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ドラマ「応答せよ1997」#941


「韓国の追っかけは、本当に“推し”と結婚できると思ってるんですよ」

ドラマ「応答せよ1997」を観たという話をしたとき、韓国人の友人が説明してくれました。

ドラマの中で、チョン・ウンジ演じるシウォンは、H.O.T.のトニー・アンの熱烈なファンでした。コンサートに行って、倒れるくらい叫び続けるんです。

彼女も本当はトニーと結婚したかったのかな……。

H.O.T.とSechs Kiesは、90年代に絶大な人気を誇るアイドルグループで、女子高生たちは文字通り熱狂したんだそう。

(画像リンクです)


ノスタルジーとコメディが融合し、ミステリー風味を加えたドラマ「応答せよ1997」。当時まだ新人だったチョン・ウンジとソ・イングクの出世作です。

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ドラマ「応答せよ1997」

(画像リンクです)

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<あらすじ>
2012年、かつて釜山廣安高校で同級生だった仲間たちは33歳になり同窓会を開いていた。この中の誰かが今夜結婚を発表し、勉強も恋もそっちのけでアイドルの追っかけをしていたシウォンは、この中の誰かと夫婦になり現在妊娠中。シウォンの幼馴染で優等生のユンジェ、ユンジェの親友で優しいジュニ、ムードメーカーのソンジェ、ソウルからやって来た転校生のハクチャン、シウォンの親友のユジュン、さらに当時彼らの高校の教師をしていたユンジェの兄ジョンホ。果たしてこの中の誰が結婚するのか、シウォンの夫は誰なのか……。


2012年現在と、1997年の高校時代が行ったり来たりしながら進みます。制服姿のチョン・ウンジとソ・イングクが、清らかでかわいい過ぎるの。

字幕だと分かりにくいですが、舞台が釜山なので、高校時代はみんな方言で話しています。

が。

2012年の大人になったメンバーは、きれいな標準語(ソウルの言葉)を話しているんです。

それが、とてもせつない。

わたしは関西から東京に来て、東京弁を話すようになったとき、なんとなく自分の一部を失ったような気がしました。

むかしは東京弁なんて、かっこつけて気取ってるようにしか聞こえなかったのに。

まぁ、いまでも頭の中では関西弁が流れていて、外に出る言葉としては“翻訳”しているようにも思いますが。

慣れ親しんだ自分の「母語」を変えてしまう何か。それが、東京出身者と地方出身者の間に横たわっているのかもしれません。

あ、でも、ドラマ自体は、そんなセンチメンタルを吹き飛ばすような勢いに満ちています。

バラエティ番組出身のシン・ウォンホ監督とイ・ウジョン脚本家のコンビによって、「応答せよ1994」、「応答せよ1988」のシリーズ3部作が制作され、ユーモアを交えたヒューマンドラマの系譜は「刑務所のルールブック」、「賢い医師生活」へと続いていきます。



1997年の12月、韓国は通貨危機にみまわれ、経済的に大打撃を受けることになります。悲劇が起きるその寸前の、夢のような時間。それがノスタルジーを感じさせ、青い春を生きる若者たちのファンタジーに酔いしれる。

韓国で大人気となった秘密は、その辺りにありそうです。

1997年に18歳(韓国の年では19歳)だった、メンバーたちも、いまでは40代のはず。いまでも、“推し”との結婚を考えているかしら。

いまはどんな夢を見ているのかな。


ドラマ「応答せよ1997」tvN 全16話(2012年)

監督:シン・ウォンホ、パク・ソンジェ

脚本:イ・ウジョン、イ・ソンヘ、キム・ランジュ

出演:チョン・ウンジ、ソ・イングク、シン・ソユル、ウン・ジウォン、イ・シオン、ホヤ、ソン・ジョンホ、ソン・ドンイル、イ・イルファ



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