スキップしてメイン コンテンツに移動

『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』#990


「メモ書き」によって思考と感情の言語化をトレーニングする。それが、赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考』です。

やり方は超シンプル。

裏紙など、A4の紙にテーマと日付を書き、頭に浮かんだことをそのままガンガン書いていくだけです。

ただし。

制限時間は1テーマ1分。

これが激しく筋トレになるのです。

☆☆☆☆☆

『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』

(画像リンクです)

☆☆☆☆☆

20世紀に最も影響を与えたビジネス書の1位になった本といえば、『7つの習慣』です。タイトルどおり、7つの習慣について書いた本で、これを実践すれば人生を効果的にできるというもの。


7つの習慣のうち、「第1の習慣」と呼ばれているのが「主体的であること」です。 自分で考え、選択する。特に、感情的に反応するのではなく、わたしたちは反応を選ぶことができるという考え方に、わたしはとても引かれました。

とはいえ、日常というのはさまざまなストレスに満ちています。

抑え込んだ感情がグルグルと頭の中を駆け回り、何日経ってもトゲのように残っていることも。

また、完全にキャパオーバーでやらなければならないことがあるのに、なにから手を付ければいいのか分からなくなってしまうこともあります。

そんな時こそ、『ゼロ秒思考』の「メモ書き」が役に立ちます。

特に、時間制限があるために、瞬発力がつく感じがとてもありました。

A4の紙1枚に1テーマ、4~6つくらいの箇条書きにして書いていきますが、頭の中から出てきたメモの内容を、次のテーマにして深掘りしたり、ヨコ展開したりすることはOKです。

6年くらい前に初めてこの本を読み、しばらく「メモ書き」をやっていました。

最初はそんなにサクサク書けないし、出てくる言葉といえば愚痴と不満と不安と不平と泣き言ばかりでした……。

でも、2週間くらい書き続けていると、ようやく「不」のつく感情が空っぽになったようで、テーマに対して前向きな言葉が出てくるようになったんです。

たぶんこのとき、「主体的であること」の習慣ってこういうことかと感じたんですよね、たしか。

いまではだいたい自分でテーマを決めていますが、本には各シチュエーション毎にテーマが載っているので、それを参考にすることも。

テーマの例:
<上司に腹が立った時、心を落ち着ける>
・ああいう言い方をして、課長はどう思ったのか?
・自分が課長だったらどういう言い方をしたか?

<自分で決めたら挫折せず実行する>
・そもそも挫折とはなんなのか?
・今までで最大の挫折は何か? それで人生がどう変わったのか?


副題にあるように「頭がよくなる」かどうかは分かんないですが、少なくとも気持ちがスッキリするのはたしかです。

気持ちを整理することで、仕事への集中力も、タスク管理も、コミュニケーションの工夫もできるようになっていく……とのこと。

赤羽雄二さんは、東京大学工学部卒業、スタンフォード大学大学院で修士課程を修め、マッキンゼーに入社。企業の経営改革などに取り組んできたという、なんだかスペシャルに強そうなプロフィールですよね。

でも、Clubhouseの「メモ書き」ルームでお話される姿は、気のいいおっちゃん感があります(ほめてます)。

ただいま絶賛、年度末祭りを開催中という方も多いと思います。そんな時こそ、ぜひ「メモ書き」で、頭と心の棚卸しを。朝やるのがおすすめです。

コメント

このブログの人気の投稿

映画「新しき世界」#293

「アメリカに“ハリウッド”があるように、韓国には“忠武路”という町があります」 第92回アカデミー賞で 「パラサイト 半地下の家族」 が脚本賞を受賞した時、ポン・ジュノ監督と共同で脚本にあたったハン・ジュヌォンは、そう挨拶していました。「この栄光を“忠武路”(チュンムノ)の仲間たちと分かち合いたい」。泣けるなー! ハン・ジュヌォンのスピーチ(1:50くらいから) アメリカにハリウッドがあるように、韓国には忠武路というところがあります。わたしはこの栄光を忠武路の仲間たちと分かち合いたいと思います。ありがとう! #アカデミー賞 https://t.co/LLK7rUPTDI — mame3@韓国映画ファン (@yymame33) February 10, 2020 1955年に「大韓劇場」という大規模映画館ができたことをきっかけに、映画会社が多く集まり、“忠武路”(チュンムノ)は映画の町と呼ばれるようになりました。 一夜にしてスターに躍り出る人や、その浮き沈みも見つめてきた町です。 リュ・スンワン監督×ファン・ジョンミンの映画「生き残るための3つの取引」での脚本が評価されたパク・フンジョン。韓国最大の映画の祭典で、最も権威のある映画賞である「青龍映画賞」で、彼自身は脚本賞を受賞。映画も作品賞を受賞し、一躍“忠武路”の注目を浴びることに。 そうして、自らメガホンを取った作品が「新しき世界」です。 ☆☆☆☆☆ 映画「新しき世界」 Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 韓国最大の犯罪組織のトップが事故死し、跡目争いに突入。組織のナンバー2であるチョン・チョンは、部下のジャソンに全幅の信頼を寄せていますが、彼は組織に潜入した警察官でした。この機会にスパイ生活を止めたいと願い出ますが、上司のカン課長の返事はNO。組織壊滅を狙った「新世界」作戦を命じられ……。 あらすじを読んでお分かりのように、思いっきり「ゴッドファーザー」と「インファナル・アフェア」のミックスジュース特盛り「仁義なき戦い」スパイス風味入りです。 無節操といえばそうですけれど、名作のオマージュはヘタをすると二番煎じの域を出なくなっちゃうと思うんです。よいところが薄まっちゃうというか。人気作の続編が、「あれれ?」となるのもそうですよね。ですが。 名作と名作を合わせたら、一大名作が...

『JAGAE 織田信長伝奇行』#725

歴史に「if」はないというけれど。 現代にまで伝わっている逸話と逸話の間を、想像の力で埋めるのは、歴史小説の醍醐味かもしれません。 『陰陽師』 の夢枕獏さんの新刊『JAGAE 織田信長伝奇行』は、主人公が織田信長です。 旧臣が残した『信長公記』や、宣教師の書いた『日本史』などから、人間・信長の姿を形にした小説。もちろん、闇が闇としてあった時代の“妖しいもの”も登場。夢枕版信長という人物の求心力に、虜になりました。 ☆☆☆☆☆ 『JAGAE 織田信長伝奇行』 https://amzn.to/2SNz4ZI ☆☆☆☆☆ 信長といえば、気性が荒く、残忍で、情け容赦ないイメージがありました。眞邊明人さんの『もしも徳川家康が総理大臣になったら』には、経済産業大臣として織田信長が登場します。首相である家康を牽制しつつ、イノベーターらしい発想で万博を企画したりなんかしていました。 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』#687   『JAGAE』は、信長が14歳の少年時代から始まります。不思議な術をつかう男・飛び加藤との出会いのシーンが、また鮮烈なんです。人質としてやって来た徳川家康をイジる様子、子分となった秀吉との出会いなどなど。 信長のもとに常に漂う、血の臭い……。 これに引きつけられるのは、蚊だけではないのかも。 おもしろいのは、一度も合戦シーンが出てこないことです。信長のとった戦術・戦略は、実は極めてオーソドックスなものだったそう。そこで戦よりも、合理主義者としての人物像を描いているのではないか、と思います。 小説の基になっている『信長公記』は、旧臣の太田牛一が書いた信長の一代記です。相撲大会を好んで開催していたことなどが残っているそうで、史料としての信頼も高いと評価されているもの。 そんな逸話の間を想像で埋めていくのです。なんといっても、夢枕獏さんの小説だから。闇が闇としてあった時代の“妖しいもの”が楽しみなんです。 タイトルになっている「JAGAE」とは、「蛇替え」と書き、池の水をかき出して蛇を捕えることを指しています。 なんだかテレビ番組になりそうな話なんですけど、実際に領民が「大蛇を見た~」と騒いでいたことを耳にした信長が、当の池に出張っていって捜索したという記録が残っているのです。 民衆を安心させるための行動ともいえますが、それよりも「未知なるもの」への...

『コロナ時代の選挙漫遊記』#839

学生時代、選挙カーに乗っていました。 もちろん、なにかの「候補者」として立候補したわけではありません。「ウグイス嬢」のアルバイトをしていたんです。候補者による街頭演説は、午前8時から午後8時までと決まっているため、選挙事務所から離れた地域で演説をスタートする日は、朝の6時くらいに出発することもあり、なかなかのハードワークでした。 選挙の現場なんて、見るのも初めて。派遣される党によって、お弁当の“豪華さ”が違うんだなーとか、候補者の年齢によって休憩時間が違うんだなーとか、分かりやすい部分で差を感じていました。 それでも、情勢のニュースが出た翌日なんかは事務所の中がピリピリしていることもあり、真剣勝負の怖さを感じたものでした。 「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちれば“ただの人”だ」とは、大野伴睦の言葉だそうですが、誰だって“ただの人”にはなりたくないですもんね……。 そんな代議士を選ぶ第49回衆議院議員総選挙の投票日が、今週末10月31日に迫っています。   与党で過半数を獲得できるのかが注目されていますが、わたしが毎回気になっているのは投票率です。今回は、どれくらい“上がる”のかを、いつも期待して見ているのですが、なかなか爆上がりはしませんね……。 ちなみに、2017年10月に行われた第48回衆議院議員総選挙の投票率は、53.68%でした。 『コロナ時代の選挙漫遊記』の著者であり、フリーライターの畠山理仁さんは、選挙に行かないことに対して、こう語っています。 “選挙に行かないことは、決して格好いいことではない。” 全国15の選挙を取材したルポルタージュ『コロナ時代の選挙漫遊記』を読むと、なるほど、こんなエキサイティングな「大会」に積極的に参加しないのはもったいないことがよく分かります。 ☆☆☆☆☆ 『コロナ時代の選挙漫遊記』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 昨年行われた東京都知事選で、「スーパークレイジー君」という党があったのをご存じでしょうか? またオモシロ系が出てきたのかしら……と、スルーしてしまったのですけれど、本を読んで、とても真剣に勝負していたことを知りました。300万円もの供託金を払ってまで挑戦するんですもん。そりゃそうですよね。 この方の演説を、生で見てみたかった。もったいないことをしてしまった。 こんな風に後悔しないで済むように、畠...