そういえば、最近「新書」を読んでないかもしれない。
珍しく外出する予定があったとき、気が付きました。理由は単純。家にいる時間が長くなったので、薄い本より分厚い本を読むようになったから。
ここ2年くらい「鈍器本」と呼ばれるほど分厚い本が多く出ていて、中にはベストセラーになっているものもあります。
上の記事にある『独学大全』なんて、寝転んで読むには重すぎるくらい分厚いです……。
「新書」には「新書」の良さがあるんだけどなと思う程度には、「新書」好き。久しぶりに手に取ってみたのは、樹木希林さんの『一切なりゆき 樹木希林のことば』です。
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『一切なりゆき 樹木希林のことば』
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2018年に亡くなられた樹木希林さん。どんな姿を思い出すかは、世代によって違うかもしれません。
わたしは富士フイルムのCMのイメージが強いです。毎年お正月前になると、岸本加世子さんとの楽しいやり取りのCMが流れていたんですよね。
「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」というキャッチフレーズは、当初は「美しくない方も美しく」だったものを、希林さんの提案で修正したものだとか。
こうした他者への想像力や感性が、彼女の演技力を支えていたのかもしれないと、本を読んで感じました。
さまざまな雑誌に掲載されたエッセイから、154の言葉を紹介しています。
後ろを振り返るより、前に向かって歩いたほうがいいじゃない、という話に続いて、
「自分の変化を楽しんだほうが得ですよ」
なんて言葉があったり。
ほとんど服などを買わないという希林さんが、
「物を買う代わり、自分の感性に十分にお金をかけるほうがいい」
ということを娘の也哉子さんに伝えていたり。
人生のこと、俳優としてのこと、女として、病を抱えた者として、日々感じていたことからは、途方もなく“人間くさい”姿が感じられます。
巻末には、也哉子さんの「喪主代理の挨拶」も収録。
理解しがたい関係だった両親の、知らなかった一面をのぞいたエピソードには、ホロッとしてしまいました。
母から贈られたという、このメッセージ。全人類に伝えたい。
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