世界に誇れる日本のコンテンツといえばアニメですが、「制作スタジオ」の名前でアニメを選ぶようになったのは、スタジオジブリのおかげかもしれません。 高畑勲さんと宮崎駿さんという、ふたりの天才を支えたプロデューサー鈴木敏夫さんの『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』には、スタジオ運営の苦労が綴られています。 タイトルは『天才の思考』だけど、どちらかというと「猛獣使いの記録」と呼びたい内容でした。 ☆☆☆☆☆ 『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ いまではビッグネームとなった「スタジオジブリ」。でも、裏側は当然、苦労がいっぱいです。 会社としてのスタジオ運営はもちろん、日程も予算も度外視した制作進行、天才クリエイターの嫉妬とライバル意識。 とくに宮崎駿さんの大暴走に伴走しつつ、手綱をとらなければならない「プロデューサー」という立場の難しさは、並みのサスペンスドラマよりエキサイティングです。 たとえば、1988年に公開された高畑勲監督の代表作「火垂るの墓」と、宮崎駿監督の「となりのトトロ」は、二本立てで上映されたのですが、これには裏話がありました。 スタジオジブリ作品の第二弾として企画された「となりのトトロ」に、徳間書店の上層部が難色を示す。 ↓ 鈴木さんが高畑勲監督の「火垂るの墓」とセット上映を提案 ↓ 「オバケだけならまだしも、さらに“墓”とはなんだ!!!」 怒られた……。 いまなら「名作」といわれている2本も、企画段階ではどちらに転ぶか分からないものですもんね。そう考えると、興行ってギャンブルなんだなーとも感じます。 宮崎駿さんの企画・他の方が監督する場合、みんなつぶれてしまう……という話は、身につまされました。 天才クリエイターだからこそ、「任せる」ことが難しいのでしょう。 アニメ制作における、ぜーーーーったいに妥協しない作家の熱量がビンビンに伝わってくるお話。 ジブリ好きの方は、ぜひ読んでみてください。