とある小説を読んでいて気が付きました。
(最近の小説の登場人物って、画数多いな……)
いわゆる「キラキラネーム」な新人も入社してきた時代。一瞬で覚えられるけど、一度に変換できない、検索できないという問題もあるなーと感じていました。
いろんな想いを込めて名付けていたはずが、なぜ「キラキラネーム」は増えていったのか。元奈良新聞の記者である伊東ひとみさんの『キラキラネームの大研究』は、日本人の名前の歴史を紐解いた本です。
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『キラキラネームの大研究』
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SF小説家の新井素子のエッセイに、登場人物の名前に関する裏話があります。
素子さんの初期の小説には「一郎」や「太一郎さん」といったシンプルな名前のキャラクターが多いのですが、理由は「手書きだと画数の多い名前は大変だから」。主要なキャラクターは登場回数だって多い。出てくるたびに「権左衛門」とか「熊五郎」とか画数の多い名前は、書いていられない……。だから、書きやすい名前を付けていたのだそう。
手書き時代の作家さんあるあるなのかもしれませんね。
最近の小説で画数の多い名前が増えたのは、パソコンで書く人が増えたからなのかも。単語登録しちゃえば変換も楽ですし。
たぶん画数が多いキャラクターばかり登場する物語といえば、『鬼滅の刃』だと思います。
「鬼滅」はタイトルからして画数が多い。そして「当て字」な読み方をするキャラクターもたくさん出てきます。
舞台が大正時代だから……と思っていましたが。
『キラキラネームの大研究』によると、日本人の名前で「無理読み」をしているのは、はるかむかし、平安時代からあったそうです。
この、「画数」がポイントらしく、画数はチェックするけど、漢字の元々の意味を調べずに使う親が多いとのこと。これまではあまり名前に使われなかった漢字が増えている理由は、こういうところにあったのだとか。
たしかに、漢字としての意味よりも、音の響きが優先されている印象はありますよね。
これも漢字なの!?と思うような不思議な字から、西洋風の名前の当て字など、バリエーションはいろいろ。
子どものための、願いであり、祈りであり、最初のプレゼントである「名前」ではあるけれど。いまみたいにテキストコミュニケーションが多くなってしまうと、難しい読みの名前は不利になってしまわないだろうかと、よけいなお世話な心配もしてしまう。
ちなみに。
わたしも変わった名前ではありますが、これは叔母が付けてくれたものでした。「二番目の女の子」として生まれたわたし。用意した名前は縁起が良くないと言われて以降、名前も付けられずに放っておかれ、たんに「あかちゃん」と呼ばれていたそうです。
そろそろ出生届を出さないと!という時期になって、不憫に思った叔母が付けてくれたと聞きました。ちょうど読んでいた小説の登場人物からもらったそうです。
その小説のタイトルが分からない……のが、とても残念。
「名前の由来を調べてください」というワークショップには、ほんのり寂しい思いをしました。
漢字源的な要素もたっぷりな『キラキラネームの大研究』。どうか、誰かの名前を「珍奇」とは呼ばない世界になりますように。
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