孫正義著『お金持ちに見られないための10の鉄則 ―なぜしょぼい感じなのか?』
こんなタイトルの本があったら、思わず買ってしまう……かもしれない。いや、わざわざ“しょぼく”見せるほど、お金持ちでもないしなーと思ってしまうかな。
でも、この本は本当に刊行されるものではありません。編集者の石黒謙吾さんが、“お遊び”がてら考えた「エア新書」のタイトルなんです。
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『エア新書―発想力と企画力が身につく“爆笑脳トレ”』
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「新書」というサイズの本の出版は、1938年に岩波書店から始まったのだそうです。古典の岩波文庫に対して、書き下ろしの教養系をテーマとしていました。
その後、1961年に中公新書が、1964年に講談社現代新書が創刊され、「新書御三家」と呼ばれるように。
1998年に「文春新書」、1999年に「集英社新書」、そして2003年に「新潮新書」などが創刊され、内容もアカデミックなものからライトなものへと変化してきたそう。
“ライト”といえば、まだ聞こえはいいけど、正直に言って(うーん……)となるものもある気がしますがね。
わたしは新書が好きで、よく手に取る方だと思います。新聞の調査報道のような読み応えのあるものもありますし、興味のある分野の入り口にもいい。
で、思うこと。
新書のタイトルって、とても特徴的……。
「一瞬、なに言ってるか分からない」とか、「意外なものを組み合わせている」とか。
石黒さんは、タイトルの方向性について、エポックメイキングとなった本が、公認会計士である山田真哉さんの『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』だと指摘されています。
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山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』
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この本がヒットした後、「○○はなぜ○○なのか?」が類型化し、「○○の品格」と「○○の壁」といったパターンも爆増。
『エア新書』は、こうした「今風の新書っぽいタイトル」をパターン化し、架空の新書タイトルを考えてみよう、という本なんです。
人物 × タイトル × サブタイトル × 帯
考えるのはこの4つ。タイトルに“爆笑脳トレ”とあるように、本に収録されているフォーマットやチャートを参考にして、実際に作ってみるのも楽しい。
石黒さんが考えた100のタイトルをながめて、ニヤつくのもよし。冒頭でご紹介した孫社長の他にも、たとえば、こんなのがあります。
この本を基に、会社の研修でも「エア新書」のタイトル作りをやってみたことがあります。優秀賞には賞品をだすよーと言って、競ってもらったことも。
第1回目の優勝作品は、これ。
この頃、ある人気俳優に熱愛が発覚して大騒ぎに。お相手は某IT企業の社長ということで、このタイトルは男性陣の希望も反映されているよね……と大受けでした。
これまでに200冊以上の本を編集してこられた、石黒さんならではのアイディア本。2009年と、ちょっと時間の経った本な分、懐かしい!と思える名前も載っています。
ニヤッとさせるアイディアの基本って、観察なのだなと思います。
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