スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(韓国ドラマ)が付いた投稿を表示しています

なんでもない一日をワンダフルに「私の解放日誌」

「韓国ドラマは、3話目まで待て」 そんな言葉があるそうです。1話目からインパクトの大きいドラマはあるものの、ヒューマンドラマ系だとたしかに、3話目くらいからジワジワとのめり込んでいく感じがありますね。 「私の解放日誌」の場合、1話目を観て、継続視聴しようかどうしようか迷いました。 だって、あまりにもどんよりしているんだもん! ですが、脚本が「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」のパク・ヘヨンさんと知って、観ることに。結果、見事にはまり込みました。 現実にうんざりしている三きょうだいのお話です。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「私の解放日誌」 Netflix: https://www.netflix.com/title/81568411 ☆☆☆☆☆ 三きょうだいはそれぞれ、「電車」でソウル市内の会社に通っています。 1時間半かけて! (画像はNetflixより) いけ好かない同僚や上司との付き合いに、うんざり。 飲み会に行っても終電を気にしないといけないことに、うんざり。 駅からは舗装されていない真っ暗な道をテクテク歩くしかないことにも、うんざり。 それでも、誰も家を出ようとしません。 言葉としては出てこないけれど、これは「家族」は一緒に暮らすものというお父さんの意志なのかも。お父さんが、もう、最近珍しいくらいの強い家長なんです。「梨泰院クラス」みたいな強権的な感じではなく、無言の圧力。ご飯も黙って食え!って感じで震えます。 ドラマの中では、父の工場を手伝うナゾの男・クさんと話すようになって、末っ子のミジョンは自分の輪郭を確かにしていきます。 クさん自身も、文字通り「飾らない」ミジョンの率直さに、自分を取り戻していく。 同じ日々の繰り返しに埋没していた「自分」が、人との関係の中で形づくられていくようで、ひとつひとつのセリフが実に味わい深かったです。 解放されたい。 想いは、ミジョンが会社の中で始めたクラブ活動「解放クラブ」へとつながっていきます。 ところで、最近、海の向こうから新たなムーブメントが入ってきましたよね。 「書く禅」というやつです。 書くことで頭の負荷を減らしたり、自分の感情を確かめたりするマインドフルネスが注目されているそうです。 「解放クラブ」の日誌が、まさにこれ。 一日のうち、少しの時間でもいいから、自分自身に向き合うこと。 自分を解放するためには、この振り

インフレ化した夢の後始末

「夢は追い求めているほうが幸福なのだ」 まったく売れないマンガ家だったやなせたかしさんは、先輩からちょっとほめられただけで、天にも昇るくらいうれしかったそうです。 『アンパンマンの遺書』の中で、逆境の中でも夢を見るのが人間なのだと語っておられます。また、夢を実現することだけが人生の目的なのではなく、夢に向かって進もうとする力が尊いのだ、とも。 (画像リンクです) 夢に向かって全力投球!!!  夢!夢!夢! ……と言われるたび、わたしはちょっとゲンナリしていました。 夢破れた過去があるから? いま、これといった夢がないから? いろいろ考えてみましたが、たぶん、「夢を見ろ! 夢を追え!」と煽られる空気がイヤなのだなと思います。 韓国でも、日本と同じくらい、いやそれ以上に「夢を見ろ! 夢を追え!」な社会のようで、最近邦訳の出ているエッセイには、そうした競争から下りることを勧めるものもありますね。 キム・テリさんとナム・ジュヒョクさん主演の「二十五、二十一」にも、鮮やかに夢をあきらめるシーンがありました。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「二十五、二十一」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ IMF通貨危機によって、夢を絶たれてしまったふたりが出会い、支え合う前半パート。後半には、キム・テリ演じるナ・ヒドと、ボナ演じるコ・ユリムが通う高校の後輩が「フェンシングを辞めたい」と言うシーンが出てきます。 コーチは「次の大会で8強に入れたら、辞めてもいい」と条件を出す。 そこから猛特訓が始まるんです。ヒドとユリムは、世界でもトップクラスの選手という設定なので、後輩もメキメキ上手くなっていく。 ここで、スレたオトナであるわたしは、 「あぁ、いまは単なる伸び悩みの時期で、大会で見事8強に入って、フェンシングの楽しさを再確認できたから、辞めません!!」 って叫ぶんだろうなーと予測していたのですけれど。 後輩の選択は、まったく予想外のものでした。 夢を追いかけて必死だった自分を肯定しつつ、その夢に見切りをつける。大きな喪失を抱えつつ、爽やかに踏ん切りをつける後輩。その吹っ切れた明るさがあまりにも残酷で、思わず涙しました。 後輩はまだ高校生だったので、これからもっとやりたいこと、見たい世界が出てくる可能性もありそうですが。 30代になってしまうと、進むも地獄、引くも地獄なのかもしれないなーと、一穂ミチさんの『

映像のデジタル化で失われていく質感

映画好きの方にとってデジタル技術の進化って、どんなふうに受け止めてられているんでしょう? 長く35mmフィルムが使われてきた映画の世界は、いまやすっかり「デジタル処理」が当たり前となりました。映画だけでなく、ドラマも同じ。 ゴージャスな家が印象的だった 「サイコだけど大丈夫」 は、玄関だけが作ってあって、家の本体や庭はCGです。 お城のようなセットを作るのは大変だし、CG処理できるなら、たぶんその方がみんなハッピーですよね。どう考えても。 極限状態での撮影は俳優だけでなく、スタッフたちも疲弊してしまうから。 映画で全編デジタル撮影をおこなったのは、2002年公開の「スターウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」だそう。ジョージ・ルーカス監督作品です。 (画像リンクです) 映画としては正直いって(……)なんだけど、いまの技術ってこんなことが可能なのか!!と驚いた映像でした。 この映画から20年。 CG技術は、もはや映像コンテンツ制作の前提になっているのかもしれません。 ただ、演技に関わる部分にデジタルが入り込むと、質感というか、重量感というかがちょっと物足りない……と感じることも。 ちょうど連続して観た映画「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」とドラマ「二十五、二十一」がそうでした。 ☆☆☆☆☆ 映画「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」 公式サイト: https://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/ ☆☆☆☆☆ ご存じ「ファンタビ」の第3弾。ジョニー・デップが降板し、グリンデルバルド役はマッツ・ミケルセンに。クリーデンス役のエズラ・ミラーにもきな臭いニュースが出ていたので、この先、どうなるやら……という気もしています。 よかった点は、脚本をJ・K・ローリングひとりに任せなかったことだと思います。失礼だけど、これはとても感じた点。 アイディアがあふれ出すタイプの方なので、2作目の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」はストーリーを把握するのが大変でしたもんね……。 「ファンタスティック・ビースト2 黒い魔法使いの誕生」ジョニデとまた恋に落ちた   そして今回の映画には、新しい「魔法動物」が何種類か登場するのですが、物語の行方を左右するキーとなっていたのが、「麒麟」でした。 「麒麟」っ

ドラマ「未成年裁判」#979

少し前に「韓国ドラマのような恋がしたい」という内容のキャンペーンが行われていました。 ……ってマジですか!? と思ったんですよね。 もれなく「初恋の思い出」とか「毒親」とか「ワケアリ家族」がついてきますよ? 時には恋した相手が「オバケ」だったりもしますよ? なーんてね。 韓国ドラマのドラマチックに煽るスキルはラブコメに強く発揮されますが、最近は心臓をヒンヤリさせる社会派ドラマをかぶりつきで観てしまいます。 韓国のサスペンスドラマに、実話を基にした作品が多いのは、視聴者も当時を思い出して観てしまうからかもしれません。 制作にあたっては、被害者の家族に事前説明をして、同意をいただくそうですが、映画などでは裁判になったりもしていました。 たしかに、忖度なしに思い切った表現で切り込む姿勢は、韓国ドラマならではだなと思います。 最近配信されたドラマの中では、「未成年裁判」がダントツにしびれました。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「未成年裁判」 Netflixサイト: https://www.netflix.com/title/81312802 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> ヨンファ地裁の判事に赴任したシム・ウンソク。13歳の少年ソンウが9歳の少年を殺してバラバラにした事件を担当することになるが、ソンウの証言が嘘だと気づく。世間の注目を集める裁判に対し、政界への転身を狙うカン部長判事はよけいなことをするなと詰め寄るが……。 「少年刑事合意部」に所属している判事はふたり。キム・ヘス演じるシム判事、キム・ムヨル演じるチャ判事です。ふたりの上司が、イ・ソンミン演じるカン部長判事。 「未成年の犯罪を憎んでいます」 そうハッキリと口にし、嫌悪感をあらわにするシム判事。 不良行為を働く少年少女たちに同情的なチャ判事。 20年勤めた裁判所から、次のステップに移ろうとしているカン判事。 3人の思惑と対決が、前半の見どころ。 後半はここに、イ・ジョンウン演じるナ判事が加わります。 (画像はNetflixより) キム・ヘス vs. イ・ソンミンが蛇とマングースな闘いだとすると、キム・ヘス vs. イ・ジョンウンは、ツキノワグマ同士の対決って感じ。 巨大名優の火花が飛び散る演技の中を、自制的で内省的なチャ判事がアワアワ動き回る構図になっていて、キム・ムヨルの穏やかさが一服の清涼剤みたいに効いてきます。 「パラサイト

ドラマ「レディプレジデント〜大物」#969

今日3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」です。 1904年、ニューヨークで婦人参政権を求めたデモがあり、それを記念して制定されたのだとか。 日本で女性が初めて参政権を行使したのは、1946年4月10日。戦後初めての衆議院議員総選挙が行われ、約1,380万人の女性が初めて投票し、39名の女性国会議員が誕生。 女性の参政権の獲得に尽力した市川房枝さんは、柚木麻子さんの小説『らんたん』にも登場します。戦争中の「銃後の守り」への協力と引き換えに、参政権にイエスと言わせた……ような描かれ方をしていました。初めての選挙のときは、公職追放処分を受けていて投票できなかったそう。 『らんたん』#963   2030年までに達成すべきSDGsには、「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」がありますが、日本では劇的に進んだ……ようには感じられないですね。正直に言って。 世界経済フォーラムが公表した「ジェンダー・ギャップ指数2021」によると、日本の順位は156か国中120位。韓国は前年の108位から102位へと、前進しました。 家父長的な社会の空気や男性中心の組織文化、“飲みニュケーション”も盛んな韓国では、長く女性の社会進出が難しいといわれてきました。 自ら「フェミニズム大統領」と名乗った文在寅大統領が強力に「男女公正」を進めたおかげで、順位がアップしたようです。 そんな文大統領の任期も今年の5月9日まで。明日3月9日に、次の大統領を選ぶ選挙の投票が行われます。誰が選ばれるのか、今後の世界はどうなるのか、気になるところです。 かつてパク・クネ大統領が、女性として東アジア初、韓国史上初の大統領に就任した際は、どうしてもドラマ「レディプレジデント〜大物」と比べてしまいました。 コ・ヒョンジョン演じる、初の女性大統領に吹き付ける風圧に驚き、彼女を支え、10年愛を貫くクォン・サンウの純愛が光るドラマです。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「レディプレジデント〜大物」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> アナウンサー採用試験へ向かっていたソ・ヘリムは、偶然、不良少年のハ・ドヤと知り合う。数年後、ソ・ヘリムの夫がアフガニスタンで殺害され、ヘリムは番組内で政府の対応を批判。会社を辞めることに。一方のハ・ドヤは検事となり、政治家の収賄事件を調査するようになり……。

ドラマ「ミセン-未生-」#968

「心を閉じた人へ思いを伝える方法は、学校では教わらなかった。だから、がむしゃらにやってみることにした」 毎年、この時期になると見返すドラマが、「ミセン-未生-」です。 原作のWebマンガは、韓国のビジネスパーソンのバイブルと呼ばれ、数々のドラマ賞を獲得。イ・ソンミン&キム・デミョン&イム・シワンの「営業3課」が味わう悲喜こもごもに、何度も胸を熱くするドラマです。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「ミセン-未生-」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 10歳からプロ棋士になるため、修行を続けてきたチャン・グレ。父親の病気でバイトをしているうちに、入団試験に失敗しあきらめることに。 26歳でやっと、インターンから契約社員として採用されるが、高卒で何の技術もないグレは、同期の有能さに押しつぶされ、自分の無能さを知る。 配属された営業3課で、囲碁で鍛えた集中力や戦い方を活かし、少しずつ仕事を覚えていくが…… 「営業3課」は、専務に反抗したせいで、課長のまま据え置かれているオ・サンシクが率いる部署です。会社の中では「オマケ」扱い。演じるキム・デミョンの寝癖が、「こんなオッチャンいるいる~」な感じです。 唯一の部下キム・ドンシク代理を演じるのは、キム・デミョン。週末はお見合いに励んでいるけれど、くせ毛のせいで決まらない……と悩んでます。たぶん違う。 そこに配属されたのが、高卒で、コネ入社というだけで、同期のインターンたちからイジメを受けていたチャン・グレ。 (画像はNetflixより) 韓国は日本のように、新卒一括採用というシステムではないため、就職活動=インターンで経歴を積むことが大切なのだそう。 たくさんのインターン生がいましたが、チャン・グレの同期となったのは3人。でも、この3人は大学卒業資格を持っており、「正社員」の立場。高卒のグレだけが「契約社員」となります。 この立場の違いもドラマの中にはしっかり描かれていて、同期のありがたさや嫉妬心と一緒に味わうことができます。 カン・ソラ、カン・ハヌル、ピョン・ヨハン、そしてイム・シワンが演じる4人の新人たちがぶち当たる、会社員の壁。 説明してくれないと分かんねーよ!ってなったり、丸投げかよ!ってなったり。「会社」という組織の論理に“慣れて”しまったわたしには、新人たちのとまどいを知ることができる、貴重なドラマでした。 冒頭のセリフ

ドラマ「女の香り」#967

闘病中だった知人の訃報が届きました。 友人の友人……というちょっと遠い距離だけど、やはり心が沈んでしまいますね。 なかなかに波瀾万丈な人生で、たしか50歳を過ぎてから新宿にバーをオープン。それまでやったことがなかった水商売だったにも関わらず、人柄を慕う人たちでいつも賑わっていました。 最期の瞬間を、どんな風に迎えたいか。 自分のお葬式で、誰にどんな言葉をもらいたいか。 そんなことを時折考えます。その日に向かって、その言葉に向かって、生きなければと思うから。 韓国で2011年に放送されたドラマ「女の香り」は、34歳の主人公が突然、余命宣告を受け、生きることの意味をみつける物語。 「私の名前はキム・サムスン」 で大ブレイクを果たし、ラブコメの女王と呼ばれたキム・ソナさんが、内気だけど芯の強い女性・ヨンジェを演じています。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「女の香り」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 旅行会社に勤める34歳のヨンジェは、会社からはこき使われ続け、上司からも邪険にされている。ある日、交通事故に巻き込まれて病院で検査を受けることに。そこで末期の胆のう癌が発覚。余命はあと半年と知らされる。会社を辞めたヨンジェは貯金をはたき、きれいに着飾って人生最後のバカンスを満喫すべく沖縄ヘと旅立つ。そのとき、ヨンジェが社内でひと目惚れしていた御曹司のジウクも沖縄を訪れていた……。 キム・ソナさんは日本で中学・高校生活を送っていたため、日本語もお上手です。ドラマでは沖縄での出会いのシーンがあり、そこでも流ちょうな日本語を披露しています。 あの強烈な「サムスン」のイメージが残っていたので、ドラマの序盤は、シュッと痩せて小顔になり、モジモジした様子のヨンジェにとまどいました。 余命半年という宣告を受け、やれなかったことをやったろうやないかい!と沖縄に向かってからは、憑き物が落ちたように晴れやかな表情に。思い切って買ったオシャレなワンピースもよく似合う。 そこで、運命の出会いをします。 という展開が、韓国ドラマらしいんですよね。 ヨンジェが勤めていた会社の御曹司を演じるのは、 「トッケビ」 の死神役がかわいかったイ・ドンウクさん。彼の勘違いのおかげで、ヨンジェは才能を発揮する機会を与えられます。 次々とアイディアを生み出し、自分の意見を口にするヨンジェ。これまでいかに、言葉を封じられ

ドラマ「その年、私たちは」#942

誰かといても孤独を感じることはあるけれど、ひとりで生きてきたわけじゃない。 その時、その瞬間。 誰かがそばにいてくれたり、誰かと感情を共有したり。 そんな、人とのつながりを再確認できるようなやさしさが、「その年、私たちは」にはつまっていました。現在、Netflixで配信されています。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「その年、私たちは」 公式サイト: https://www.netflix.com/title/81486372 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 学年1位と学年ビリを追ったドキュメンタリー番組に出演し、反発を繰り返していたウンとヨンス。10年後、広告代理店のやり手のチーム長となったヨンスに、再びウンと一緒にドキュメンタリーに出て欲しいという依頼が入る。プロモーションのために依頼しようとしていたイラストレーターがウンだと知ったヨンスは、仕方なく了承するが……。 ドラマ 「梨泰院クラス」 のイソ役で大ブレイクしたキム・ダミちゃん。 そして、映画 「パラサイト 半地下の家族」 で、半地下家族の長男役を演じたチェ・ウシク。 ふたりの高校時代、大学時代、社会人になったいまと、10年間の“くっついたり、離れたり”が描かれます。 そういえば、おふたりは映画「The Witch/魔女」で共演済みでしたね。敵対関係だったけど。 最強アサシン少女の誕生を描くバイオレンスアクション 映画「The Witch 魔女」 #493   実年齢は、チェ・ウシクが31歳、キム・ダミちゃんが26歳ですが、制服姿にぜんぜん違和感がない! みずみずしいという言葉がピッタリです。 (画像はIMDbより) 目に映るものすべて、悲しいも、うれしいも、つらいも、いらだちも、ふたりとも全力で吐き出す……タイプではないため、すれ違い、行き違い、衝突を繰り返してしまいます。 ここに、ドキュメンタリーのPDとしてやって来た、幼なじみのジウンとの三角関係が重なり、せつなさ満載。愛しさ大盛り。そして、最後には心強さも感じられるように。 それぞれ家庭の事情を抱えているため、それが自分の足首をつかんでいて、自分が自分の人生を生きていないことに気付くからです。 にしても……。 タイトルが「その“年”、私たちは」なのは、「応答せよ」シリーズへのオマージュなのかなと思っていたんですよね。 ドラマ「応答せよ1997」#941   「応答せよ」

ドラマ「応答せよ1997」#941

「韓国の追っかけは、本当に“推し”と結婚できると思ってるんですよ」 ドラマ「応答せよ1997」を観たという話をしたとき、韓国人の友人が説明してくれました。 ドラマの中で、チョン・ウンジ演じるシウォンは、H.O.T.のトニー・アンの熱烈なファンでした。コンサートに行って、倒れるくらい叫び続けるんです。 彼女も本当はトニーと結婚したかったのかな……。 H.O.T.とSechs Kiesは、90年代に絶大な人気を誇るアイドルグループで、女子高生たちは文字通り熱狂したんだそう。 (画像リンクです) ノスタルジーとコメディが融合し、ミステリー風味を加えたドラマ「応答せよ1997」。当時まだ新人だったチョン・ウンジとソ・イングクの出世作です。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「応答せよ1997」 (画像リンクです) Amazonプライム配信:https://amzn.to/3ouUHuA ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 2012年、かつて釜山廣安高校で同級生だった仲間たちは33歳になり同窓会を開いていた。この中の誰かが今夜結婚を発表し、勉強も恋もそっちのけでアイドルの追っかけをしていたシウォンは、この中の誰かと夫婦になり現在妊娠中。シウォンの幼馴染で優等生のユンジェ、ユンジェの親友で優しいジュニ、ムードメーカーのソンジェ、ソウルからやって来た転校生のハクチャン、シウォンの親友のユジュン、さらに当時彼らの高校の教師をしていたユンジェの兄ジョンホ。果たしてこの中の誰が結婚するのか、シウォンの夫は誰なのか……。 2012年現在と、1997年の高校時代が行ったり来たりしながら進みます。制服姿のチョン・ウンジとソ・イングクが、清らかでかわいい過ぎるの。 字幕だと分かりにくいですが、舞台が釜山なので、高校時代はみんな方言で話しています。 が。 2012年の大人になったメンバーは、きれいな標準語(ソウルの言葉)を話しているんです。 それが、とてもせつない。 わたしは関西から東京に来て、東京弁を話すようになったとき、なんとなく自分の一部を失ったような気がしました。 むかしは東京弁なんて、かっこつけて気取ってるようにしか聞こえなかったのに。 まぁ、いまでも頭の中では関西弁が流れていて、外に出る言葉としては“翻訳”しているようにも思いますが。 慣れ親しんだ自分の「母語」を変えてしまう何か。それが、東京出身者と地方出身

映画「パイプライン」#940

なんだか“穴掘り”コメディが続いちゃったな。 ふと、そんな気がしてしまった映画「パイプライン」。送油管に穴を開けて盗んだ石油を転売するという、発想がキテレツなストーリーで、ドタバタ感もたっぷり。ひたすら楽しい映画です。 最高の穿孔技術を持っているピンドリ役をソ・イングクが演じています。「君に泳げ!」以来8年ぶりの映画で、2作目の主演。 ドラマ「応答せよ1997」や 「元カレは天才詐欺師」 でみせた、ワルかわいさ全開で、ソ・イングクのよさ全部のせ!なストーリーでした。 ☆☆☆☆☆ 映画「パイプライン」 公式サイト: https://klockworx-asia.com/pipeline/ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 盗油業界最高の穿孔技術者として知られるピンドリは、大企業の後継者ゴヌが立案した、数千億ウォンの石油を盗む計画に参加することに。プロ溶接工のチョプセ、地中を透視できるかのように把握しているナ課長、怪力の掘削人ビッグショベル、彼らを監視するカウンターと、人生の大逆転を夢見るメンバーが作戦に加わり、互いに騙し騙されながら計画を進めていくが、やがて事態は予想外の方向にこじれ始めていき……。 送油管に穴を開けて石油を盗み出す「盗油」。日本では聞いたことのない犯罪なので、映画のための設定なのかと思ったら、韓国では年間10件ほど起きていたんだそう。2020年にはたった1件に減ったぜ!わーい!という記事がありました。 [르포]도유범죄 10분의 1로 줄였죠… 석유공급 종착역 판교저유소 가보니   「盗油」って、たしかにライフラインへの打撃は大きいけど、大胆だけど地味な犯罪ですよね。おまけに、“穴掘り”映画って、ほとんどの場面が地下になってしまうんです。 その単調になりそうな展開を、裏切り行為とだまし合い、ワケアリメンバーの事情で盛り上げるので、飽きさせない。下手すると「ありきたり」になりそうな素材をうまく組み立て、ド派手にドッカーンが楽しめます。 ユ・ハ監督は、この映画を「負け犬のアクション・カーニバル」と語っていて、なるほど、まさに!でした。 盗賊一味のリーダーであるピンドリを演じたソ・イングクは、筋肉美を披露しつつ、泥まみれの焦燥感漂う風貌。 (画像はKMDbより) インタビューで、「着飾るけどヒゲのそり残しがあるとか、もし気づいてもらえたらありがたい」と語ってい

映画「コレクターズ ソウルに眠る宝刀を盗み出せ」#932

韓国版「インディ・ジョーンズ」は、痛快・爽快だった! イ・ジェフンやチョ・ウジンといった芸達者な俳優たちが、“盗掘”のスペシャリストを演じた映画「コレクターズ ソウルに眠る宝刀を盗み出せ」。 だまし合いとリベンジが、軽~いノリで展開されるので、気持ちよく笑える映画です。 ☆☆☆☆☆ 映画「コレクターズ ソウルに眠る宝刀を盗み出せ」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 天才盗掘師のカン・ドングは、ある盗みをきっかけに古美術家でエリートキュレーターのユン室長に目をつけられる。彼女のボスの命令により、ドングは「韓国のインディアナ・ジョーンズ」と自称する古墳壁画盗掘専門家のジョーンズ博士とタッグを組み、高句麗の古墳壁画を盗むことに成功。ユン室長の信頼を得たドングは、韓国のど真ん中・宣陵に眠る「李成桂の刀」を盗む危険な取引を提案するが……。 カン・ドングを演じるのは、イ・ジェフン。 「金子文子と朴烈」 や 「シグナル」 とはまた違う、知恵も、熱さもモリモリな青年です。 その相方となる古墳の壁画盗掘専門家を演じるのは、チョ・ウジン。なんと、自称「韓国のインディアナ・ジョーンズ」。当然、帽子もかぶってます。そしてこれが上手いオチに使われています。 (画像は映画.comより) ドングの抱える過去は、わりと早い段階で明かされるので、あとはどうやってリベンジを果たすのかを楽しみに観ることができます。 お仲間もクセのある人ばかりなんですが、イム・ウォニが合流したところで、「キタキタキターーーッ!!」となりました。 画像の中、車の横を歩いているおっちゃんです。 (画像は映画.comより) ドラマ 「ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です」 では、義理堅く、懐の深い弁護士を演じていましたが、「神と共に」シリーズや 「補佐官」 シリーズでみせた、コミカルな演技も大好き。 (いつ、泣き真似をしてくれるんだろう……) と期待して待っていたら、期待通りの展開が待っていました。 悪を持って悪を制す部分はありつつ、最後は「みんないい人」で終わるところも、韓国映画らしさが漂っています。 韓国版・ジョーンズ博士の機知とキュートさが、最高に楽しめる映画。日本ではブルーレイが発売されているくらいで、シネマートの「のむコレ」で上映されていました。 アジア作品を中心とした選りすぐりのラインナップ!劇場

ドラマ「密会」#921

恋はするものじゃなく、落ちるものだ。 「若手実力派俳優」と呼ばれていたユ・アインが、20歳も年上の女性と恋に落ちる役ということで注目を集めたドラマ「密会」。 ユ・アインの相手役ヘウォンを務めたのが、キム・ヒエでした。 美しくて、謙虚で、でも内に野心を秘めている。 ユ・アイン演じるピアニストのソンジェの才能に惚れ、いつしか自分も恋してしまう。成功と豊かな生活を求めていたヘウォンが、見つけたものとは? ☆☆☆☆☆ ドラマ「密会」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> バイク便のアルバイトをしているイ・ソンジェは、蝶ネクタイを届けに音楽祭の会場へ向かう。舞台に置かれたピアノを目にし、衝動的に演奏してしまう。演奏を耳にしたカン教授に呼び出されたソンジェは、カン教授の妻であるヘウォンの指導を受けることになり……。 原作は、江國香織さんの小説『東京タワー』です。 (画像リンクです) 年齢差のあるふたりの恋愛ということで、生臭くなりそうなんだけれど、キム・ヒエの上品さが抑えになっていたように思います。 キム・ヒエが演じたヘウォンの夫役は、パク・ヒョックォン。もうこの人、気の毒なくらいに「妻」に悩まされる役ばかりなんですけど、イヤミな感じを出すのが本当にうまいんです。 (画像はJTBCより) 主人公のふたりがピアニストということもあって、バッハの重いメロディ、モーツァルトの軽やかなメロディなどなどが、効果的に使われています。パク・ジョンフンやシン・ジホら、本物のピアニストも出演。OSTがめちゃくちゃ豪華です。 (画像リンクです) オトナの事情に反発する青年と、ずっと内に秘めてきた野心と恋を天秤にかける女。 おまけに財団の不正経理といった裏事情まで出てきて、ドロッとしていきそうな展開ですが、「純愛」と呼びたくなるほど、しっとりしたストーリーです。 2014年に開催された各アワードで、脚本賞や演技賞を受賞。JTBCの歴代ドラマで最高視聴率を記録と、ユ・アインにとっても、キム・ヒエにとっても、大当たりのドラマでした。 このドラマのユ・アインは、一直線な青年でしたね。 ドラマ「密会」 JTBC  全16話(2014年) 監督:アン・パンソク 脚本:チョン・ソンジュ 出演:キム・ヒエ、ユ・アイン、パク・ヒョックォン、パク・ダミ