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なんでもない一日をワンダフルに「私の解放日誌」

「韓国ドラマは、3話目まで待て」 そんな言葉があるそうです。1話目からインパクトの大きいドラマはあるものの、ヒューマンドラマ系だとたしかに、3話目くらいからジワジワとのめり込んでいく感じがありますね。 「私の解放日誌」の場合、1話目を観て、継続視聴しようかどうしようか迷いました。 だって、あまりにもどんよりしているんだもん! ですが、脚本が「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」のパク・ヘヨンさんと知って、観ることに。結果、見事にはまり込みました。 現実にうんざりしている三きょうだいのお話です。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「私の解放日誌」 Netflix: https://www.netflix.com/title/81568411 ☆☆☆☆☆ 三きょうだいはそれぞれ、「電車」でソウル市内の会社に通っています。 1時間半かけて! (画像はNetflixより) いけ好かない同僚や上司との付き合いに、うんざり。 飲み会に行っても終電を気にしないといけないことに、うんざり。 駅からは舗装されていない真っ暗な道をテクテク歩くしかないことにも、うんざり。 それでも、誰も家を出ようとしません。 言葉としては出てこないけれど、これは「家族」は一緒に暮らすものというお父さんの意志なのかも。お父さんが、もう、最近珍しいくらいの強い家長なんです。「梨泰院クラス」みたいな強権的な感じではなく、無言の圧力。ご飯も黙って食え!って感じで震えます。 ドラマの中では、父の工場を手伝うナゾの男・クさんと話すようになって、末っ子のミジョンは自分の輪郭を確かにしていきます。 クさん自身も、文字通り「飾らない」ミジョンの率直さに、自分を取り戻していく。 同じ日々の繰り返しに埋没していた「自分」が、人との関係の中で形づくられていくようで、ひとつひとつのセリフが実に味わい深かったです。 解放されたい。 想いは、ミジョンが会社の中で始めたクラブ活動「解放クラブ」へとつながっていきます。 ところで、最近、海の向こうから新たなムーブメントが入ってきましたよね。 「書く禅」というやつです。 書くことで頭の負荷を減らしたり、自分の感情を確かめたりするマインドフルネスが注目されているそうです。 「解放クラブ」の日誌が、まさにこれ。 一日のうち、少しの時間でもいいから、自分自身に向き合うこと。 自分を解放するためには、この振り

映像のデジタル化で失われていく質感

映画好きの方にとってデジタル技術の進化って、どんなふうに受け止めてられているんでしょう? 長く35mmフィルムが使われてきた映画の世界は、いまやすっかり「デジタル処理」が当たり前となりました。映画だけでなく、ドラマも同じ。 ゴージャスな家が印象的だった 「サイコだけど大丈夫」 は、玄関だけが作ってあって、家の本体や庭はCGです。 お城のようなセットを作るのは大変だし、CG処理できるなら、たぶんその方がみんなハッピーですよね。どう考えても。 極限状態での撮影は俳優だけでなく、スタッフたちも疲弊してしまうから。 映画で全編デジタル撮影をおこなったのは、2002年公開の「スターウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」だそう。ジョージ・ルーカス監督作品です。 (画像リンクです) 映画としては正直いって(……)なんだけど、いまの技術ってこんなことが可能なのか!!と驚いた映像でした。 この映画から20年。 CG技術は、もはや映像コンテンツ制作の前提になっているのかもしれません。 ただ、演技に関わる部分にデジタルが入り込むと、質感というか、重量感というかがちょっと物足りない……と感じることも。 ちょうど連続して観た映画「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」とドラマ「二十五、二十一」がそうでした。 ☆☆☆☆☆ 映画「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」 公式サイト: https://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/ ☆☆☆☆☆ ご存じ「ファンタビ」の第3弾。ジョニー・デップが降板し、グリンデルバルド役はマッツ・ミケルセンに。クリーデンス役のエズラ・ミラーにもきな臭いニュースが出ていたので、この先、どうなるやら……という気もしています。 よかった点は、脚本をJ・K・ローリングひとりに任せなかったことだと思います。失礼だけど、これはとても感じた点。 アイディアがあふれ出すタイプの方なので、2作目の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」はストーリーを把握するのが大変でしたもんね……。 「ファンタスティック・ビースト2 黒い魔法使いの誕生」ジョニデとまた恋に落ちた   そして今回の映画には、新しい「魔法動物」が何種類か登場するのですが、物語の行方を左右するキーとなっていたのが、「麒麟」でした。 「麒麟」っ

映画「ペパーミント・キャンディー」#997

「ケン・ローチとポン・ジュノの両方を観れば、テーマに関しては、僕はやっぱりケン・ローチのほうがいい。でももっとワイドスコープで観れば、たぶん、ポン・ジュノのほうがケン・ローチの何十倍か世界に届いている」 映画を届けることと、完成度やメッセージはトレードオフなのか? 『映画評論家への逆襲』で、映画監督の森達也さんが語る言葉には、興行的な成功と映画の社会的役割の狭間で悩む姿が垣間見えます。 (画像リンクです) このあたりの話題はもちろん、ポン・ジュノ監督の「パラサイト」はアカデミー賞をとるほどの傑作だったのか!?でした。 “無意識の悪意”が階級を分断する 映画「パラサイト 半地下の家族」 #171   ポン・ジュノ監督には格差に対する批判的精神がない、リアルな社会を描いているのはケン・ローチ監督では、という指摘です。たしかにケン・ローチ監督の映画は、めっちゃいい映画なんだけど、興行的にはしょっぱい状況なんですよね……。 人としての尊厳は守られるのか 映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」 #191   名匠が描きだすシステムへの怒り 映画「家族を想うとき」 #186   めっちゃいい映画を撮るんだけど、興行的に数字が厳しいのだろうなーと思う韓国の映画監督の筆頭が、イ・チャンドン監督です。失礼……なんだけど、とある韓国映画特集のムックにも、「イ・チャンドン」の名前は2回しか出てこない! 驚愕!!!!! まったくエンタテインメントじゃないせいか、日本ではあまり知られていないのですかね……。 イ・チャンドン監督は、社会の「名もなき人々」の痛みに寄り添い、韓国社会の変化をみつめてきた監督です。 ポン・ジュノ監督は1969年生まれで、イ・チャンドン監督は1954年生まれ。15歳の年の開きは大きく感じますが、ふたりとも学生時代に民主化闘争へと身を投じた世代で、その経験が作品作りにも反映されています。 もともと教師として教鞭をとりながら、小説家として活躍したイ・チャンドン監督。映画の脚本も手がけるようになり、ハン・ソッキュ主演の「グリーンフィッシュ」で監督デビュー。 2本目に撮った「ペパーミント・キャンディー」は、第53回カンヌ国際映画祭の監督週間部門に出品されました。 特徴的なのは、ある青年の20年間が、“後ろ向きに再生”されるという手法。 燃え殻さんの小説『ボクたちはみんな大人にな

映画「2階の悪党」#980

韓国に留学していたころ、とても驚いたことがありました。 なんで韓国で売っている「ブラジャー」は、こんなに小さいの!? 当時、日本では「上げて、寄せる」タイプが主流だったと思いますが、韓国で売っているのは「小胸」に見せるタイプばかり。「上げて、寄せる」希望がないわたしにはちょうどよかったのですが、考え方の違いが気になって友人に聞いてみました。 「もともと身体のラインを強調するような服は、あんまりないかもねー」 テレビでは、オム・ジョンファが身体のラインをめっちゃ強調しながら歌い踊っておりましたが、普通の市民はそういう発想をもっていない時期だったのかもしれません。 そして、むかしのドラマにもグラマラスな俳優は、あんまりいなかったような気がします。 いまでは韓国にも「盛る」タイプの下着が出ていて、身体のラインを見せつける演出も出てきましたね。 中でもキム・ヘスには圧倒されます。 映画「10人の泥棒たち」では、“大人のオンナ”を強調した姿を見せていました。 「オーシャンズ」好きならこれ! 映画「10人の泥棒たち」 #139   ハン・ソッキュと共演した「2階の悪党」では、夫を亡くして茫然自失……のはずが、やけに色っぽいママを演じています。 ☆☆☆☆☆ 映画「2階の悪党」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 夫が急に亡くなり、経済的に困窮したヨンジュ。2階の空き部屋を「作家」と名乗る男チャンインに貸し出すことにする。しかし、ことあるごとに1階をのぞき込もうとするチャンインに不信感を抱くように。ある日、執筆のためにヨンジュにインタビューしたいと言いだして……。 サスペンスとドタバタコメディの掛け合わせを狙っていたのでしょうけれど、正直に言ってどちらにも振り切れずに終わった……感はあります。 韓国で公開された時にも、興行が振るわなかった模様。ただ、後になって評価する声が上がるようになったのだとか。 監督は「シークレット・ジョブ」のソン・ジェゴン監督。こちらがひたすらコミカルに振り切った脚本だったので、やはり「2階の悪党」から一皮むけた感じはしますね。 映画「シークレット・ジョブ」#842   わたしとしては、とにかくキム・ヘス姐さんのズレっぷりに笑いました。 夫に先立たれ、娘は反抗期真っ最中。周囲の男たちは、みんな自分に「説教」しようとしているように感じているんです。

ドラマ「未成年裁判」#979

少し前に「韓国ドラマのような恋がしたい」という内容のキャンペーンが行われていました。 ……ってマジですか!? と思ったんですよね。 もれなく「初恋の思い出」とか「毒親」とか「ワケアリ家族」がついてきますよ? 時には恋した相手が「オバケ」だったりもしますよ? なーんてね。 韓国ドラマのドラマチックに煽るスキルはラブコメに強く発揮されますが、最近は心臓をヒンヤリさせる社会派ドラマをかぶりつきで観てしまいます。 韓国のサスペンスドラマに、実話を基にした作品が多いのは、視聴者も当時を思い出して観てしまうからかもしれません。 制作にあたっては、被害者の家族に事前説明をして、同意をいただくそうですが、映画などでは裁判になったりもしていました。 たしかに、忖度なしに思い切った表現で切り込む姿勢は、韓国ドラマならではだなと思います。 最近配信されたドラマの中では、「未成年裁判」がダントツにしびれました。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「未成年裁判」 Netflixサイト: https://www.netflix.com/title/81312802 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> ヨンファ地裁の判事に赴任したシム・ウンソク。13歳の少年ソンウが9歳の少年を殺してバラバラにした事件を担当することになるが、ソンウの証言が嘘だと気づく。世間の注目を集める裁判に対し、政界への転身を狙うカン部長判事はよけいなことをするなと詰め寄るが……。 「少年刑事合意部」に所属している判事はふたり。キム・ヘス演じるシム判事、キム・ムヨル演じるチャ判事です。ふたりの上司が、イ・ソンミン演じるカン部長判事。 「未成年の犯罪を憎んでいます」 そうハッキリと口にし、嫌悪感をあらわにするシム判事。 不良行為を働く少年少女たちに同情的なチャ判事。 20年勤めた裁判所から、次のステップに移ろうとしているカン判事。 3人の思惑と対決が、前半の見どころ。 後半はここに、イ・ジョンウン演じるナ判事が加わります。 (画像はNetflixより) キム・ヘス vs. イ・ソンミンが蛇とマングースな闘いだとすると、キム・ヘス vs. イ・ジョンウンは、ツキノワグマ同士の対決って感じ。 巨大名優の火花が飛び散る演技の中を、自制的で内省的なチャ判事がアワアワ動き回る構図になっていて、キム・ムヨルの穏やかさが一服の清涼剤みたいに効いてきます。 「パラサイト

映画「グッドモーニング・プレジデント」#970

「韓国の大統領って、退任後に行くところが決まってるよね……笑」 そんな冗談を耳にすることも多い時期。問題は、この「笑」の部分ですよね……。なんでこんなに懲りずにやらかしてしまうんだろう?と不思議に思います。 現大統領の人気は今年の5月9日まで。本日3月9日は、大統領選の投票日です。 韓国の政治ドラマは“忖度なし”の骨太な作品が多く、歴代大統領の中でもパク・チョンヒ大統領やチョン・ドファン大統領は、何度も映画に描かれています。 この時代、軍事的、政治的な事件が多かったせいでしょうね。 一方、チャン・ジン監督の「グッドモーニング・プレジデント」は、“人間”としての大統領に焦点を当てたヒューマンドラマです。 3人の大統領に仕えた青瓦台(大統領官邸)の料理人の視点で描かれる、大統領たちのあまりにも庶民的な姿。かなり笑えます。 ☆☆☆☆☆ 映画「グッドモーニング・プレジデント」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 最初に登場するのは、イ・スンジェハラボジが演じるキム大統領。退任まで半年を切り、ガツガツと手腕も発揮することもなくなってしまった、ある日。 ロトで244億ウォンが当たったーーーーー!!!!! けど。 以前、当せんしたら「全額寄付する」と公約してしまっていたのでした。なんてこったいな事態に、大いに悩んでしまう。そりゃ、そうだわ。 そんなキム大統領の跡を継いで就任したのが、チャン・ドンゴン演じるチャ大統領。 (画像はKMDbより) 若いし、切れ者だし、おまけにイケメンというエリート政治家なのですが、国家的危機の時に恋に落ち、シングルファーザーでもある大統領も、大いに悩んでしまう。いや、それどころじゃないかもよ。 そして最後に登場するのが、コ・ドゥシム演じる、「初の女性大統領」という設定のハン大統領。 映画としては4年ぶりにスクリーンに復帰したチャン・ドンゴン押しな宣伝だったと記憶していますが、一番おもしろくて、ホロリとしたのは、この3番目の大統領でした。 ハン大統領と一緒に、青瓦台で暮らすことになり、ファースト・ジェントルマン扱いを受けるようになった夫。慣れない生活に、「ちょっとだけ……」と羽目をはずして、スキャンダルを起こしてしまう。 うもーー!!!となって離婚するしかないと、大いに悩むハン大統領。うん、分かる……。 だけど、イム・ハリョンの「憎めないおっちゃん」感は最高

ドラマ「レディプレジデント〜大物」#969

今日3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」です。 1904年、ニューヨークで婦人参政権を求めたデモがあり、それを記念して制定されたのだとか。 日本で女性が初めて参政権を行使したのは、1946年4月10日。戦後初めての衆議院議員総選挙が行われ、約1,380万人の女性が初めて投票し、39名の女性国会議員が誕生。 女性の参政権の獲得に尽力した市川房枝さんは、柚木麻子さんの小説『らんたん』にも登場します。戦争中の「銃後の守り」への協力と引き換えに、参政権にイエスと言わせた……ような描かれ方をしていました。初めての選挙のときは、公職追放処分を受けていて投票できなかったそう。 『らんたん』#963   2030年までに達成すべきSDGsには、「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」がありますが、日本では劇的に進んだ……ようには感じられないですね。正直に言って。 世界経済フォーラムが公表した「ジェンダー・ギャップ指数2021」によると、日本の順位は156か国中120位。韓国は前年の108位から102位へと、前進しました。 家父長的な社会の空気や男性中心の組織文化、“飲みニュケーション”も盛んな韓国では、長く女性の社会進出が難しいといわれてきました。 自ら「フェミニズム大統領」と名乗った文在寅大統領が強力に「男女公正」を進めたおかげで、順位がアップしたようです。 そんな文大統領の任期も今年の5月9日まで。明日3月9日に、次の大統領を選ぶ選挙の投票が行われます。誰が選ばれるのか、今後の世界はどうなるのか、気になるところです。 かつてパク・クネ大統領が、女性として東アジア初、韓国史上初の大統領に就任した際は、どうしてもドラマ「レディプレジデント〜大物」と比べてしまいました。 コ・ヒョンジョン演じる、初の女性大統領に吹き付ける風圧に驚き、彼女を支え、10年愛を貫くクォン・サンウの純愛が光るドラマです。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「レディプレジデント〜大物」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> アナウンサー採用試験へ向かっていたソ・ヘリムは、偶然、不良少年のハ・ドヤと知り合う。数年後、ソ・ヘリムの夫がアフガニスタンで殺害され、ヘリムは番組内で政府の対応を批判。会社を辞めることに。一方のハ・ドヤは検事となり、政治家の収賄事件を調査するようになり……。

ドラマ「ミセン-未生-」#968

「心を閉じた人へ思いを伝える方法は、学校では教わらなかった。だから、がむしゃらにやってみることにした」 毎年、この時期になると見返すドラマが、「ミセン-未生-」です。 原作のWebマンガは、韓国のビジネスパーソンのバイブルと呼ばれ、数々のドラマ賞を獲得。イ・ソンミン&キム・デミョン&イム・シワンの「営業3課」が味わう悲喜こもごもに、何度も胸を熱くするドラマです。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「ミセン-未生-」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 10歳からプロ棋士になるため、修行を続けてきたチャン・グレ。父親の病気でバイトをしているうちに、入団試験に失敗しあきらめることに。 26歳でやっと、インターンから契約社員として採用されるが、高卒で何の技術もないグレは、同期の有能さに押しつぶされ、自分の無能さを知る。 配属された営業3課で、囲碁で鍛えた集中力や戦い方を活かし、少しずつ仕事を覚えていくが…… 「営業3課」は、専務に反抗したせいで、課長のまま据え置かれているオ・サンシクが率いる部署です。会社の中では「オマケ」扱い。演じるキム・デミョンの寝癖が、「こんなオッチャンいるいる~」な感じです。 唯一の部下キム・ドンシク代理を演じるのは、キム・デミョン。週末はお見合いに励んでいるけれど、くせ毛のせいで決まらない……と悩んでます。たぶん違う。 そこに配属されたのが、高卒で、コネ入社というだけで、同期のインターンたちからイジメを受けていたチャン・グレ。 (画像はNetflixより) 韓国は日本のように、新卒一括採用というシステムではないため、就職活動=インターンで経歴を積むことが大切なのだそう。 たくさんのインターン生がいましたが、チャン・グレの同期となったのは3人。でも、この3人は大学卒業資格を持っており、「正社員」の立場。高卒のグレだけが「契約社員」となります。 この立場の違いもドラマの中にはしっかり描かれていて、同期のありがたさや嫉妬心と一緒に味わうことができます。 カン・ソラ、カン・ハヌル、ピョン・ヨハン、そしてイム・シワンが演じる4人の新人たちがぶち当たる、会社員の壁。 説明してくれないと分かんねーよ!ってなったり、丸投げかよ!ってなったり。「会社」という組織の論理に“慣れて”しまったわたしには、新人たちのとまどいを知ることができる、貴重なドラマでした。 冒頭のセリフ

ドラマ「女の香り」#967

闘病中だった知人の訃報が届きました。 友人の友人……というちょっと遠い距離だけど、やはり心が沈んでしまいますね。 なかなかに波瀾万丈な人生で、たしか50歳を過ぎてから新宿にバーをオープン。それまでやったことがなかった水商売だったにも関わらず、人柄を慕う人たちでいつも賑わっていました。 最期の瞬間を、どんな風に迎えたいか。 自分のお葬式で、誰にどんな言葉をもらいたいか。 そんなことを時折考えます。その日に向かって、その言葉に向かって、生きなければと思うから。 韓国で2011年に放送されたドラマ「女の香り」は、34歳の主人公が突然、余命宣告を受け、生きることの意味をみつける物語。 「私の名前はキム・サムスン」 で大ブレイクを果たし、ラブコメの女王と呼ばれたキム・ソナさんが、内気だけど芯の強い女性・ヨンジェを演じています。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「女の香り」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 旅行会社に勤める34歳のヨンジェは、会社からはこき使われ続け、上司からも邪険にされている。ある日、交通事故に巻き込まれて病院で検査を受けることに。そこで末期の胆のう癌が発覚。余命はあと半年と知らされる。会社を辞めたヨンジェは貯金をはたき、きれいに着飾って人生最後のバカンスを満喫すべく沖縄ヘと旅立つ。そのとき、ヨンジェが社内でひと目惚れしていた御曹司のジウクも沖縄を訪れていた……。 キム・ソナさんは日本で中学・高校生活を送っていたため、日本語もお上手です。ドラマでは沖縄での出会いのシーンがあり、そこでも流ちょうな日本語を披露しています。 あの強烈な「サムスン」のイメージが残っていたので、ドラマの序盤は、シュッと痩せて小顔になり、モジモジした様子のヨンジェにとまどいました。 余命半年という宣告を受け、やれなかったことをやったろうやないかい!と沖縄に向かってからは、憑き物が落ちたように晴れやかな表情に。思い切って買ったオシャレなワンピースもよく似合う。 そこで、運命の出会いをします。 という展開が、韓国ドラマらしいんですよね。 ヨンジェが勤めていた会社の御曹司を演じるのは、 「トッケビ」 の死神役がかわいかったイ・ドンウクさん。彼の勘違いのおかげで、ヨンジェは才能を発揮する機会を与えられます。 次々とアイディアを生み出し、自分の意見を口にするヨンジェ。これまでいかに、言葉を封じられ

映画「ドリームプラン」#966

「しくじるのは、しくじるプランだからだ」 女子テニス界最強のプレーヤーであるビーナス&セリーナ姉妹を育て上げた、父のリチャードは、こう何度も繰り返し、準備とプランの大切さを説きます。 ウィル・スミス自身が主演・製作を務め、第94回アカデミー賞では作品賞や主演男優賞などにノミネートされた「ドリームプラン」。 「気合いだー!」的な、暑苦しいお父さんの熱血指導の映画かと思いきや、家族を守るために必死で闘うお父さんの話でした。 ☆☆☆☆☆ 映画「ドリームプラン」 公式サイト: https://wwws.warnerbros.co.jp/dreamplan/ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> ある日、優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿をテレビで見たリチャードは、娘たちが生まれる前から「世界王者にする78ページの計画書」を独学で作成。お金もコネもなく練習するのも劣悪な環境下、途方もない問題に直面しながらも、ビーナス&セリーナと共に“ドリームプラン”を実行し続ける。 信じることの強さを感じさせる、「ドリーマー」のための映画といえます。ただし、実際のリチャード父ちゃんは毀誉褒貶が激しい人物だったそう。 映画にはあまり出てきませんが、白人社会への対抗心と上昇志向、数度にわたる離婚と再婚。独善的で荒削りなテニスの指導方法と、あえて治安の悪い町へ引っ越すことで反骨精神を埋め込んだところなど、すべてが「自分の野望を果たすため」ではないのか、という疑いも感じてしまう。 映画の原題は「King Richard」なので、やはり「リチャード三世」を意識して作られたのかもしれないですね。 マッケンローは練習中にも赤いバンダナを巻いているし、ウィル・スミスの短パン姿も微笑ましい。映画の字幕監修をした伊達公子さんによると、「常にハイソックスを履いていたところも映画そのまま」らしいです。 伊達公子、字幕監修担当「ドリームプラン」のリアルさに驚き「タイムスリップしたような感覚」 : 映画ニュース - 映画.com   独学で研究し、作り上げた「78ページの計画書」によって、姉妹の精神的な成長を待ってから、デビューをさせるという戦略を主張するリチャード父ちゃん。同い年のライバルが、プロとして経験を積む姿を横目で見るしかないビーナス。お姉ちゃんに集まる関心に、複雑な想いを抱いてしまうセリーナ。 リチ

映画「名付けようのない踊り」#953

「彼の歩き方は、“ダンサー”じゃないんです! 彼こそ“俳優”の歩き方ができる人なんです!!」 2002年に公開された山田洋次監督初の時代劇「たそがれ清兵衛」を観て、当時師事していたアメリカ人映画監督が叫びまくっていました。感動の叫びですよ、念のため。 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信: https://amzn.to/3IiVKpv “彼”とは、映画の中で清兵衛が討ちに行く相手・余吾善右衛門を演じた田中泯さんです。 狭い家の中で斬り合い、倒れる善右衛門。 この時、なんの音もしないんです。静かに、ゆっくりと倒れていく。 これは、絶対的に全身の筋肉をコントロールできる人だけができる演技とのこと。 (画像はIMDbより) ドラマ「太陽にほえろ!」などでは、亡くなるシーンの時、いかに派手に、個性的に、華々しく散るかを考えたそうです。ジーパン刑事(松田優作)の 「なんじゃあこりゃああ!!!!!」 が有名ですよね。 でも、田中泯さんが見せてくれたのは、およそ正反対の極にある死に様でした。 その姿はいまでも強烈に残っています。 クラッシックバレエとモダンダンスを学び、土方巽氏に師事した田中泯さん。その踊りと生き様を追ったドキュメンタリー「名付けようのない踊り」が公開されています。 ☆☆☆☆☆ 映画「名付けようのない踊り」 公式サイト: https://happinet-phantom.com/unnameable-dance/ ☆☆☆☆☆ 映画は、ポルトガルの街角で、ひとりの男がしゃがみこんでいるところから始まります。 ホームレスのような風貌(すいません)、モソモソと超スローモーションで伸びていく腕、ゴソゴソと超スローモーションで動きだす足。 これが、田中泯さんの“踊り”です。 わたしの貧弱な知識の中で「ダンス」といえば、音とリズムに合わせて手足を動かすもの、でした。軽やかで、ウキウキするような、“ハレ”の気配を感じるもの。 映画「スウィング・キッズ」なんて、マジで重力を感じさせない「ダンス」でした。 K-POPアイドルグループ「EXO」のド・ギョンスくんと、ブロードウェイミュージカルの最優秀ダンサーの称号をもつジャレッド・グライムスのダンス対決シーンは、しびれるほどのかっこよさです。 タップのリズムで結ばれた絆の行方 映画「スウィング・キッズ」 #227  

ドラマ「その年、私たちは」#942

誰かといても孤独を感じることはあるけれど、ひとりで生きてきたわけじゃない。 その時、その瞬間。 誰かがそばにいてくれたり、誰かと感情を共有したり。 そんな、人とのつながりを再確認できるようなやさしさが、「その年、私たちは」にはつまっていました。現在、Netflixで配信されています。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「その年、私たちは」 公式サイト: https://www.netflix.com/title/81486372 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 学年1位と学年ビリを追ったドキュメンタリー番組に出演し、反発を繰り返していたウンとヨンス。10年後、広告代理店のやり手のチーム長となったヨンスに、再びウンと一緒にドキュメンタリーに出て欲しいという依頼が入る。プロモーションのために依頼しようとしていたイラストレーターがウンだと知ったヨンスは、仕方なく了承するが……。 ドラマ 「梨泰院クラス」 のイソ役で大ブレイクしたキム・ダミちゃん。 そして、映画 「パラサイト 半地下の家族」 で、半地下家族の長男役を演じたチェ・ウシク。 ふたりの高校時代、大学時代、社会人になったいまと、10年間の“くっついたり、離れたり”が描かれます。 そういえば、おふたりは映画「The Witch/魔女」で共演済みでしたね。敵対関係だったけど。 最強アサシン少女の誕生を描くバイオレンスアクション 映画「The Witch 魔女」 #493   実年齢は、チェ・ウシクが31歳、キム・ダミちゃんが26歳ですが、制服姿にぜんぜん違和感がない! みずみずしいという言葉がピッタリです。 (画像はIMDbより) 目に映るものすべて、悲しいも、うれしいも、つらいも、いらだちも、ふたりとも全力で吐き出す……タイプではないため、すれ違い、行き違い、衝突を繰り返してしまいます。 ここに、ドキュメンタリーのPDとしてやって来た、幼なじみのジウンとの三角関係が重なり、せつなさ満載。愛しさ大盛り。そして、最後には心強さも感じられるように。 それぞれ家庭の事情を抱えているため、それが自分の足首をつかんでいて、自分が自分の人生を生きていないことに気付くからです。 にしても……。 タイトルが「その“年”、私たちは」なのは、「応答せよ」シリーズへのオマージュなのかなと思っていたんですよね。 ドラマ「応答せよ1997」#941   「応答せよ」