世界に誇れる日本のコンテンツといえばアニメですが、「制作スタジオ」の名前でアニメを選ぶようになったのは、スタジオジブリのおかげかもしれません。
高畑勲さんと宮崎駿さんという、ふたりの天才を支えたプロデューサー鈴木敏夫さんの『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』には、スタジオ運営の苦労が綴られています。
タイトルは『天才の思考』だけど、どちらかというと「猛獣使いの記録」と呼びたい内容でした。
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『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』
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いまではビッグネームとなった「スタジオジブリ」。でも、裏側は当然、苦労がいっぱいです。
会社としてのスタジオ運営はもちろん、日程も予算も度外視した制作進行、天才クリエイターの嫉妬とライバル意識。
とくに宮崎駿さんの大暴走に伴走しつつ、手綱をとらなければならない「プロデューサー」という立場の難しさは、並みのサスペンスドラマよりエキサイティングです。
たとえば、1988年に公開された高畑勲監督の代表作「火垂るの墓」と、宮崎駿監督の「となりのトトロ」は、二本立てで上映されたのですが、これには裏話がありました。
スタジオジブリ作品の第二弾として企画された「となりのトトロ」に、徳間書店の上層部が難色を示す。
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鈴木さんが高畑勲監督の「火垂るの墓」とセット上映を提案
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「オバケだけならまだしも、さらに“墓”とはなんだ!!!」
怒られた……。
いまなら「名作」といわれている2本も、企画段階ではどちらに転ぶか分からないものですもんね。そう考えると、興行ってギャンブルなんだなーとも感じます。
宮崎駿さんの企画・他の方が監督する場合、みんなつぶれてしまう……という話は、身につまされました。
天才クリエイターだからこそ、「任せる」ことが難しいのでしょう。
アニメ制作における、ぜーーーーったいに妥協しない作家の熱量がビンビンに伝わってくるお話。
ジブリ好きの方は、ぜひ読んでみてください。
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