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『はずれ者が進化をつくる --生き物をめぐる個性の秘密』#991

「雑草は、踏まれても踏まれても立ち上がる」は、間違い。 これを知って、かなり驚きました。 抜いても抜いても生えてきて、なんでこんなところから?と思うような場所からも顔を出してくる雑草。踏まれて倒れたぐらいでは、へこたれない。これほど「強い」草はないと思っていたのに! 雑草を研究しているという、静岡大学教授の稲垣栄洋さんの本『はずれ者が進化をつくる』に紹介されていた、「雑草魂」というか、「雑草戦略」には学ぶところが多かったです。 ☆☆☆☆☆ 『はずれ者が進化をつくる --生き物をめぐる個性の秘密』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 『はずれ者が進化をつくる』などを出している「ちくまプリマー新書」は、「ちくま新書」の姉妹レーベルという位置づけだそうで、ラインナップにはヤングアダルト向けの本が並んでいます。 2018年には既刊本が300点を超えたそうで、特設サイトがありました。稲垣栄洋さんの本も「五本柱」のひとつに選ばれています。 ちくまプリマー新書 祝★300点突破!   ティーンエイジャーが対象なので、語り口がやさしい本が多いのが特徴。大人が読んでも十分におもしろいです。 植物はもちろん、地球上の生物は「違うこと」に価値をおいてきました。これはあくまでバラバラなのであって、優劣ではありません。 バラバラではあるけれど、中央値みたいな生存適性はあって、隅っこには「はみだしもの」もいます。で、環境などの変化が起きたとき、この「はみだしもの」が生き延び、そしてまたその「はみだしもの」が中央値となり、あらたな「はみだしもの」が生まれ……というように、生物は進化してきました。 だけど現代の人間たちは「ナンバーワンよりオンリーワン」と言ってみたり、「いやいやそれじゃ甘いよ、やっぱりナンバーワンじゃなきゃ」と言ってみたりする。 そして、 わたしのオンリーワンってなんだっけ? 自分らしさってどういうこと? 個性を出せってどうすればいいの? といった悩みを抱えてしまうのです。 「考える葦」である人間って、自分で悩みを作り出しているようなもんなんですね……。 冒頭に書いた雑草の戦略「雑草は踏まれても立ち上がらない」。 雑草にとっては「立ち上がる」ことが大事なのではなく、「種を残す」ことが目標だから、立ち上がらない方がよければ、横に伸びたり、根を伸ばしたりして、目的を果たすのだそう。 立ち上

『一切なりゆき 樹木希林のことば』#971

そういえば、最近「新書」を読んでないかもしれない。 珍しく外出する予定があったとき、気が付きました。理由は単純。家にいる時間が長くなったので、薄い本より分厚い本を読むようになったから。 ここ2年くらい「鈍器本」と呼ばれるほど分厚い本が多く出ていて、中にはベストセラーになっているものもあります。 厚くて高価な「鈍器本」が異例のベストセラー おうち時間の学びに…女性におすすめの一冊も   上の記事にある『独学大全』なんて、寝転んで読むには重すぎるくらい分厚いです……。 「新書」には「新書」の良さがあるんだけどなと思う程度には、「新書」好き。久しぶりに手に取ってみたのは、樹木希林さんの『一切なりゆき 樹木希林のことば』です。 ☆☆☆☆☆ 『一切なりゆき 樹木希林のことば』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 2018年に亡くなられた樹木希林さん。どんな姿を思い出すかは、世代によって違うかもしれません。 わたしは富士フイルムのCMのイメージが強いです。毎年お正月前になると、岸本加世子さんとの楽しいやり取りのCMが流れていたんですよね。 「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」というキャッチフレーズは、当初は「美しくない方も美しく」だったものを、希林さんの提案で修正したものだとか。 こうした他者への想像力や感性が、彼女の演技力を支えていたのかもしれないと、本を読んで感じました。 さまざまな雑誌に掲載されたエッセイから、154の言葉を紹介しています。 後ろを振り返るより、前に向かって歩いたほうがいいじゃない、という話に続いて、 「自分の変化を楽しんだほうが得ですよ」 なんて言葉があったり。 ほとんど服などを買わないという希林さんが、 「物を買う代わり、自分の感性に十分にお金をかけるほうがいい」 ということを娘の也哉子さんに伝えていたり。 人生のこと、俳優としてのこと、女として、病を抱えた者として、日々感じていたことからは、途方もなく“人間くさい”姿が感じられます。 巻末には、也哉子さんの「喪主代理の挨拶」も収録。 理解しがたい関係だった両親の、知らなかった一面をのぞいたエピソードには、ホロッとしてしまいました。 「おごらず、他人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」 母から贈られたという、このメッセージ。全人類に伝えたい。

『エア新書―発想力と企画力が身につく“爆笑脳トレ”』#772

孫正義著『お金持ちに見られないための10の鉄則 ―なぜしょぼい感じなのか?』 こんなタイトルの本があったら、思わず買ってしまう……かもしれない。いや、わざわざ“しょぼく”見せるほど、お金持ちでもないしなーと思ってしまうかな。 でも、この本は本当に刊行されるものではありません。編集者の石黒謙吾さんが、“お遊び”がてら考えた「エア新書」のタイトルなんです。 ☆☆☆☆☆ 『エア新書―発想力と企画力が身につく“爆笑脳トレ”』 https://amzn.to/3sEqU3C ☆☆☆☆☆ 「新書」というサイズの本の出版は、1938年に岩波書店から始まったのだそうです。古典の岩波文庫に対して、書き下ろしの教養系をテーマとしていました。 その後、1961年に中公新書が、1964年に講談社現代新書が創刊され、「新書御三家」と呼ばれるように。 1998年に「文春新書」、1999年に「集英社新書」、そして2003年に「新潮新書」などが創刊され、内容もアカデミックなものからライトなものへと変化してきたそう。 “ライト”といえば、まだ聞こえはいいけど、正直に言って(うーん……)となるものもある気がしますがね。 バブル崩壊…出版不況のなかで探った「現代新書」らしい切り口とは?(現代新書編集部)   わたしは新書が好きで、よく手に取る方だと思います。新聞の調査報道のような読み応えのあるものもありますし、興味のある分野の入り口にもいい。 で、思うこと。 新書のタイトルって、とても特徴的……。 「一瞬、なに言ってるか分からない」とか、「意外なものを組み合わせている」とか。 石黒さんは、タイトルの方向性について、エポックメイキングとなった本が、公認会計士である山田真哉さんの『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』だと指摘されています。 ☆☆☆☆☆ 山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』 https://amzn.to/3gpuBoR ☆☆☆☆☆ この本がヒットした後、「○○はなぜ○○なのか?」が類型化し、「○○の品格」と「○○の壁」といったパターンも爆増。 『エア新書』は、こうした「今風の新書っぽいタイトル」をパターン化し、架空の新書タイトルを考えてみよう、という本なんです。 人物 × タイトル × サブタイトル × 帯 考えるのはこの4つ。タイトルに“爆笑脳トレ”とあるよ

『女たちの韓流――韓国ドラマを読み解く』#758

韓国ドラマを観ていて一番感じるのは、「家」の中における女性の立場の弱さです。自分が女性な分、女性の登場人物に感情移入してしまうからでしょうか。 なぜ、そこまで耐えないといけないの!? そう感じることもしばしば。ダンナを尻に敷いているようでいて、嫁としての役割はきっちり果たすこともあれば、まるで家の奴隷のようなことも。日本とは違う次元の「嫁姑戦争」も多く、文化の違いを感じさせます。 そんなドラマに描かれる“女性”に注目して、解説した本が、山下英愛さんの『女たちの韓流――韓国ドラマを読み解く』です。 ☆☆☆☆☆ 『女たちの韓流――韓国ドラマを読み解く』 https://amzn.to/3Ak5uv9 ☆☆☆☆☆ 山下さんの専門は、韓国女性学。2013年と、ちょうどパク・クネ大統領が就任したばかりの頃に発刊された本です。 パク・クネ大統領は、東アジア初、韓国史上初の女性大統領に就任したわけですが、ドラマでは、この3年前の2010年に放送された「レディプレジデント」で、コ・ヒョンジンが初の女性大統領役を演じています。 (画像はAmazonより) ☆☆☆☆☆ ドラマ「レディプレジデント」 https://amzn.to/3ABt4DV ☆☆☆☆☆ 本では、ドラマと現実の選挙戦が比較されています。現実の方では、男性議員による的外れなジェンダー批判がされ、感情的な争いも起きていたそう。ドラマはそこまでの闘いはなく、クォン・サンウの献身的な愛に打たれる展開です。 紹介が1990年代後半のドラマから始まっているので、知らないものがたくさんありました。これをひとつずつ観るには、レンタルDVDしかないかもしれないですね……。 韓国で「メロドラマの巨匠」と呼ばれるキム・スヒョン脚本家の「青春の罠」は、1978年に放送された当時、放送倫理委員会の基準に抵触し、放映を打ち切られてしまったのだそう。 軍事政権下では、三角関係・未婚の母・夫の浮気はNGだったから!!! いま、そんな基準を適用しちゃうと、半分くらい消えちゃうんじゃないでしょうかね。 “マクチャンドラマ”と呼ばれた、非現実的なほどあり得ない展開が次々に起こるむかしのドラマは、それはそれでおもしろかったです。でも、古い作品に描かれた女性たちの窮屈さを思うと、いまのドラマは格段に自由にモノが言えるようになった感があります。仕事を持ち、夢を

『「%」が分からない大学生 日本の数学教育の致命的欠陥』#709

算数が苦手です。 子どものころに理解しようという努力をしなかったのもありますが、とにかく好きになれなかったんですよね。 あまりのできなさに呆れた上司から、「お前に理解しろとは言わない」と言われる始末。幸い、周りには必ず算数が得意な人がいて、計算をしなければならない時は、全部お任せでやり過ごしてきました。 なのに、今さら算数に苦しめられるなんて……。 わたしは勤め先の会社で社内研修を担当しています。昨年からのテーマは「数字力の強化」。一番やりたくないことに手を付けなければならなくなった悲劇よ。チョコが手放せない。 元はといえば、原稿を読んでいて、「算数おかしくない?」ということが続いたからです。発狂したくなるほど愉快なグラフ、母数のそろっていない割合の計算などなど、算数が苦手なわたしが見ても、「これってやばいのでは」という状況でした。 わたし自身、計算はできないけど、「校正原稿を読んでいる時はおかしいことに気が付く」というポンコツなレベルなので、どこで気が付くんだろう、どこが分からないんだろうを探りつつ、昨年から何度かに分けて「数字を使わない算数講座」を実施してきました。 そして気付いたこと。 ・割合と平均(比も)の違いが分からない人が一定数いる ・割合の足し算(引き算も)が分からない人が一定数いる ・日本語と計算式の行き来ができない人が一定数いる たぶん、これらが一番大きなネックのようです。 わたしが算数を苦手と感じるようになったのは、中学1年生の時のこと。当時の数学の先生が苦手だったからです。続く2年生の時の先生も、ドラムのバチのような棒を振り回している先生だったため、勉強しようという努力をキッパリ止めました。 研修の講師をしてくれた後輩からは、「なんでこれを知らないんですかー!?」と何度も言われましたんですよね。だって、知らないことが多い・習ったのがはるか昔のこと過ぎて覚えていないせいだと思われます。言い訳です。 でも、大学を卒業して数年のメンバーたちが、これほど苦手だとは……。念のために付け加えておくと、みんなそれぞれすばらしい大学を卒業している人たちです。 小学生用の算数ドリルを買ってきて、分からない問題の型を探しつつ、どういう研修ができるだろうと調べていた時、桜美林大学で数学教育をされている芳沢光雄さんの『「%」が分からない大学生 日本の数学教育の致命的欠

『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』#708

字幕翻訳は「要約翻訳」だと語る、太田直子さん。映像翻訳は「1秒4文字」が絶対に厳守すべきルールなためです。 映画を観るなら字幕派で、実際に字幕翻訳もしていたわたしにとって、太田さんの『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』は、痛快愉快な一冊でした。 ☆☆☆☆☆ 『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』 https://amzn.to/3vOQ27L ☆☆☆☆☆ 著者の太田直子さんは、「ボディガード」や「コンタクト」など、多くのハリウッド映画を手掛けられている方です。 字幕翻訳の裏側を綴った本は他に、『字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記』『字幕屋に「、」はない (字幕はウラがおもしろい)』があります。 太田さんがいかにして字幕翻訳家となったのかを綴った『字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記』は、あまりコースが明確でない「プロの翻訳家」となるまでの道のりが見どころ。 字幕文化へのプライドを感じる『字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記』 #82   『字幕屋に「、」はない (字幕はウラがおもしろい)』は、タイトルどおり字幕に「、」や「。」を使わないことなど、技術的な話というか、そこから生まれる苦労を綴った本。 映画を2倍3倍楽しむ裏技『字幕屋に「、」はない』 #81   そして『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』には、日本語に悩まされる字幕屋さんの苦労が綴られています。 日本語の文章で一番難しいのは、なんだと思いますか? 太田さんは、言葉の使い分けではないかと指摘。年齢、性別、敬語、立場の違いによるキャラクターは、一人称や語尾に反映されます。そのため、一本の映画の中で言葉が変化するのか、しないのかまで含めた選択をしなければならないのです。 めっちゃ大変な仕事ですね……。 日本で初めて映画に字幕がついたのは、1931年に上映された「モロッコ」という映画だったそう。工夫と試行錯誤を重ねた日本の字幕文化は、世界一クオリティが高いとのこと。 Netflixなどの配信サービスが増えたことで、英語圏でも字幕で映画を観るスタイルへの抵抗が薄れた、といわれています。ただ、量産されることで、質の担保が難しくなるのも事実。でも、字幕って職人仕事のイメージがあるから、ひとりで改善していくのは厳しいかもしれませんね。 韓国ドラマ「それでも僕らは走り続ける」の主人公オ・ミジュが、まさに字幕翻訳家の仕事をしていました

『ジェンダーで見るヒットドラマ 韓国、アメリカ、欧州、日本』#707

配信サービスが充実してきたおかげで、観たいドラマが増えました。といいつつ、韓国ドラマばかり観てしまうのですけれど。 治部れんげさんの『ジェンダーで見るヒットドラマ 韓国、アメリカ、欧州、日本』を読んで、久しぶりに他の国のドラマも観てみたくなりました。 韓国、アメリカ、カナダ、デンマーク、そして日本のドラマをジェンダー視点で読み解いた本です。 ☆☆☆☆☆ 『ジェンダーで見るヒットドラマ 韓国、アメリカ、欧州、日本』 https://amzn.to/2THEiXh ☆☆☆☆☆ 韓国ドラマから取り上げられているのは、 「愛の不時着」 、 「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」 、 「SKYキャッスル」 、 「椿の花咲く頃」 、「ミスティ」、「私の名前はキム・サムスン」です。 「私の名前はキム・サムスン」 だけちょっと古くて2005年のドラマ。それ以外は2018年から2020年に放送されたドラマです。 治部さんが初めて観た韓国ドラマは、ヒョンビンとハ・ジウォン主演の「シークレット・ガーデン」だったそう。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「シークレット・ガーデン」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ その後、ヒョンビンつながりで「愛の不時着」をおすすめされ、すっかりハマってしまったのだとか。出合いがこのパターンだと、ずいぶん甘ったるいイメージになっちゃうんじゃないかなーと思っておりました。 でも。 ジェンダーの視点で切り取ると、なるほど、こういうおもしろさもありましたね!と思うところがいっぱいでした。 特に「椿の花咲く頃」です。わたしにとっては、ミステリー部分が不完全燃焼だったのですが、たしかに「田舎町で偏見と戦うシングルマザーの物語」としてみると、魅力が120%増しに。もう一度見直したくなりました。 人は、誰かの奇跡になれるだろうか? ドラマ「椿の花咲く頃」 #381   30代の主人公の恋愛に口を出す。子どもの受験戦争に母の方が必死になる。韓国ドラマにとって家族との関係は切っても切れないものです。 一方でアメリカやカナダ、ヨーロッパのドラマが描くのは、個人主義と核家族の世界観。日本のドラマはその中間にあたるのではないか、と指摘されています。 各国のドラマを、社会事情と共に紹介しているので、「次に観たい」を探す格好のガイドブックだと思います。 日経BP社でエンタメ雑誌の記者をされていた治部さん

『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』#706

お笑いの世界は、異種格闘技だった……! 欽ちゃん、ドリフから、さんまさん、とんねるずへ。そしてダウンタウンやナインティナインから「第7世代」と呼ばれる人たちへ。 芸人とテレビの関係性の変化に注目し、各世代の特徴を論じたラリー遠田さんの『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』は、芸人世界の熾烈な闘いの歴史がつまった一冊です。 ☆☆☆☆☆ 『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』 https://amzn.to/3gv3UiQ ☆☆☆☆☆ わたしにとっての「お笑い番組」は、いわゆる「しゃべくり漫才」であり、落語でした。関西では日曜日の昼間に漫才や落語の番組、そして吉本新喜劇が放送されていたからです。 上京してすぐの頃、江戸前の落語を聞いてみたくて出かけたことがあります。よりによって、立川談志師匠の独演会でした。 地方出身者にとって、たぶん東京在住の人の100倍くらいに感じられる江戸弁の迫力。たたみかけるように放たれる言葉に震え上がりました。わたしの江戸前落語デビューは、ほぼ聞き取れない&怖い×怖い×怖いとなったのでした。 関東の人だって、西の方の言葉を聞くと怖く感じることがあるらしいですが、それでも「関西弁」が受け入れられるようになったのは、さんまさんの功績が大きいといわれています。つまり、テレビの影響。 日本でテレビ放送が始まった1953年から、多くの芸人が「テレビの笑い」を追求してきました。 本では、芸人が生まれた年代によって世代を7つに区切り、それぞれの世代の特徴をみています。 ・第一世代:1931~1946年生まれ → いかりや長介と萩本欽一 ・第二世代:1947~1960年生まれ → ビートたけしと明石家さんま ・第三世代:1961~1970年生まれ → とんねるずとダウンタウン ・第四世代・第五世代:1971~1976年生まれ → スター不在 ・第六世代:1977~1988年生まれ → 谷間の世代 ・第七世代:1989年以降の生まれ → デジタルネイティブ世代 演芸場の舞台を知る第二世代までと、「師匠」を持たない芸人である第三世代以降との違い。そして、「お笑い」以外のスキルを打ち出していった第六世代以降の、ある意味「自由」な雰囲気。これらは俗に言う「世代論」とも、マッチしているように思います。 たぶんわたしは第六世代くらいの人が活躍し始めた頃から、テレビ

『効かない健康食品 危ない自然・天然』#705

「○○は美容にいい」「△△を食べて痩せた」 これらの謳い文句は、本当なのか? 製品の「機能性」ではなく、「気のせい」なのではないか? そんな指摘にドキリとする本が、松永和紀さんの『効かない健康食品 危ない自然・天然』です。 ☆☆☆☆☆ 『効かない健康食品 危ない自然・天然』 https://amzn.to/3vvxAR4 ☆☆☆☆☆ 著者の松永さんは毎日新聞社の元記者で、現在は科学ジャーナリストとして活動されています。「Food Communication Compass」という、科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体を設立。いまは団体を離れておられるようですが、webサイトの情報もけっこう充実しています。 FOOCOM.NET 科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体   わたしはマーケティングの会社に勤めていて、校閲ガールをしながら、薬機法管理者としての仕事をしています。スキンケア商品や健康食品などのプロモーション施策に、「こうした表現は使える?」という相談を受けるのが仕事です。そこで日々、感じること。 できないことを求めすぎ! さまざまなレイヤーの人が絡む分、知識量が違うので仕方ないのでしょう。「そんな効果があるのは医薬品だけでは」とか、「外科的手術を受けないと、そんなことムリでは」と疑問に思うこともよくあります。 一方で、何年も前に作られた法律の範囲と、技術の進歩が合っていないとも感じます。どんどんと新しい成分が作られるのに、法律が追いついていない、ともいえる状況かな。 ちょっともったいないと思う気持ちもありつつ、それでもやっぱりタチが悪いと言わざるを得ないのは、健康食品の広告です。 同じ画像を使い回していたり。 どうせなら10kgがいいなと思ってしまうよ。 「痩せすぎて怖い」んじゃなくて、「病院に行った方がいいよ」という画像によるアオリも多い。 ちなみに、全部違う商品の広告です。念のため。 ゲームをしたり、YouTubeを見たりしながら、愉快な(?)広告を集めるのが趣味になりました……。 広告を配信する側でも動きがあって、popInが広告審査を強化することを発表。今後は、よりホワイトな方向に向かうのでしょうか。 国内最大級のネイティブアドネットワーク「popIn Discovery」、広告審査体制を一層強化、信頼性の高い広告配信実現のために広告審

『ねじ曲げられた「イタリア料理」』#704

「イタリアンの料理人にとって、パスタはカップ麺を作るようなもんらしいですよ!」 知り合いの韓国人が、「息子がイタリアンレストランを開くんですよー」と言ったので、「いつでもおいしいパスタが食べられそうですね」と答えたら、そう諭されました。知らなかったよ、すんません。 まさか「カップ麺」てことはないんじゃないかと思いますが、わたしがイメージできる「イタリア料理」って、実はいろんな文化をミックスして出来上がっているらしいのです。 ファブリツィオ・グラッセッリさんの『ねじ曲げられた「イタリア料理」』は、そんなイメージとしての「イタリア料理」の誤解を解く本です。 ☆☆☆☆☆ 『ねじ曲げられた「イタリア料理」』 https://amzn.to/35iQO1X ☆☆☆☆☆ 著者のファブリツィオ・グラッセッリさんは、イタリア出身の建築家です。日本の大手ゼネコンで仕事をするために来日し、「イタリア風」と表記される「イタリアもどき」な料理に胸を痛めていたのだそう。 建築家としての仕事はもちろん、大学では西洋美術史の講座を持ち、ピアニスト志望だったためクラシック音楽への造詣も深く、ワインにも料理にも詳しい。 なんだかすごい経歴なのですが、読み始めてすぐのころは、「オーガニック絶対主義者!?」かと思った……。 トマト缶に保存料が入っているなんて! ピッツァに焦げなんてとんでもない! と、日本式イタリア料理に怒ること怒ること……。 とはいえ、料理とは、その土地の環境や、食材の保存技術によって進化を遂げてきたものです。「イタリア料理」に欠かせない食材と思われている「トマト」の歴史が、日本の歴史に沿った形で分かりやすく紹介されています。 「オリーブオイル」の歴史も刺激的でした。 以前、「バージンじゃないオリーブオイルを探してるんだけど、近所のスーパーになくてさー」という話をしたら、友人が「バージンじゃないオリーブオイルってなに?」と言っていました。「エクストラ・バージン・オイル」って、もう商品名として認知されているんですね。 「エクストラ・バージン・オイル」とは、いわゆる「一番搾り」のオイルです。風味があるけれど、加熱すると失われやすい成分が入っているので、生で使うのがおすすめだそう。我が家では加熱調理にオリーブオイルを使うことがあるので、「バージンじゃないオリーブオイル」が欲しかったのでした。

『パパ活の社会学 援助交際、愛人契約と何が違う?』#703

バブルが崩壊した20世紀の終わりごろ、世の中はコギャルブームでした。このとき、女の子たちは、自分たちの若さと性が「お金」になることを知ったといえるかもしれません。 援助交際や、下着を売るといった行為は、社会問題にもなりました。でも、一度こうした形でお金を稼ぐ“手段”を知ってしまうと、容易に後戻りができなくなってしまうのではないかしら。 年上の男性とデートをして、見返りに金銭的な援助を受ける「パパ活」。その世界を紹介した、坂爪真吾さんの『パパ活の社会学 援助交際、愛人契約と何が違う?』は、ちょっと目をパチクリさせながら読みました。 ☆☆☆☆☆ 『パパ活の社会学 援助交際、愛人契約と何が違う?』 https://amzn.to/2TwhCc4 ☆☆☆☆☆ 林真理子さんに『花探し』という小説があります。主人公は、プロの愛人。パトロンが経済的に厳しくなると、次の「男」へと譲られる。彼女のプロっぷりがみどころなのですが、「パパ活」は、もっと素人っぽいというか、お手軽というか。とはいえ、地方から上京した大学生の場合は、切実にお金の問題もあるようです。 「パパ活」を受ける側は「身体が目当て」だと思っていましたが、そうではない人もいます。口だけかもしれないけど……。 一方の「パパ活」をする側に結婚願望がある場合、今後、苦労しそうだなと感じます。話題、経験、連れて行ってもらうお店やメニューなど、相手の年齢が上で経済力がある分、いろんな“水準”が上がってしまうので、目が肥えてしまうのでしょうね。 では、「パパ活」で恋に落ちることはあるのか。はたまた友情が芽生えることはあるのか。 見極めるポイントになりそうな例がありました。 男性から「たまには君がおごってよ」と言われた方のお話です。その人と会うことはイヤではないし、お金が欲しいから会うわけでもない。いろいろ迷って得た結論は。 “自分がお金を払って、自分の時間を使ってまで会いたいかというと、そこまでではない……” この方の結論は、他のことにもあてはめられそうです。 現在は難しいけれど、かつては職場の飲み会や、上司に誘われて行く飲みニケーションが活発に行われていました。このとき、飲み代はもちろん、自分の時間も差し出すことになりますよね。 年上世代は、若手世代が「自分がお金を払って、自分の時間を使ってまで」飲みに行きたいと思っているのかどうか

『うんちの行方』#702

人間誰しもお世話になる場所、トイレ。 「アイドルはトイレに行かない」なんて、真剣に語られていた時代もありましたね。そんな時代の「おじさん(失礼!)」ふたりが、真剣に「シモ」の問題に向き合った本が『うんちの行方』です。 タイトルどおりの本なので、あんまりご飯を食べながら読むものではないです。でも、ところどころにずっこけるほどの爆笑問題が仕込まれていて、知らず知らず引き込まれていく「うんち」の世界でした。 ☆☆☆☆☆ 『うんちの行方』 https://amzn.to/3wjYmNz ☆☆☆☆☆ ダンナの「お腹“クルクル”病」に、病名らしきものがあると知ったのは、2007年9月ごろのことでした。このころ、何があったかはググってみてください。 我が家で「お腹“クルクル”病」と呼んでいる症状とは、こんなものです。 ご飯を食べたら、すぐに“クルクル”。 気持ちがアワアワしたら、すぐに“クルクル”。 ダンナとどこかに出かける時は、常にトイレの場所を確認してスケジュールを決めるくらい。 世の中には意外と「お腹“クルクル”病」に悩む人が多いことを知ったのは、『タイムマシンで戻りたい』という本によってでした。「日本うんこ学会」という、現役のお医者さんが立ち上げた、いたってマジメな組織が編集しています。爆笑の連続なんだけど。 つらすぎる経験を乗り越えて 『タイムマシンで戻りたい』 #208    韓国の水原には、「解憂斎(ヘウジェ)」というトイレ博物館があります。元水原市長で、世界トイレ協会会長だった故・沈載徳(シム・ジェドク)さんの自宅を博物館として開放したもので、昔のトイレや世界のトイレを展示。家自体、トイレの形をしています。 花壇も便器型です。 ゲスト用のトイレは、意外とフツー。 なぜ、ここまでトイレにこだわったのか。 トイレの衛生環境を整えることが、暮らしを快適にするからです。市長在職時にトイレの文化改善運動を実施したのだそう。 たしかに、海外から日本に帰ってきて、成田や羽田でトイレに行くと、「ジャパ~ンのトイレはサイコー!」と感じますよね。実際、日本のトイレ機能は、世界一進化していると思います。 そんな最高のトイレを、マドンナやハリウッドスターが買って帰ったことが、『うんちの行方』にも紹介されています。 便器や室内の快適さについて、よく目にする・語られるのは、そこで使われる「商

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』#701

幸せになりたい。ほとんどの人にとって共通する願いのはずなのに、世界は、文明は、知性は、人を幸せにする方向に向かっているのでしょうか。 そして、本当に“努力”で幸せになれるのかしら? 「この社会にはきれいごとがあふれている」と語るのは、作家の橘玲(たちばな あきら)さん。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』は、不都合な事実を認めた上で、少しでも合理的な世の中に向かおうとする本です。 ☆☆☆☆☆ 『言ってはいけない 残酷すぎる真実』 https://amzn.to/3izJ7vU ☆☆☆☆☆ いまの時代、「最後まであきらめなかった人間が成功するのだ」と、“努力”を推奨する声にあふれていますが、でも本当に“努力”は報われるのか。というか、“努力”だけでよいのか。 「残酷すぎる真実」は、文字通り「残酷すぎる真実」を突きつけてきます。外見、教育などが学歴や年収、犯罪歴に及ぼす影響には、ちょっとゾッとした……。 ほとんどの場合、“努力”は“遺伝”に勝てないのです。 とても納得がいったのが、子どもの人格について語ったIII章の「子育てや教育は子どもの成長に関係ない」でした。 ジュディス・リッチ・ハリスという在野の心理学者の研究を基にした論で、ハリス自身は子育て神話を「科学的根拠のないイデオロギー」と断じているのだそう。生まれた子どもにはもちろん、親の遺伝子が引き継がれているのですが、性格をより形作るのは友達関係の中なのだそう。きょうだいで性格が違うのは、こうしたところにあるようです。 『FACTFULNESS』という本にも書かれていましたが、世界はどんどん安全になっています。戦争が続いた20世紀に比べて、「国家による大量殺人」が減っている。これはすなわち、人間の理性は、平和と繁栄を大切にする方に向けられる、ということを意味しています。 知性をよりよい方向に活用するためにも、「残酷すぎる真実」にも、「不都合な真実」にも、目をそらすことはできないのですね。その点、この本は幸せに生きるための「処方箋」にすることもできると思います。 身もふたもない現実に絶望しそうになったら、ふろむださんの『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』もあわせてどうぞ。 早く、何度も、打席に立つ方法 『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』 #322  

『スマホ脳』#700

iPhoneを使っていたら、2年ほど前から、日曜の朝に通知が届くようになりましたよね。 「週間レポートがあります。画面を見ている時間は先週から〇%増えました」 というやつです。iOS12から導入された「スクリーンタイム」を有効にしていると、使用状況を“お知らせ”してくれるんです。グラフで可視化したり、どんなカテゴリのアプリを使っているのかが分かったり。 「使いすぎ」へのアラート機能なので、ゲームの時間が多かったりすると、「あぁ、目がパシパシするのは、そのせいか……」なんて思ったりもします。 1年ちょっと前から在宅勤務となり、ほとんどの時間を家で過ごすようになって、テキメンに減ったのはスマホタイムでした。 それでも、スマホは視界に入っているだけで、記憶力や集中力を低下させるのだそう。 アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』は、いままで漠然と感じていたことを科学的に解説し、「人間の脳はデジタル社会に適応していない」と結論づけています。 ☆☆☆☆☆ 『スマホ脳』 https://amzn.to/2Sr22hY ☆☆☆☆☆ 著者のアンデシュ・ハンセンは、スウェーデンの精神科医です。スウェーデンでは精神的な不調で受診する人が増え、睡眠障害の治療を受ける若者も爆発的に増えているのだとか。 原因として考えられるのが、スマホです。 「SNSの依存性の高さはヘロインに匹敵する」というFacebook開発者の発言など、ちょっと恐ろしげなデータも満載で、ホントに考え直さなきゃなと思えますよ。 そして、SNSでのコミュニケーション問題の原因ってこれなのかも、という話もありました。 脳科学者の中野信子さんは、「日本人の脳は、負の感情が連鎖しやすい傾向にある」と語っていました。 『生贄探し 暴走する脳』#695   『スマホ脳』には、対面よりもオンラインのやり取りの方が、行動に制限がかかりにくいとあります。 “対面で話すにはプライベート過ぎると思うようなことまでネット上ではいとも簡単にシェアしてしまう。(中略)誰かが目の前にいると、私たちは自分の行動を制限できる。” 対面ならば、相手の「反応」が見えます。つまらなそうだな、とか、信用してないみたいだな、とか。そうした表情や身振り=フィードバックを受け取って、自主的に話の内容を調整していたのです。こうした「自己検閲」が働かないのがネットの世界。クソリ

『ちょいバカ戦略 意識低い系マーケティングのすすめ』

「バカ」と名のついたタイトルの本は、売れる!? そんなバカな……。 本だけでなく、数々のヒット商品を「意識の高低」から読み解いた本が、小口覺さんの『ちょいバカ戦略 意識低い系マーケティングのすすめ』です。 ☆☆☆☆☆ 『ちょいバカ戦略 意識低い系マーケティングのすすめ』 https://amzn.to/2Tki5OQ ☆☆☆☆☆ 本のタイトルに「バカ」とついていて、ベストセラーになったといえば養老孟司さんの『バカの壁』でしょうか。2003年に発売されています。でも、時期としては呉智英さんの『バカにつける薬』の方が早かった。1988年の本です。 その後も、立花隆さん『東大生はバカになったか』(2001年)、中川淳一郎さん『ウェブはバカと暇人のもの』 (2009年)などなど。小説なら早見和真さんの『店長がバカすぎて』(2019年)もありました。 こうした本は、周囲にいる「バカ」に疲れる……という、どちらかというと意識の高い人々が低い人々にため息をつく話。ですが、小口覺さんは、ヒット作を生み出すには、意識の低いところから攻めるがよろしと語っています。 上から目線でモノは売れない。もっと「意識低い層」のマインドを理解せよ! というわけで、自動車業界やアパレル業界、飲食店業界などを「意識の高低」で解説。ところどころにクスッとなる箇所もあり、おもしろく読める本です。 「意識低い層」といわれると、ちょっと「ウッ!」となりますが、こぎれいに飾られたものよりも、もっと下世話なインサイトを探せということでしょうか。消費については、原田曜平さんの『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』と合わせて読むのがおすすめ。 実際のところ、背の低いわたしは、背の高い人と比べて、見えている世界が違うと思います。ヒラの会社員と、社長や役員とは、触れている空気も違うし、日本に住んでいる日本人と、日本に住んでいる外国人とでは、住みやすさも違うでしょう。 マーケティングの場だけでなく、「下から目線」は、もっと大切にされてもいいのではないかしらね。

『キラキラネームの大研究』#698

とある小説を読んでいて気が付きました。 (最近の小説の登場人物って、画数多いな……) いわゆる「キラキラネーム」な新人も入社してきた時代。一瞬で覚えられるけど、一度に変換できない、検索できないという問題もあるなーと感じていました。 いろんな想いを込めて名付けていたはずが、なぜ「キラキラネーム」は増えていったのか。元奈良新聞の記者である伊東ひとみさんの『キラキラネームの大研究』は、日本人の名前の歴史を紐解いた本です。 ☆☆☆☆☆ 『キラキラネームの大研究』 https://amzn.to/3gg1svk ☆☆☆☆☆ SF小説家の新井素子のエッセイに、登場人物の名前に関する裏話があります。 素子さんの初期の小説には「一郎」や「太一郎さん」といったシンプルな名前のキャラクターが多いのですが、理由は「手書きだと画数の多い名前は大変だから」。主要なキャラクターは登場回数だって多い。出てくるたびに「権左衛門」とか「熊五郎」とか画数の多い名前は、書いていられない……。だから、書きやすい名前を付けていたのだそう。 手書き時代の作家さんあるあるなのかもしれませんね。 最近の小説で画数の多い名前が増えたのは、パソコンで書く人が増えたからなのかも。単語登録しちゃえば変換も楽ですし。 たぶん画数が多いキャラクターばかり登場する物語といえば、『鬼滅の刃』だと思います。 キャラクター名“画数グランプリ” 優勝したのは!?「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」 #515   「鬼滅」はタイトルからして画数が多い。そして「当て字」な読み方をするキャラクターもたくさん出てきます。 舞台が大正時代だから……と思っていましたが。 『キラキラネームの大研究』によると、日本人の名前で「無理読み」をしているのは、はるかむかし、平安時代からあったそうです。 “音はかわいい響きにしたい。漢字の意味も大切にしたい。漢字の画数も吉数にしなくちゃ。それでいて、少し変わった、でも変じゃない、個性的でステキな名前をプレゼントしたい――” この、「画数」がポイントらしく、画数はチェックするけど、漢字の元々の意味を調べずに使う親が多いとのこと。これまではあまり名前に使われなかった漢字が増えている理由は、こういうところにあったのだとか。 たしかに、漢字としての意味よりも、音の響きが優先されている印象はありますよね。 これも漢字なの!?

『ゴジラとエヴァンゲリオン』#697

日本が誇るコンテンツといえば、マンガやアニメです。 なかでも「ゴジラ」は、ハリウッドでもリメイクされ、世界的に有名なキャラクターになっていますよね。 そのゴジラに庵野秀明監督が挑んだのが2016年。映画の公開直前に出版された、長山靖生さんの『ゴジラとエヴァンゲリオン』は、「ゴジラ」と「エヴァンゲリオン」の歴史を紐解いた本です。 ☆☆☆☆☆ 『ゴジラとエヴァンゲリオン』 https://amzn.to/3iqNQju ☆☆☆☆☆ 「特撮」と「アニメ」は似たようなカテゴリだと思っていたのですが、実際のファン層は少し違うのだそう。おまけにどちらの表現方法が優れているかを巡って、対立することもあったのだとか。 庵野秀明監督による「シン・ゴジラ」への挑戦は、その両者をつないだものともいえます。 ☆☆☆☆☆ 映画「シン・ゴジラ」 https://amzn.to/3w7C7uf ☆☆☆☆☆ 「シン・ゴジラ」に笑い、シリーズ完結編となる「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を見終えたいま、2本の映画を振り返るにはぴったりの本です。 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」#638   先日、なにかの映画を観に行ったとき、庵野監督の次回作である「シン・仮面ライダー」の予告編を映画館で観て、思わずうーんとなったものでしたけど。 「シン・仮面ライダー」超特報 それはさておき、日本が誇るコンテンツである「アニメ」と「特撮」。経済産業省のホームページにも、「クールジャパン戦略」としてマンガやアニメを打ち出していくと書かれています。 https://www.cao.go.jp/cool_japan/about/about.html またまた余談なのですけど、上の大人向けのサイトより、「キッズ・インタビュー」の方がはるかに分かりやすいです。文字文字しくないからかもしれないけど、なぜこうなる……。 https://www.meti.go.jp/intro/kids/interview/cool_japan/ AIとホログラムで蘇った、歴史上の偉人たちがパンデミック下にある政治を立て直す小説『もしも徳川家康が総理大臣になったら』でも、経済産業大臣の織田信長と、財務大臣の豊臣秀吉がリモート万博を企画し、アニメコンテンツをアピールするシーンがありました。 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』#687   「ク