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『パパ活の社会学 援助交際、愛人契約と何が違う?』#703


バブルが崩壊した20世紀の終わりごろ、世の中はコギャルブームでした。このとき、女の子たちは、自分たちの若さと性が「お金」になることを知ったといえるかもしれません。

援助交際や、下着を売るといった行為は、社会問題にもなりました。でも、一度こうした形でお金を稼ぐ“手段”を知ってしまうと、容易に後戻りができなくなってしまうのではないかしら。

年上の男性とデートをして、見返りに金銭的な援助を受ける「パパ活」。その世界を紹介した、坂爪真吾さんの『パパ活の社会学 援助交際、愛人契約と何が違う?』は、ちょっと目をパチクリさせながら読みました。

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林真理子さんに『花探し』という小説があります。主人公は、プロの愛人。パトロンが経済的に厳しくなると、次の「男」へと譲られる。彼女のプロっぷりがみどころなのですが、「パパ活」は、もっと素人っぽいというか、お手軽というか。とはいえ、地方から上京した大学生の場合は、切実にお金の問題もあるようです。

「パパ活」を受ける側は「身体が目当て」だと思っていましたが、そうではない人もいます。口だけかもしれないけど……。

一方の「パパ活」をする側に結婚願望がある場合、今後、苦労しそうだなと感じます。話題、経験、連れて行ってもらうお店やメニューなど、相手の年齢が上で経済力がある分、いろんな“水準”が上がってしまうので、目が肥えてしまうのでしょうね。

では、「パパ活」で恋に落ちることはあるのか。はたまた友情が芽生えることはあるのか。

見極めるポイントになりそうな例がありました。

男性から「たまには君がおごってよ」と言われた方のお話です。その人と会うことはイヤではないし、お金が欲しいから会うわけでもない。いろいろ迷って得た結論は。

“自分がお金を払って、自分の時間を使ってまで会いたいかというと、そこまでではない……”

この方の結論は、他のことにもあてはめられそうです。

現在は難しいけれど、かつては職場の飲み会や、上司に誘われて行く飲みニケーションが活発に行われていました。このとき、飲み代はもちろん、自分の時間も差し出すことになりますよね。

年上世代は、若手世代が「自分がお金を払って、自分の時間を使ってまで」飲みに行きたいと思っているのかどうか。そしてお互いに、その時間を有意義なものにしようと努力しているかどうか。想像してみる必要がありそう。

女性へのインタビューはもちろん、男性へのインタビューも掲載されています。ちょっと意外と、ちょっと納得があって、それぞれの言い分を読みながら、グロテスクな知恵がグロテスクに活きている世界があることを知りました。

パパからもらうお小遣いで生計を立てていた方たちは、気軽に人と会えないいま、どうしているのか。ちょっと気になります。

『花探し』のラストが、ちょっとオーバーラップしちゃった。



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