方ですよね」なんて、本の中で迷っておられます。笑
わたしは、表現力豊かな日本語の可能性とおおらかさが好きです。でも、使いこなすのは、まだまだ。だからこそ、面倒くさがらずに辞書を引こうと決めています。
書くときは手元に辞書を!
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