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最強アサシン少女の誕生を描くバイオレンスアクション 映画「The Witch 魔女」 #493


東京の新宿と、大阪の心斎橋にある映画館「シネマート」では、劇場発信型映画祭「のむらコレクション」が定期的に開催されています。番組編成担当・野村さんがセレクトした映画ということで、タイトルはこれ。通称「のむコレ」です。


ドラマ「梨泰院クラス」を観た時、この子、だれだっけ~?と思ったのが、イスを演じたキム・ダミでした。2年前の「のむコレ」で観た映画「The Witch 魔女」の主演の女性か!!!と気づいたのは、しばらく経ってから。それくらい、全然印象が違いました。「のむコレ」は「これから」の俳優を見つけるのにもぴったりかもしれません。

☆☆☆☆☆

映画「The Witch 魔女」
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☆☆☆☆☆

<あらすじ>
特殊な施設で育てられ、8歳の時に逃げ出したジャユン。記憶を失った彼女は、助けてくれた酪農家の娘として暮らすことに。10数年後、頭に異変を感じるようになったジャユンは、手術費用と経済状況の厳しい養父母のため、賞金目当てでオーディションを受けることを決意。しかしテレビ番組であるマジックを披露したことから、謎の男たちに追われる身となってしまう。


最強アサシン少女の戦いを描き、韓国で大ヒットを記録したバイオレンスアクション映画です。

「LUCY/ルーシー」や「ニキータ」にも引けを取らないほどの激しいアクションをこなしたのは、キム・ダミ。「梨泰院クラス」では一途な女性を演じていましたが、こちらでは普通の女子高生役。だけど、まったく表情を変えずにバスバスと敵を打ち倒していくんです。スクリーンデビュー2作目で主演、そして大ヒットと、ついてる役者ですね。

(画像はKMDbより)


パク・フンジョン監督は、「映画を漫画のように演出すること」が目標なのだそう。ファン・ジョンミン主演の「新しき世界」で監督デビューする前は、リュ・スンワン監督のもとで「生き残るための3つの取引」の脚本を書いたりしていました。



人間の内面にある悪を、拳で打開していくところが作品の特徴といえるかもしれません。でもご本人のインタビューによると、「平和主義者なので、血を見るのは好きじゃない」とのこと。ほんまかいな。


「The Witch 魔女」は3部作として構想したそうで、原題にはしっかり「Part 1」と付いています。


ただ。


女性が主演のアクション映画、おまけに新人ということで、資金調達にかなり苦労したそう。そのため、CGで処理したいけどできない、回想シーンを入れたいけどできないが重なり、ストーリーの多くをセリフで説明することになったのだそうです。


「パラサイト 半地下の家族」のチェ・ウシクも、貴公子チックな役で魅せてくれますよ。


これは「Part 2」が待ち遠しい!


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映画情報「The Witch 魔女」125分(2018年)

監督:パク・フンジョン

脚本:パク・フンジョン

出演:キム・ダミ、チェ・ミンス、パク・ヒスン、チェ・ウシク

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