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『「言葉にできる」は武器になる。』#993

今日から新年度。 新しい仕事場に向かう人、社会人デビューをする人、昨日までと同じ仲間と仕事をしている人たちにも、絶賛おすすめしたい本が、梅田悟司さんの『「言葉にできる」は武器になる。』です。 特に社会人一日目を迎える方は、「言葉にできる」ことの可能性を感じてほしい。 ☆☆☆☆☆ 『「言葉にできる」は武器になる。』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 自分の考えていることがうまく言葉にできない、伝わらない、そしてモヤモヤしちゃう……って、よくありませんか? コピーライターの梅田悟司さんのお考えは、これ。 “言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?” 言葉には、人に伝えるための「外に向かう言葉」と、自分の思考を深めるための「内なる言葉」の2種類があります。「外に向かう言葉」は、外に向かっている分、分かりやすいのでハウツーで学びやすいんですよね。 でも、大切なのは自分の考えを広げたり、奥行きをもたせたりするための「内なる言葉」。 この「内なる言葉」を深めるためのエクササイズが、「T字型思考法」です。 まずは頭の中に浮かんだ言葉をそのまま書き出し、それに対して「なぜ?」「それで?」「本当に?」と、3つの観点から問いかけていきます。 「なぜ?」:考えを掘り下げる → 下に 「それで?」:考えを進める → 右に 「本当に?」:考えを戻す → 左に こうして「T字型」に書き出すことで、モヤモヤしているものが明確になり、考えの土台をつくることができるとのこと。 「T字型思考法」で考えを進める。 | ウェブ電通報   黒猫の「大吉」との暮らしで学んだことを綴った 『捨て猫に拾われた男』 も大好きだったんですが、この『「言葉にできる」は武器になる。』は、大好きすぎて、いろんな人に勧めてきました。毎年、新人研修の課題図書にもしていたくらいです。 忙しさに追われたり、言いたいことを言えない環境だったりすると、自分が何を感じているのか分からなくなってしまうことがあります。 毎年多くの新人たちと出会い、仕事の醍醐味を感じながら、大人語の世界にアワアワし、チャレンジと理不尽の間に泣く姿を見てきました。 そんなときこそ、ぜひ自分の感情について振り返りましょう。 「T字型思考法」はアイディア出しにも使えるものですが、日々の振り返りにも使えるシンプルなエクササイズです。 A

『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』#990

「メモ書き」によって思考と感情の言語化をトレーニングする。それが、赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考』です。 やり方は超シンプル。 裏紙など、A4の紙にテーマと日付を書き、頭に浮かんだことをそのままガンガン書いていくだけです。 ただし。 制限時間は1テーマ1分。 これが激しく筋トレになるのです。 ☆☆☆☆☆ 『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 20世紀に最も影響を与えたビジネス書の1位になった本といえば、『7つの習慣』です。タイトルどおり、7つの習慣について書いた本で、これを実践すれば人生を効果的にできるというもの。 『7つの習慣 人格主義の回復』#903   7つの習慣のうち、「第1の習慣」と呼ばれているのが「主体的であること」です。 自分で考え、選択する。特に、感情的に反応するのではなく、わたしたちは反応を選ぶことができるという考え方に、わたしはとても引かれました。 とはいえ、日常というのはさまざまなストレスに満ちています。 抑え込んだ感情がグルグルと頭の中を駆け回り、何日経ってもトゲのように残っていることも。 また、完全にキャパオーバーでやらなければならないことがあるのに、なにから手を付ければいいのか分からなくなってしまうこともあります。 そんな時こそ、『ゼロ秒思考』の「メモ書き」が役に立ちます。 特に、時間制限があるために、瞬発力がつく感じがとてもありました。 A4の紙1枚に1テーマ、4~6つくらいの箇条書きにして書いていきますが、頭の中から出てきたメモの内容を、次のテーマにして深掘りしたり、ヨコ展開したりすることはOKです。 6年くらい前に初めてこの本を読み、しばらく「メモ書き」をやっていました。 最初はそんなにサクサク書けないし、出てくる言葉といえば愚痴と不満と不安と不平と泣き言ばかりでした……。 でも、2週間くらい書き続けていると、ようやく「不」のつく感情が空っぽになったようで、テーマに対して前向きな言葉が出てくるようになったんです。 たぶんこのとき、「主体的であること」の習慣ってこういうことかと感じたんですよね、たしか。 いまではだいたい自分でテーマを決めていますが、本には各シチュエーション毎にテーマが載っているので、それを参考にすることも。 テーマの例: <上司に腹が立った時、心を落ち着ける> ・ああい

『俺か、俺以外か。 ローランドという生き方』#987

恥ずかしながら、「ローランド」という方について知りませんでした。 2019年に出版された『俺か、俺以外か。 ローランドという生き方』という本のタイトルを見て、(またすごい系が来たな……)と思っていたくらいです。 ずっと積ん読になっていた本を読んでみたら。 おもしろい!!! いまさら?な話ですみません。でも、おもしろかったので紹介したかったのです。 ☆☆☆☆☆ 『俺か、俺以外か。 ローランドという生き方』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <発する言葉すべてが「名言」となる、現代ホスト界の帝王ローランド>と帯にありますが、現在はホストを引退されて、実業家に転身されたのだそう。 小学生の時のエピソードが秀逸でした。 小学生くらいの男の子が夢中になるものといえば、「戦隊もの」ではないでしょうか。わたしでさえ、近所の友だちと田んぼを駆け回りながら、ゴレンジャーごっこなんかをやりました。 でも、ローランドさんが夢中になっていたのは。 「ゴッドファーザー」!!! (画像リンクです) (現在、Amazonプライムで配信中です。パート1を観ちゃうと、もれなく全シリーズ観たくなってしまうのがミソ) ドン・コルレオーネみたいな男こそ、真の男!と思い定め、タキシードの似合う体型を目指したのだとか。 ゆるTとか、腰パンとかは幼く見えるからイヤだ。男はエレガントでなければ!!とタキシードの似合う所作を意識していたそうです。 渋すぎる……。 身近にこんな小学生がいたら、浮いていたかもしれません。 ローランドさんの場合、お父さんの影響もあって、自分の好きなものに忠実に生きてこられたとのこと。 読みながら感じたのは、自分の言葉を持っていることの強さでした。そして、「ビリギャル」こと小林さやかさんに負けないくらい自己肯定感が高い! 『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』#986   わたしは自己肯定感がゼロのまま、ずっとなんとか生きてきた……という状態だったんですが、そしてそこにあまり疑問も感じていなかったのですけれど。 さやかさんとローランドさんのふたりを見て、自己肯定感って、人間をこんなに強くするのかと、考えをあらためました。 ホスト界では珍しく、売り掛けをしない、お酒を飲まない、タバコを吸わないという、自分のやり方を通してきたローランドさん。愛・仕事・哲学など、す

『言葉のズレと共感幻想』#985

「言葉のやり取りはたくさんあるのに、意味のやり取りは行われていない」 『具体と抽象』の細谷功さんと、マンガ編集者の佐渡島庸平さんが対談した『言葉のズレと共感幻想』には、たくさんのドキリとする指摘があります。 冒頭の一文は、佐渡島さんの言葉で、深まることのないまま続いていく会話は、猿の毛づくろいみたいだとして、バッサリ……。 厳しい言葉もありますが、人間にしかできないコミュニケーションを、「on」にするためのヒントが見つかるかもしれません。 ☆☆☆☆☆ 『言葉のズレと共感幻想』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 観察力を上げるトレーニングをしている佐渡島さんから、日常の不思議、コミュニケーションへの疑問などが挙げられ、細谷さんがその事象を分析したり質問したりしながら話は進みます。 「誰かへの共感は、共感している自分に酔いしれているだけでは」 「人は目の前のものが見えていると思い込んでいて、立ち止まって考えずに済ませている」 などなど、厳しいなーと思ってしまうのは、自分に心当たりがあるから。 おもしろかったのは「共感エコノミーと共感格差」の章でした。 「いいね」をひとつのエコノミー指標と考えると、その偏りは富の分配よりもはるかに大きいかもしれないという指摘です。 現代では多くの人がSNSの「アカウントを持っている」状態ですが、実際に発信している人は少数、そこで「いいね」をもらえる人なんてもっと少数、ましてや「バズる」ことなんて、ごくごく少ない。 そのため、多くの「いいね」を集めるインフルエンサーの発言力・影響力は増しています。 この、「共感格差」はどこから生まれるのか。 “細谷:人そのものに共感しているかはわかりませんが、行為に集中しているように見えます。共感される人は、日々の行動の中に共感されるような要素があるわけで、日々の行動というのは繰り返されるはずだから、どんどんそこに共感が集まっていく構図になるんでしょう。” ただ、ここで共感を集める人は、普通の会社にいたら協調性がなくてはみ出してしまうような人かも、とも。 わたしは安易に「分かる」と言わないようにして、言葉に対する感度を上げようと意識しています。 本にも出てきますが、「まきこむ」という言葉も好きじゃないので使いません。ベンチャー界隈ではよく使われる言葉ですが、すごく違和感がある。「まきこまれる側」の主体性がな

『決断=実行』#984

落合博満さんほど、好き嫌いの分かれる選手・監督はいないと聞いたことがあります。 カリスマ性とダークヒーロー感漂う「オレ流」スタイル。 「落」合博満の「信」者を表す「オチシン」という言葉が生まれるほどの信頼感。 相反するイメージに、よく知らないまま“揶揄”する空気だけを受け取っていました。 42万部を突破するベストセラー『采配』の内容をアップデートした『決断=実行』を読んでみたら、ぜんぜん思っていたのと違った……。というか、なぜ“嫌う”人がいるのかが分かった気がしました。 ストイックな姿勢に対して、言い訳を封じられたように感じてしまう人が、反発してしまうのかなと感じたのです。 ☆☆☆☆☆ 『決断=実行』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 落合博満さん。 1953年に秋田県に生まれ、1979年にドラフト3位でロッテオリオンズに入団。その後、中日ドラゴンズや読売ジャイアンツなどで選手としてプレーされました。 「ロッテ時代に、史上4人目かつ日本プロ野球史上唯一となる3度の三冠王」と説明にありましたが、これがどれくらいすごいことなのか、野球に詳しくないわたしには分からない……のだけど。 日本のプロ野球が1920年に始まり、100年以上も続いてきた中で「唯一の3度の三冠王」ということは、飛び抜けた成績を持っていたのだろうことだけは理解できますね。 2004年に、中日ドラゴンズの監督に就任。多くを語らず、結果だけを残していくスタイルが注目されていました。 落合さん自身は、こうした自分の野球=仕事への取り組み方について、 「人目を気にせず、自分がこうだと思ったことをやり抜く」 ことだとしています。 “練習が好きな選手はいないだろう。私も例外ではない。できれば練習せずに寝ていても、試合になれば打てるようになりたかった。だが、それが無理だと分かっているから練習した。” ドラフト3位でプロ野球選手となった当時は、バッティングフォームを酷評されたりして、期待されていなかったそう。だからこそ、結果にこだわり、タイトルを目指し、より野球に打ち込むことに。 誰かに認めてもらいたいからではなく、見返すためでもなく、ただ野球という仕事に取り憑かれる姿勢。このストイックさが、「言い訳大王」として生きているわたしのようなフツーの人の劣等感を刺激するのかもしれませんね。 監督となってから意識していたことが、

『一切なりゆき 樹木希林のことば』#971

そういえば、最近「新書」を読んでないかもしれない。 珍しく外出する予定があったとき、気が付きました。理由は単純。家にいる時間が長くなったので、薄い本より分厚い本を読むようになったから。 ここ2年くらい「鈍器本」と呼ばれるほど分厚い本が多く出ていて、中にはベストセラーになっているものもあります。 厚くて高価な「鈍器本」が異例のベストセラー おうち時間の学びに…女性におすすめの一冊も   上の記事にある『独学大全』なんて、寝転んで読むには重すぎるくらい分厚いです……。 「新書」には「新書」の良さがあるんだけどなと思う程度には、「新書」好き。久しぶりに手に取ってみたのは、樹木希林さんの『一切なりゆき 樹木希林のことば』です。 ☆☆☆☆☆ 『一切なりゆき 樹木希林のことば』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 2018年に亡くなられた樹木希林さん。どんな姿を思い出すかは、世代によって違うかもしれません。 わたしは富士フイルムのCMのイメージが強いです。毎年お正月前になると、岸本加世子さんとの楽しいやり取りのCMが流れていたんですよね。 「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」というキャッチフレーズは、当初は「美しくない方も美しく」だったものを、希林さんの提案で修正したものだとか。 こうした他者への想像力や感性が、彼女の演技力を支えていたのかもしれないと、本を読んで感じました。 さまざまな雑誌に掲載されたエッセイから、154の言葉を紹介しています。 後ろを振り返るより、前に向かって歩いたほうがいいじゃない、という話に続いて、 「自分の変化を楽しんだほうが得ですよ」 なんて言葉があったり。 ほとんど服などを買わないという希林さんが、 「物を買う代わり、自分の感性に十分にお金をかけるほうがいい」 ということを娘の也哉子さんに伝えていたり。 人生のこと、俳優としてのこと、女として、病を抱えた者として、日々感じていたことからは、途方もなく“人間くさい”姿が感じられます。 巻末には、也哉子さんの「喪主代理の挨拶」も収録。 理解しがたい関係だった両親の、知らなかった一面をのぞいたエピソードには、ホロッとしてしまいました。 「おごらず、他人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」 母から贈られたという、このメッセージ。全人類に伝えたい。

ドラマ「ミセン-未生-」#968

「心を閉じた人へ思いを伝える方法は、学校では教わらなかった。だから、がむしゃらにやってみることにした」 毎年、この時期になると見返すドラマが、「ミセン-未生-」です。 原作のWebマンガは、韓国のビジネスパーソンのバイブルと呼ばれ、数々のドラマ賞を獲得。イ・ソンミン&キム・デミョン&イム・シワンの「営業3課」が味わう悲喜こもごもに、何度も胸を熱くするドラマです。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「ミセン-未生-」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 10歳からプロ棋士になるため、修行を続けてきたチャン・グレ。父親の病気でバイトをしているうちに、入団試験に失敗しあきらめることに。 26歳でやっと、インターンから契約社員として採用されるが、高卒で何の技術もないグレは、同期の有能さに押しつぶされ、自分の無能さを知る。 配属された営業3課で、囲碁で鍛えた集中力や戦い方を活かし、少しずつ仕事を覚えていくが…… 「営業3課」は、専務に反抗したせいで、課長のまま据え置かれているオ・サンシクが率いる部署です。会社の中では「オマケ」扱い。演じるキム・デミョンの寝癖が、「こんなオッチャンいるいる~」な感じです。 唯一の部下キム・ドンシク代理を演じるのは、キム・デミョン。週末はお見合いに励んでいるけれど、くせ毛のせいで決まらない……と悩んでます。たぶん違う。 そこに配属されたのが、高卒で、コネ入社というだけで、同期のインターンたちからイジメを受けていたチャン・グレ。 (画像はNetflixより) 韓国は日本のように、新卒一括採用というシステムではないため、就職活動=インターンで経歴を積むことが大切なのだそう。 たくさんのインターン生がいましたが、チャン・グレの同期となったのは3人。でも、この3人は大学卒業資格を持っており、「正社員」の立場。高卒のグレだけが「契約社員」となります。 この立場の違いもドラマの中にはしっかり描かれていて、同期のありがたさや嫉妬心と一緒に味わうことができます。 カン・ソラ、カン・ハヌル、ピョン・ヨハン、そしてイム・シワンが演じる4人の新人たちがぶち当たる、会社員の壁。 説明してくれないと分かんねーよ!ってなったり、丸投げかよ!ってなったり。「会社」という組織の論理に“慣れて”しまったわたしには、新人たちのとまどいを知ることができる、貴重なドラマでした。 冒頭のセリフ

『捨て猫に拾われた男 猫背の背中に教えられた生き方のヒント』#962

わたしには野望があります。 猫を飼いたい。 子どものころに犬を飼っていたんですが、赤川次郎さんの『三毛猫ホームズの推理』を読んで以来、猫もいいなーと思っていたのです。 (画像リンクです) 「魔女の宅急便」を観てからは、黒猫がいいなーと思っていました。 (画像リンクです) ひとり暮らしをしていたときは、ひとりでお留守番してもらうのが申し訳なくて飼えず、結婚したときは動物が苦手な姑がいたので飼えず。 ダンナ氏とわたし、ふたりきりになったとき、提案したところ「イヤだ」の一点張りでした。 そこで、あの手この手で「うん」と言わせる「問いかけ」を工夫しています。たとえば、保護猫のシェルターにいるオトナの猫なら、飼いやすいんだってーという話をしてみたり。 ある日は、なんの脈絡もなく、 「黒ならいいよね?」 と聞いてみました。一瞬、「うん」と言いそうになったダンナ氏の答えは。 「猫のことなら、色の問題じゃないから!!!」 ガッカリです……。 コピーライターの梅田悟司さんも、根っからの犬派だったそうで、奥さまの希望によって猫の里親会に参加。黒猫の「大吉」と出会うことになります。 『捨て猫に拾われた男 猫背の背中に教えられた生き方のヒント』には、そんな梅田さんが、「大吉」と暮らしながら悟った、生き方改革が紹介されています。 ☆☆☆☆☆ 『捨て猫に拾われた男 猫背の背中に教えられた生き方のヒント』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 梅田さんが「大吉」と出会った経緯が、あまりにもわたしの理想と重なっていたので、思わず手に取り、一気に読みました。 ドラマ化もされたそうで、このたび『捨て猫に拾われた僕 きみが教えてくれた生き方のヒント』として文庫化されました。 (画像リンクです) 「ぐぅ」という、意外な猫語によって、ご縁ができた出会いのときから、やむなく一日お留守番してもらったときのことなど、「大吉」との10年の日々が、「困ったら寝ればいいじゃん」「シャッターを押すよりも大事なこと」といった、梅田さんの悟りの言葉とともに綴られています。 猫にまつわる世界の名言にもニヤニヤしてしまいました。 身の丈にあった暮らしで、爪痕をのこせ。 「大吉」の教えをまとめると、この一言に尽きるかもしれません。 わたしの野望。いつか絶対叶えたい。

『一流の達成力』#938

「運は、偶然ではない」 ITベンチャーの創業物語をまとめたノンフィクション『ネット興亡記 敗れざる者たち』を読んだとき、成功を追い求めるあまり、倫理観が置き去りになっていることが気になりました。 大きなお金を稼ぐ。ビジネスを大きくする。そのために「人格」は不要なのかしら? 『ネット興亡記 敗れざる者たち』#674   “カリスマ体育教師”と呼ばれた原田隆史さんは、「運を引き寄せ、成功するには内面を磨くことが必要」と断言されています。20年間で3万人を指導した結果、分かったのは、成功は技術であることでした。 『成功の教科書 熱血!原田塾のすべて』#937   そして、成功の技術を支えるのが、「原田メソッド」。 ・明確な目標設定ができる「オープンウィンドウ64」 ・達成へのモチベーションを高める「スターシート」 ・自信を高める「日誌」 ・成功習慣を身につける「ルーティンチェック表」 たぶん一番有名なのが「オープンウィンドウ64」で、大谷翔平選手が高校1年生だったときに描いたという「マンダラチャート」の名前で知られるようになりましたよね。 なぜ、8×8=64マスの「マンダラ」に書き込むと、達成力が上がるのか。その秘密を解き明かした『一流の達成力』を読んで、わたしも「オープンウィンドウ64」を作ってみました。めちゃタイヘンだった……。 ☆☆☆☆☆ 『一流の達成力』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 社内研修で一度「マンダラチャート」を描いたことがありましたが、この時、足りなかったものが本を読んで分かりました。 原田先生がポイントとして挙げているのは、「心技体+生活」のすべてを入れることです。 実際、大谷選手はじめ、スポーツ選手やミスコン出場者に「オープンウィンドウ64」を作成してもらったところ、スキルやテクニックだけに着目した人より、人間性や内面を磨くことを書き込んだ人の方が、達成率が高かったのだそう。 なぜ、スキルだけでは成功できないのか。 スキルは人格という「土台」の上に築かれるものだからだと思います。 スキルやテクニックは、いわば地上に出ている枝や葉っぱの部分です。多様な技を身につけたり、深めたりするのと同時に、根っこの部分も太く・強くしないと、へなへなになってしまう。頭でっかちで倒れやすかったり、栄養がいきとどかなかったりしてしまうともいえます。 目標に掲げるものも、

『成功の教科書 熱血!原田塾のすべて』#937

「あなたは成功したいわけね?」 映画「ハウス・オブ・グッチ」の中で、レディー・ガガ演じるパトリツィアに、占い師のピーナがそう質問するシーンがありました。 「成功?」 と返すパトリツィアは、その言葉に食いついていく。占い師の言うとおりに動いていたら、王国が崩壊しちゃったのですけど……。 映画「ハウス・オブ・グッチ」#936   「成功」という言葉は、なぜこうも人を引きつけるのでしょうか。 成功は技術であり、法則がある!と語るのは、“カリスマ体育教師”と呼ばれた原田隆史さんです。 ☆☆☆☆☆ 『成功の教科書 熱血!原田塾のすべて』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 原田隆史さんはもともと公立中学の先生で、7年間の陸上部指導で日本一13回、全国大会入賞53回を果たしたという、すごい実績をお持ちです。 大谷翔平選手が高校1年生だったときに描いたという「マンダラチャート」が話題になったことがありましたが、このシートを考案された方といった方が分かりやすいかも。 大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」   金メダリストや経営者、偉人の考え方や行動を分析し、成功の技術を解き明かし、20年間で3万人を指導する過程で磨いてきた内容を伝える本です。 こう説明すると、「よくある自己啓発本でしょ?」という感じがしちゃいますよね。その感想は間違ってはないけど、実際はもっと熱いものでした。 大きな夢を描き、それを具体的な「目標」にするために、ひたすら行動計画とチェック、そしてイメージを「書く」んです。 “夢の段階では画に描いた餅でもいいのですが、目標は食べられる餅でなければならないのです。” たしかに!!! “失敗を繰り返している人は、答えを知ると、やらなければならなくなるから、知らないふりをして逃げているだけなのです。あるいは、被害者意識で人のせいにしているかです。” きびしー!!! 本質を突いた言葉があふれる一冊。「がんばる」なんて当たり前。その先を目指したい方におすすめです。 わたしは原田先生が仰ったという言葉の出典を探していて、本を手にすることになりました。 “何かを始めたとき、三日坊主を防ぐには「敗者復活OK」という思考をもつといいでしょう。 挫折してしまう人は、一度の失敗で「やっぱり自分は駄目だ」と考えます。だから、継続を諦めてしまう。 でも実は、一度も挫折せずに続けている人なん

『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』#927

世界に誇れる日本のコンテンツといえばアニメですが、「制作スタジオ」の名前でアニメを選ぶようになったのは、スタジオジブリのおかげかもしれません。 高畑勲さんと宮崎駿さんという、ふたりの天才を支えたプロデューサー鈴木敏夫さんの『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』には、スタジオ運営の苦労が綴られています。 タイトルは『天才の思考』だけど、どちらかというと「猛獣使いの記録」と呼びたい内容でした。 ☆☆☆☆☆ 『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ いまではビッグネームとなった「スタジオジブリ」。でも、裏側は当然、苦労がいっぱいです。 会社としてのスタジオ運営はもちろん、日程も予算も度外視した制作進行、天才クリエイターの嫉妬とライバル意識。 とくに宮崎駿さんの大暴走に伴走しつつ、手綱をとらなければならない「プロデューサー」という立場の難しさは、並みのサスペンスドラマよりエキサイティングです。 たとえば、1988年に公開された高畑勲監督の代表作「火垂るの墓」と、宮崎駿監督の「となりのトトロ」は、二本立てで上映されたのですが、これには裏話がありました。 スタジオジブリ作品の第二弾として企画された「となりのトトロ」に、徳間書店の上層部が難色を示す。 ↓ 鈴木さんが高畑勲監督の「火垂るの墓」とセット上映を提案 ↓ 「オバケだけならまだしも、さらに“墓”とはなんだ!!!」 怒られた……。 いまなら「名作」といわれている2本も、企画段階ではどちらに転ぶか分からないものですもんね。そう考えると、興行ってギャンブルなんだなーとも感じます。 宮崎駿さんの企画・他の方が監督する場合、みんなつぶれてしまう……という話は、身につまされました。 天才クリエイターだからこそ、「任せる」ことが難しいのでしょう。 アニメ制作における、ぜーーーーったいに妥協しない作家の熱量がビンビンに伝わってくるお話。 ジブリ好きの方は、ぜひ読んでみてください。

『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』#925

ただのお笑い本と侮るなかれ。 福井県立図書館をはじめ、各地の図書館のレファレンスカウンターに寄せられた相談=覚え違いタイトルの実例を集めた『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』。 電車で読んではいけない系の愉快な本ですが、これはプロのお仕事の集大成でした。 ☆☆☆☆☆ 『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ タイトルにある『100万回死んだねこ』くらいなら、なんとなく想像がつきますよね。でも、中には、 「ブラッディーなんとかの、3色の本」 なんて相談もあるそう。 いろいろとヒントをもらって探った結果、正しいタイトルは『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でした……。おまけに、ブレイディみかこさんが「ブラッディー」って、血まみれ男爵かいな。 (画像リンクです) そんな、“読者”の立場で読むからフフフと笑えますが、相談を受ける司書さんは、決して笑うことはないのだそうです。 「あるかもしれない」 という前提で本を探すから。 古典などの場合は、新訳がでたときにタイトルも改訂されることがありますし、映画の原作本の場合はタイトル自体が変わっていることもある。 だから、ただの「おもしろい勘違い」とは言い切れないんですね。 本の編集を担当された福井県立図書館の宮川陽子さんが、 好書好日のPodcast で裏話を語っておられます。 うろ覚えトークはわたしもよくやってしまうけれど、それもすべて拾ってくれるのは、さすがプロのお仕事だなーと感激しながら読みました。 地図のない宝探しであり、未開の地を探検するような世界。 正しいタイトルの本の紹介も付いているので、せっかくだから読んでみたいな……となること請け合いです。 くれぐれも、電車の中で読んじゃいけませんよ。 福井県立図書館サイトの「覚え違いタイトル集」はこちら。 http://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/tosyo/category/shiraberu/368.html

『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』#914

『カイジ』って、こんな話だったのか!! 原作のマンガは読んだことがなく、映画版を観て「うーーーーん」となって。原作と映画はだいぶ違うよ!!と聞いて、「ふーーーーん」程度の反応しか示せないくらい、私の中で距離があったのですが。 経済ジャーナリストである木暮太一さんの『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』を読んで、やっと人気の秘密が分かった気がしました。 ☆☆☆☆☆ 『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 『賭博黙示録 カイジ』とは、福本伸行さんの代表作で、全13巻のマンガです。 (画像リンクです) 自堕落な日々を過ごしていた伊藤開司(カイジ)が、自分が保証人になっていた借金を押しつけられ、ギャンブル船「エスポワール」に乗り込む……というお話です。 藤原竜也さんが「カイジ」を演じた映画版なら観たことがある、という方もいるかもしれませんね。わたしもそうでした。 (画像リンクです) わたしの数少ない「経営者」の知人から、絶大な支持を得ているマンガのひとつでもありました。 でも、映画版を観ただけのわたしには、とても不思議だったんですよね。 いったい、どこにそんな魅力が?(映画が好きな方、ごめんなさい……) 「カイジ」は特別なスキルを持っているわけでもなく、努力の天才というわけでもありません。むしろ逆。自分に甘く、のらりくらりとした暮らしを送っていただけ。 でも、命のやり取りをする現場に放り込まれて、どんどんと変わっていきます。 彼を変えたのは、覚悟。 勝つために世の中のルールを知れ。そして他人が決めたルールに振り回されるな。 そんな進化の魅力が、『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』でやっと分かりました。本は経済の話が中心ですが、自分の人生を生きるためのマインド形成にも役立つエキスが満載です。 こういう進化を遂げられれば、人生はエキサイティングになるのかも。でも、命のやり取りはイヤだな。 「会社員」を卒業したいま。読みたかったマンガを制覇しようと、ひとつずつ味わっているところです。 さぁ、読書タイムだ。かなり眠いけど🥱 pic.twitter.com/nOzdnpHT6d — mame3@韓国映画ファン (@yymame33) January 6, 2022 次は『カイジ』にするかな。

『7つの習慣 人格主義の回復』#903

2022年は、自分の人生をつくりたい。 そう決めて、昨年末に「会社員」を卒業しました。これからはフリーランスという名のプー太郎です。 うっかりすると、どんどんだらしない生活になっていくので、まずは朝ちゃんと起きることが目標。そして自分の勉強にできるだけ時間を使おうと考えています。 これからの生き方や生活を考えるにあたって、参考にしたのは『7つの習慣 人格主義の回復』です。 ☆☆☆☆☆ 『7つの習慣 人格主義の回復』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 全世界3,000万部を超える、ビジネス書のベストセラー。副題に「人格主義の回復」とあるように、表面的なスキルや個人主義に偏った考えを正し、自分の土台を整えることがテーマの書です。 『嫌われる勇気』を読んだとき、『7つの習慣』と合わせて考えてみて、「自己啓発の源流」という副題が腑に落ちました。『7つの習慣』の方は、日々の実践編といえるかも。 (画像リンクです) 『7つの習慣』が1996年に日本で刊行されたときの副題は「成功には原則があった!」でした。2013年の「完訳」版になって「人格主義の回復」となったのは、より「人間の生き方」に注目する時代になったということなのかもしれません。 本自体はめっちゃ分厚いので、こんなの読めない……という方には、キッズ用の本がおすすめです。 (画像リンクです) こちらには考え方が図として示されているので、大人用を読んで理解が及ばなかったところも、ちょっと分かりやすくなっています。副題の「自分を変えるレッスン」が、「7つの習慣」を一番言い表しているように思います。 では、「7つの習慣」とはなんなのか。 7つの習慣とは 第1の習慣:主体的である→ 自分で考え、選択する 第2の習慣:終わりを思い描くことから始める→ 目標に合わせて計画的に進める 第3の習慣:最優先事項を優先する→ 時間を管理する 第4の習慣:Win-Winを考える→ お互いにハッピーな関係を考える 第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される→ 聴く力と伝える力を磨く 第6の習慣:シナジーを創り出す→ 相乗効果を考える 第7の習慣:刀を研ぐ→ 自分を磨き続ける これを第1から順に習慣化していくのがよいそう。 いや、めっちゃ大変やろ……と思う。それを実践するのが今年の目標です。 2022年も、どうぞよろしくお願いいたします。