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『決断=実行』#984


落合博満さんほど、好き嫌いの分かれる選手・監督はいないと聞いたことがあります。

カリスマ性とダークヒーロー感漂う「オレ流」スタイル。

「落」合博満の「信」者を表す「オチシン」という言葉が生まれるほどの信頼感。

相反するイメージに、よく知らないまま“揶揄”する空気だけを受け取っていました。

42万部を突破するベストセラー『采配』の内容をアップデートした『決断=実行』を読んでみたら、ぜんぜん思っていたのと違った……。というか、なぜ“嫌う”人がいるのかが分かった気がしました。

ストイックな姿勢に対して、言い訳を封じられたように感じてしまう人が、反発してしまうのかなと感じたのです。

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『決断=実行』

(画像リンクです)

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落合博満さん。

1953年に秋田県に生まれ、1979年にドラフト3位でロッテオリオンズに入団。その後、中日ドラゴンズや読売ジャイアンツなどで選手としてプレーされました。

「ロッテ時代に、史上4人目かつ日本プロ野球史上唯一となる3度の三冠王」と説明にありましたが、これがどれくらいすごいことなのか、野球に詳しくないわたしには分からない……のだけど。

日本のプロ野球が1920年に始まり、100年以上も続いてきた中で「唯一の3度の三冠王」ということは、飛び抜けた成績を持っていたのだろうことだけは理解できますね。

2004年に、中日ドラゴンズの監督に就任。多くを語らず、結果だけを残していくスタイルが注目されていました。

落合さん自身は、こうした自分の野球=仕事への取り組み方について、

「人目を気にせず、自分がこうだと思ったことをやり抜く」

ことだとしています。

“練習が好きな選手はいないだろう。私も例外ではない。できれば練習せずに寝ていても、試合になれば打てるようになりたかった。だが、それが無理だと分かっているから練習した。”

ドラフト3位でプロ野球選手となった当時は、バッティングフォームを酷評されたりして、期待されていなかったそう。だからこそ、結果にこだわり、タイトルを目指し、より野球に打ち込むことに。

誰かに認めてもらいたいからではなく、見返すためでもなく、ただ野球という仕事に取り憑かれる姿勢。このストイックさが、「言い訳大王」として生きているわたしのようなフツーの人の劣等感を刺激するのかもしれませんね。

監督となってから意識していたことが、また興味深い話でした。

“自分ができたことを伝えるのではなく、自分ができなかったことを勉強する”

“上”の立場になると、「分からない」と言えなくなってしまう人がいます。「分からない」から、過去のことだけを何度も言ったりする。これでは「育てる」ことにはなりません。

自分にも相手にもどれだけ正直でいられるかは、自分のメンツよりも、チームのことを考えられるかと同じといえるでしょう。

現在、映画業界のハラスメント問題がニュースになっていますよね。野球の世界でも、かつては鉄拳が飛んだようですが、落合監督はこれを厳禁にし、もし発覚したときはクビにすることを決めていたそうです。

最低限のルールだけを設定して、選手やコーチに自ら考えて動くことを求め、責任は自分がとる。

嫌われるリスクをとってでも、「人目を気にせず、自分がこうだと思ったことをやり抜く」姿勢は、もっと早く読めばよかったー。

「諦めた者が負け、諦めさせた者が勝ち残る」

プロゲーマーの梅原大吾さんの『勝負論 ウメハラの流儀』を読んだときも感じたことだけど、勝負師の言葉は刺激的ですね。監督のような「決断」をする仕事って、胆力がないとできないことがとても伝わってきました。


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