最近では、すっかり肯定的な評価を受けるようになった「オタク」。
韓国でも日本語をそのまま使って「오타쿠(オタク)」と呼ばれていましたが、一昔前は日本と同じようにイケテナイ感じだったように思います。
それが、いまでは立派な趣味(?)へと昇格していますよね。
言葉自体も変化して、「오타쿠(オタク)」の「타쿠(タク)」を変形させた「덕후(トク)」という言葉が生まれ、「덕(トク)」だけで「オタク」を意味するようになったそう。
これに、「~すること」という語尾「질(ジル)」をくっつけた「덕질(トクチル)」は、日本でいう「オタ活」みたいなものでしょうか。
仕事中毒と呼ばれ、パーフェクトな仕事ぶりが評価されている、美術館のキュレーター、ソン・ドクミには、秘密の「덕질(トクチル)」があって……という、ラブコメが「彼女の私生活」です。
「キム秘書はいったい、なぜ?」のパク・ミニョンが、今作でもラブリーな姿を見せてくれています。
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ドラマ「彼女の私生活」
Netflix配信
https://www.netflix.com/title/81205812
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美術館の主席学芸員として働くソン・ドクミ。仕事中毒と言われるほど仕事熱心だが、プライベートでは熱狂的なアイドルオタク。仕事を終えるとカメラを片手にオタク活動に励んでいた。ある日、上司のオム・ソヘ館長の裏金問題が発覚し、美術館に新しい館長が就任することが決まる。それは海外の競売場で最悪の出会い方をしたライアン・ゴールドだった。
韓国で放送されたtvNのホームページには、
「現代のオタクは、能力者と同義語」
という言葉が載っています。ドクミがまさに!で、有能なキュレーターですが、元画家としてのセンス、編集力、カメラテクニック、調査能力といった能力を発揮するのはオタ活なんです。
宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』を読んだ時、「推しがしんどい」という言葉の意味がやっと理解できたのですけど。
「彼女の私生活」では、「推しが尊い」という言葉を実感することになりました。
いやー、マジで尊いな。推しもだけど、推しのためにすべてを捧げるトクチルたちも。
そんな超能力者みたいなパク・ミニョン演じるドクミ。そしてドクミが恋に落ちるライアン・ゴールド館長を演じるのは、キム・ジェウク。「君を守る恋 〜Who Are You〜」以来、6年ぶりのtvNドラマへの出演です。
とにかくラブリーで絵になるふたりのラブラインと共に、サブストーリーとして描かれているのが、母たちの物語です。
「成均館スキャンダル」でもパク・ミニョンの母を演じた、キム・ミギョン。
ドクミ家で、きょうだいのように育ったウンギの母を演じた、パク・ミョンシン。
ドクミの推し活対象であるアイドル・シアンの母を演じた、イ・イルファ。
ドクミの上司であり、後輩の母を演じた、キム・ソニョン。
子どもを支配する母、捨てた母、未婚の母、他人の子も自分の子も、みんなまとめて育てた母。
それぞれの“母”という生き方が描かれる中、キョーレツに感じるのが「父の不在」です。
ドクミの父はいるんですけど、ベランダで石を磨いているだけ。ちゃんとした台詞をしゃべるのは2回くらいしかありません。笑
男性の存在感が薄い分、女性たちの痛みに満ちた人生にはホロリとさせられます。
女性の選択肢が増えたといえるいま、なぜパク・ミニョンのドラマは結婚がゴールになるのかしらと思わざるを得ない。「キム秘書はいったい、なぜ?」のラストは美しすぎる挙式シーンで、これはこれでよかったけど。
まぁ、これだけ「愛してるわ~」光線の出せるパク・ミニョンという俳優には、コロリといってしまいますよね。でも、わたしとしては、ポケットに手を突っ込んだままキスする男は好きになれないんだな……。
とはいえ、オタ活に励んでいる方、推しがいるという方は、ドンピシャだと思います。
推しが好きな絵のオークションで邪魔され、推しの写真を撮ろうとして邪魔され、という出会いのシーンが最高に笑えました。
ドラマ「彼女の私生活」tvN 全16話(2019年)
監督:ホン・ジョンチャン、チャン・ヤンホ
脚本:キム・ヘヨン
出演:(パク・ミニョン、キム・ジェウク、アン・ボヒョン、チョン・ジェウォン、キム・ボラ、パク・ジンジュ、キム・ミギョン、キム・ソニョン
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