韓国ドラマを観ていて一番感じるのは、「家」の中における女性の立場の弱さです。自分が女性な分、女性の登場人物に感情移入してしまうからでしょうか。
なぜ、そこまで耐えないといけないの!?
そう感じることもしばしば。ダンナを尻に敷いているようでいて、嫁としての役割はきっちり果たすこともあれば、まるで家の奴隷のようなことも。日本とは違う次元の「嫁姑戦争」も多く、文化の違いを感じさせます。
そんなドラマに描かれる“女性”に注目して、解説した本が、山下英愛さんの『女たちの韓流――韓国ドラマを読み解く』です。
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『女たちの韓流――韓国ドラマを読み解く』
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山下さんの専門は、韓国女性学。2013年と、ちょうどパク・クネ大統領が就任したばかりの頃に発刊された本です。
パク・クネ大統領は、東アジア初、韓国史上初の女性大統領に就任したわけですが、ドラマでは、この3年前の2010年に放送された「レディプレジデント」で、コ・ヒョンジンが初の女性大統領役を演じています。
(画像はAmazonより)
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ドラマ「レディプレジデント」
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本では、ドラマと現実の選挙戦が比較されています。現実の方では、男性議員による的外れなジェンダー批判がされ、感情的な争いも起きていたそう。ドラマはそこまでの闘いはなく、クォン・サンウの献身的な愛に打たれる展開です。
紹介が1990年代後半のドラマから始まっているので、知らないものがたくさんありました。これをひとつずつ観るには、レンタルDVDしかないかもしれないですね……。
韓国で「メロドラマの巨匠」と呼ばれるキム・スヒョン脚本家の「青春の罠」は、1978年に放送された当時、放送倫理委員会の基準に抵触し、放映を打ち切られてしまったのだそう。
軍事政権下では、三角関係・未婚の母・夫の浮気はNGだったから!!!
いま、そんな基準を適用しちゃうと、半分くらい消えちゃうんじゃないでしょうかね。
“マクチャンドラマ”と呼ばれた、非現実的なほどあり得ない展開が次々に起こるむかしのドラマは、それはそれでおもしろかったです。でも、古い作品に描かれた女性たちの窮屈さを思うと、いまのドラマは格段に自由にモノが言えるようになった感があります。仕事を持ち、夢を見ることも、意思を表明することもできる。
大きな変化は、結婚=ゴールじゃなくなったこと。
「愛の不時着」にハマったという方は、ぜひ『女たちの韓流』を読んでみてください。主人公・セリの特異さを再確認できちゃいます。
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