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ドラマ「その年、私たちは」#942


誰かといても孤独を感じることはあるけれど、ひとりで生きてきたわけじゃない。

その時、その瞬間。

誰かがそばにいてくれたり、誰かと感情を共有したり。

そんな、人とのつながりを再確認できるようなやさしさが、「その年、私たちは」にはつまっていました。現在、Netflixで配信されています。

☆☆☆☆☆

ドラマ「その年、私たちは」

公式サイト:https://www.netflix.com/title/81486372

☆☆☆☆☆

<あらすじ>
学年1位と学年ビリを追ったドキュメンタリー番組に出演し、反発を繰り返していたウンとヨンス。10年後、広告代理店のやり手のチーム長となったヨンスに、再びウンと一緒にドキュメンタリーに出て欲しいという依頼が入る。プロモーションのために依頼しようとしていたイラストレーターがウンだと知ったヨンスは、仕方なく了承するが……。


ドラマ「梨泰院クラス」のイソ役で大ブレイクしたキム・ダミちゃん。

そして、映画「パラサイト 半地下の家族」で、半地下家族の長男役を演じたチェ・ウシク。

ふたりの高校時代、大学時代、社会人になったいまと、10年間の“くっついたり、離れたり”が描かれます。

そういえば、おふたりは映画「The Witch/魔女」で共演済みでしたね。敵対関係だったけど。


実年齢は、チェ・ウシクが31歳、キム・ダミちゃんが26歳ですが、制服姿にぜんぜん違和感がない! みずみずしいという言葉がピッタリです。

(画像はIMDbより)

目に映るものすべて、悲しいも、うれしいも、つらいも、いらだちも、ふたりとも全力で吐き出す……タイプではないため、すれ違い、行き違い、衝突を繰り返してしまいます。

ここに、ドキュメンタリーのPDとしてやって来た、幼なじみのジウンとの三角関係が重なり、せつなさ満載。愛しさ大盛り。そして、最後には心強さも感じられるように。

それぞれ家庭の事情を抱えているため、それが自分の足首をつかんでいて、自分が自分の人生を生きていないことに気付くからです。

にしても……。

タイトルが「その“年”、私たちは」なのは、「応答せよ」シリーズへのオマージュなのかなと思っていたんですよね。


「応答せよ」シリーズが、その“年”の社会を反映したものだったのに対して、「その年、私たちは」には、そういうシーンが出てきません。

代わりに、韓国社会が積み重ねてきた負の歴史が、「若者世代」にどんな影を落としているのかが感じ取れるような構成でした。

韓国ドラマによく出てくる、「近所の子どもも一緒に面倒みるわよー!」的な両親が、このドラマにも登場します。

「応答せよ1997」でジョンホとユンジェ兄弟は、シウォンの両親に面倒をみてもらっていましたし、「彼女の私生活」でも、ウンギはドクミの家に居候していました。


政治も経済も大波に揺られてきた韓国。地べたの「お隣さんパワー」がなければ乗り越えられなかったでしょう。最終話でウンの両親が示す「善意」がそのことを象徴するかのようでした。

孤独を感じることはあるけれど、わたしたちはひとりじゃない。そのことに気付いて、他者とのつながりを見つめ直す。

ベタな恋愛ドラマだけど、そんな社会的なメッセージを含んだ、とても心温まるお話です。


最後にひとつだけ言わせて。

チェ・ウシクくんは、もっとキスシーンが上手になってくれるといいな……。


ドラマ「その年、私たちは」SBS 全16話(2021年)

監督:キム・ユンジン

脚本:イ・ナウン

出演:チェ・ウシク、キム・ダミ、キム・ソンチョル、ノ・ジョンウィ、パク・チンジュ、パク・ウォンサン、ソ・ジョンヨン

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