なんだか“穴掘り”コメディが続いちゃったな。
ふと、そんな気がしてしまった映画「パイプライン」。送油管に穴を開けて盗んだ石油を転売するという、発想がキテレツなストーリーで、ドタバタ感もたっぷり。ひたすら楽しい映画です。
最高の穿孔技術を持っているピンドリ役をソ・イングクが演じています。「君に泳げ!」以来8年ぶりの映画で、2作目の主演。
ドラマ「応答せよ1997」や「元カレは天才詐欺師」でみせた、ワルかわいさ全開で、ソ・イングクのよさ全部のせ!なストーリーでした。
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映画「パイプライン」
公式サイト:https://klockworx-asia.com/pipeline/
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盗油業界最高の穿孔技術者として知られるピンドリは、大企業の後継者ゴヌが立案した、数千億ウォンの石油を盗む計画に参加することに。プロ溶接工のチョプセ、地中を透視できるかのように把握しているナ課長、怪力の掘削人ビッグショベル、彼らを監視するカウンターと、人生の大逆転を夢見るメンバーが作戦に加わり、互いに騙し騙されながら計画を進めていくが、やがて事態は予想外の方向にこじれ始めていき……。
送油管に穴を開けて石油を盗み出す「盗油」。日本では聞いたことのない犯罪なので、映画のための設定なのかと思ったら、韓国では年間10件ほど起きていたんだそう。2020年にはたった1件に減ったぜ!わーい!という記事がありました。
「盗油」って、たしかにライフラインへの打撃は大きいけど、大胆だけど地味な犯罪ですよね。おまけに、“穴掘り”映画って、ほとんどの場面が地下になってしまうんです。
その単調になりそうな展開を、裏切り行為とだまし合い、ワケアリメンバーの事情で盛り上げるので、飽きさせない。下手すると「ありきたり」になりそうな素材をうまく組み立て、ド派手にドッカーンが楽しめます。
ユ・ハ監督は、この映画を「負け犬のアクション・カーニバル」と語っていて、なるほど、まさに!でした。
盗賊一味のリーダーであるピンドリを演じたソ・イングクは、筋肉美を披露しつつ、泥まみれの焦燥感漂う風貌。
(画像はKMDbより)
インタビューで、「着飾るけどヒゲのそり残しがあるとか、もし気づいてもらえたらありがたい」と語っていたので、めっちゃ注目しました。「おお、これか!?」が分かったときはうれしかった……。
推理力はあるのに、肝心なところでピントがずれてる警察官役のペ・ユラムや、偽ピンドルとしてコンプレックスを抱えながらチームに合流した溶接工役のウム・ムンソクら、助演メンバーがコミカルなシーンをもり立ててくれます。
もうひとつの“穴掘り”コメディ「コレクターズ ソウルに眠る宝刀を盗み出せ」は、悪を持って悪を制すリベンジが楽しめました。
「パイプライン」の方はというと、どれだけ派手にぶちかましてくれるのかがポイント。人生の一発逆転を狙う登場人物たち。
憎めないんですよ、素直なおバカさんたちで。
映画「パイプライン」108分(2021年)
監督:ユ・ハ
脚本:ユ・ハ、キム・ギョンチャン
出演:ソ・イングク、イ・スヒョク、ウム・ムンソク、ユ・スンモク、テ・ハンホ、ペ・ダビン
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