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『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』#756

音楽ライターまつもとたくおさんのニックネームは、「K-POP番長」です。 すごいな。こんなこと言ってみたい。でもわたしが名乗れるのは「あんこスケバン」とか、「アイスクリームボス」くらいだから、全然強そうじゃないですね……。 自ら「番長」と名乗るだけあって、『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』の幅広さは、とんでもなく良質なガイドブックでした。 ☆☆☆☆☆ 『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』 https://amzn.to/3lCE67t ☆☆☆☆☆ BTSはなぜ世界中で支持されているのか。 「これでは売れない」と思っていたMAMAMOOが、スターとなったのはなぜか。 などなど、数多くのK-POPアーティストが、時代性やコンセプト、ジェンダーといったテーマ別で紹介されています。 わたしはK-POPについてほとんど知らなかったので、「このグループ名は、こう読むのか!」といった基本的なことも知ることができ、とても新鮮でした。 たとえば「ITZY」。デビュー曲の「DALLA DALLA」は聞いたことがあったけど、なんて読むんだろうと思っていたんですよね。これが「イッジ」で、韓国語の「있지(あるでしょ)」だとは……。 へたに韓国語を学ぶと、ローマ字表記される韓国語が分からなくなります……。 それぞれのグループの成り立ちや、系列、カムバックするたびにアップデートされるコンセプトなどが分かるので、気になったグループの曲を探して聞いてみるのがおすすめ。 ただね。 大好きなロックグループ「YB」が載ってない……。 まぁ、彼らはK-ROCKのカテゴリだし仕方ないと思ったら、「SEVENTEEN」の項目で発見!! “初期のインタビューで彼らが理想とするアーティストをあげているが、スーパースターのマイケル・ジャクソン、 韓国ロック界の大物であるユン・ドヒョン 、振付師のキーオン・マドリッド、ラッパーのルーペ・フィアスコなど、それぞれの理想とするところがまったく違うのだ。” (太字はmame) 「YB」のボーカルであるユン・ドヒョンが、なんかすごい名前と並んでいる……。「YB」って、そんなすごいバンドなので、続編が出る時にはぜひ入れてほしい。 それにしても、さすがは「番長」。初期の頃からたくさんのグループを追いかけ、その

映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」#747

2008年に15歳という年齢でデビューしたIUは、「国民の妹」と呼ばれるほど、絶大な人気を集める歌手です。2011年には日本にも進出。かわいらしいルックスからは想像もつかないほど、パワフルな歌声を披露していました。 同じ2011年、芸能高校を舞台にしたドラマ「ドリームハイ」で俳優としてもデビュー。 J.Y.Parkが俳優として初出演。恋と嫉妬は芸に活きる!? ドラマ「ドリームハイ」 #385   でも、その姿がですね……。 え!? これは誰???と思うほどのバケっぷりなんですよね。 (画像はclienより) 演技の方もまだまだ固く、ぶっちゃけ、歌のシーンだけがリアルに感じられるドラマでした。 このイメージが強かったため、長らく「IU出演」という言葉に引かれなかったくらいでした……。 ただ、シンガーソングライターとしても活動するくらいなので、表現者としての才能は確かなもの。映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」は、そんなIUの魅力を4人の監督が切り取ったオムニバスです。 ☆☆☆☆☆ 映画「ペルソナ -仮面の下の素顔-」 https://www.netflix.com/title/81044884 ☆☆☆☆☆ IUは、歌手として活動する時は「IU」、俳優として出演する時は本名の「イ・ジウン」を使っています。だから映画のクレジットも「イ・ジウン」になっています。 4つの短編で構成されている「ペルソナ」は、そんな「イ・ジウン」にさまざまな仮面を被せてみた、という趣向。勝ち気で無邪気、悪女で純粋という、相反する姿を見せてくれています。 映画のあらすじは、こちら。 1. ラブセット:イ・ギョンミ監督 父が新しい彼女とテニスを楽しむ様子を見つめるイ・ジウン。彼女が気に入らないイ・ジウンは、対戦をすることにするが……。 2. コレクター:イム・ピルソン監督 年下の彼女(イ・ジウン)に夢中なジョンウだが、どうやら彼女の気持ちは冷めているよう。久しぶりにデートをするが、すれ違いから妄想が広がり……。 3. キスの罪:ジョン・ゴウン監督 女子高生のハンナ(イ・ジウン)は、同級生の家を訪ねるも、父親に追い返されてしまう。どうにか会えた友人の首筋には、たくさんのアザがあり……。 4. 夜の散歩:キム・ジョングァン監督 恋人と夜道を散歩しながら、思い出話をするイ・ジウン。しかし、彼女は亡くなった

『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』#656

アメリカの音楽ジャンルである「ポップス」が、日本では「J-POP」、韓国では「K-POP」と呼ばれている……のだと思っていました。では、その区分けは、歌い手の国籍なのか、制作された国なのか。 BLACKPINKのドキュメンタリー映画でも、プロデューサーが語っていた「K-POPとは何か」という問題。 映画「BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ」 https://note.com/33_33/n/n899283d10bc7 韓国の音楽評論家であるキム・ヨンデさんの書『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』にも、“定義はあいまい”とありました。 ☆☆☆☆☆ 『BTSを読む』 https://amzn.to/2S2yXZq ☆☆☆☆☆ 韓国で「アイドル」と最初に呼ばれたソテジワアイドルから、数々のグループが誕生し、日本でも多くのファンが熱狂しているいま。その「K-POPアイドル」という枠組みを越えていったBTSに迫った本です。 あまりK-POPに詳しくないわたしがBTSの名前を最初に聞いたのは、2018年くらいだったように思います。 また、似たようなグループが生まれちゃったのか……!?と思いきや、なんだか何かがぜんぜん違う。 「K-POPアイドル」の原点はラップとダンスで、BTSもその路線ではあるけれど、何が違うんだろう? そんな疑問を持っていたわたしには、「K-POPアイドル」の歴史を解き明かしつつ、BTSの特殊さを解説する本書は、とても刺激的でした。 ヒップホップ×アイドルという組み合わせから、最初はバッシングを受けたこと。ようやく進出したアメリカでも、「ファクトリー・アイドル」と揶揄されたこと。 そんな彼らが世界中でファンダムを形成し、2021年グラミー賞では、「最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス賞」にノミネートされました。2019年は最優秀レコーディング・パッケージ賞へのノミネートでしたが、今回はようやく楽曲で評価されたわけです。 多くのグループが試みた「現地化戦略」をとらず、自分たちらしさと音楽性を追求してきたのが、BTSとのこと。 「目標は、変化し続ける姿が見えるチーム」。本を読んでから、YouTubeでMVを検索してしまうこと請け合い。歌詞レビューを読みながら、じっくり世界にひたりたい。

『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』#655

2021年グラミー賞の「最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス賞」にK-POP界で初ノミネートされたBTS。 新曲のMVが次々と新記録を打ち立て、ギネス5部門に登録されたBLACKPINK。 K-POPアイドルの育成方法を取り入れたNiziUの人気。 なぜこんなにも、世界中でK-POPが受け入れられるようになったのか。『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』は、その背景を探った本です。 ☆☆☆☆☆ 『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』 https://amzn.to/3omw1TD ☆☆☆☆☆ K-POPアイドルというと、グループの人数が多くて、新曲を出すたびに髪色やイメージがガラリと変わるので、わたしはなかなか覚えられなかったのですけれど。それこそが「カムバック式」の戦略だったんですね。 本では、K-POP人気の理由として5つのバリアフリーが挙げられています。 1.お金 2. 時間 3. 距離 4. 言語 5. 規制 たとえば、K-POPアイドルの新曲はYouTubeを通して公開されることが多く、ほとんどの場合は無料で触れることができます。 入り口は無料→ ライブは有料 まさに「フリーミアム」モデルなのだという説明に、めちゃくちゃ納得しました。 ※フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金するビジネスモデルのこと。 アイドルの音楽作りを支える裏方へのインタビューや、過去のアイドルグループとの違いについても触れています。 そして浮かび上がる疑問「K-POPとは何か」。これはBLACKPINKのドキュメンタリー映画でも、プロデューサーが口にしていました。 BLACKPINK入門編はK-POPってなんだという問い 映画「BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ」 #591   距離や言語のバリアを超えたことで、世界規模でファンダム化したK-POP。ファンとの一体化といえば聞こえはいいけれど、アーティストの方向性までもを左右してしまうあり方は、とても微妙なバランスの上に成り立っています。 K-POP好きな人はもちろん、ビジネス目線で読んでもおもしろい一冊でした。 キム・ヨンデ著『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』と合わせて読むのがおすすめです! 『BTSを読む なぜ世界を夢中

BLACKPINK入門編はK-POPってなんだという問い 映画「BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ」 #591

「皮むけた唇に血がにじんでも あきらめたくはないやいやい」 17歳のとき、女子高生歌人としてデビューした加藤千恵さんの歌です(『ハッピーアイスクリーム』所収)。 「BLACKPINK」の来し方を追ったドキュメンタリー映画「BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ」を観ながら、加藤さんの歌を思い出していました。JKの全能感と焦燥感は、「BLACKPINK」にピタリと合うのです。 “永遠に醒めない夢はそれはもう夢ではなくてべつの何かだ”  (加藤千恵『ハッピーアイスクリーム』所収) 歌手になりたくてオーディションを受けた日から始まった、夢への道。レディー・ガガとコラボした新曲が、世界57ヶ国のiTunesチャートで1位になったり、1stシングルの動画の再生回数が、ギネス世界記録に認定されたり、彼女たちの夢はもうべつの何かになっているのではないかと思っていたのだけれど。 ああ、いまはまだ夢の途中なのだとも思う。 生い立ちから練習生時代のこと、オフタイムやトレーニングしながら、時に涙を流しながら語られる言葉のひとつひとつに、パワーの源泉が感じられました。現在、Netflixで配信されています。 ☆☆☆☆☆ 映画「BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ」  https://www.netflix.com/title/81106901 ☆☆☆☆☆ 「BLACKPINK」とは、2016年8月8日にシングルアルバム『SQUARE ONE』でデビューした4人組のグループです。 現在活躍しているガールズグループのTWICEやNiziUは9人、IZ*ONEなんて12人もいることを考えると、4人という構成は少ないなという気もします。BTSだって7人もいますし。 でもこの4人の音楽は、人数構成を上回るパワーを感じさせます。女優としても活動するオム・ジョンファは、90年代後半に「セクシークイーン」として君臨し、「韓国のマドンナ」と呼ばれていました。「BLACKPINK」は、オム・ジョンファが切り開いた「かっこいい女」路線を受け継いでいるといえます。 初の海外旅行がハイジャック! 映画「ノンストップ」 #590   ジス、ジェニー、ロゼ、リサのメンバー4人は、YGエンターテインメントの練習生として知り合い、激しいトレーニングと厳しい評価に耐え抜いてきた「仲間」でもあるのだそう。グループ

J.Y.Parkが俳優として初出演。恋と嫉妬は芸に活きる!? ドラマ「ドリームハイ」 #385

いま話題の9人組ガールズグループ「NiziU」。日本各地でのオーディションから東京合宿、韓国合宿の模様を追った「Nizi Project」は一気に見てしまいました。 NiziU Official Website 日本から世界へ!ソニーミュージック×JYPの合同オーディション・プロジェクト「Nizi Project」より、1万人から選び抜かれた9人組グローバル・ガールズグループ “NiziU” 誕生!!   まだ10代や20歳そこそこで過酷な競争の世界に飛び込んだ参加者の姿に、何度もウルッ。そしてプロデューサーであるJ.Y.Parkの言葉に、わたしも励まされました。 「ここで26位になっても、脱落したとしても、皆さんが特別ではないということではありません。1人1人が特別でなかったら生まれて来なかったはずです」 「見えない精神、心を見えるようにすることが芸術です」 「僕が君たちに期待することは歌とダンスの実力が全部ではありません。それに劣らず持ってほしいものは立派な人柄です」 「“真実”は、隠すものがない人になれという話です。カメラの前でできない言葉や行動は、カメラのない場所でも絶対にしないでください。気をつけようと考えないで、気をつける必要のない立派な人になってください」 「“誠実”は、自分との戦いです。毎日するべきことをすることです。自分自身に鞭を打って、歌の練習、ダンスの練習、語学勉強などをずっとしていたら、それが積み重なって、君たちの夢を叶えてくれます」 「“謙虚”は言葉や行動だけの謙虚ではなく、“心の謙虚”を意味します。自分自身が本当に足りないと思って、隣にいるみんなの短所ではなく長所だけを見て心から感謝すること。それが謙虚です」 「才能がある人が夢を叶えられるわけではありません。自分自身に毎日ムチを打って、自分自身と戦って、毎日自分に勝てる人が夢を叶えられます」 数々の名言が生まれていますが、日本での「いい人」戦略に対して韓国では、「イメージチェンジを図っているのでは?」なんて声も聞こえているそう。 なぜなら、アーティストとしてのJ.Y.Parkは、かなり奇抜なファッションで活動していたからです。 (画像はWho Isより) そんなJ.Y.Parkが初出演したドラマが「ドリームハイ」。英語教師だけどデビューを狙っているという役でした。学校の理事長を務めたのは