外国の映画や小説をみていて、「なぜこのタイトルなんだろう?」と思うこと、ありませんか?
たとえばジェフリー・アーチャーの小説『誇りと復讐』は、貧しい生まれの主人公が上流階級の人物になりすまし、復讐を遂げる物語です。
この本を読んだ時、「誇りというより、“生まれ”はいかに人生を縛ってしまうのかの話だなー。出自の奴隷って感じ?」と思って原題を見たら「A Prisoner of Birth」でした。笑
もちろん、原題通りにしたら日本では訳が分からん!ということにもなりかねません。この塩梅は、出版社も映画配給会社も難しいでしょうね。
タイトルなんでやねん!問題。ドラマなら、街角のクリエイティブのライター・加藤広大さん(@SMI2LE)に教えてもらった「元カレは天才詐欺師♡~38師機動隊~」が意味不明でした。
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ドラマ「元カレは天才詐欺師♡~38師機動隊~」
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とある地方都市の税金徴収課に勤める、うだつの上がらない課長を演じるのは、マ・ドンソク。ブリブリの筋肉と強面を生かした武闘派のイメージがありますが、このドラマでは妻の尻にしかれつつ、ほどほどに仕事して年金をもらう年まで耐えよう、という男です。
この都市は市長と癒着している大金持ちがいて、彼らは税金を滞納しているんです。逆に、取り立てにきた市庁の職員に収賄の疑いをかけて追い詰めちゃう。
そこで詐欺師の力を借りてでも税金を取り立てるぜ…というドラマです。
あらすじを見てお分かりのように、“元カレ”は全然関係ない! タイトルにハートマークまで付いてるのに! マ・ドンソクと組むことになる詐欺師(ソ・イングク)と、部下の職員(スヨン)が元恋人同士なんですが、本筋にはあんまり関連がなく……。
原題は、日本語タイトルの副題になっている「38師機動隊」です。まー、これだとなんのドラマなのか分からないですね。
税金を取り立てるため、かなり作りこんだガチのコンゲームが繰り広げられます。詐欺師がいかに人の心をつかむのかはもちろん、政治家と企業との癒着や、正社員と契約社員との格差など、社会問題を感じさせるシーンも。
現在、Amazonプライムで配信されています。
韓国ドラマの脚本の特徴は、早い段階で「犯人を知らせる」ことだそうです。主人公に甘い言葉をささやいて近寄ってくる男が悪いヤツだと、視聴者は知っている。そこで、
「あかんて! 信じたらあかん! アホやなあんた~」
と、ハラハラさせることで共感を誘うのだそうです。
それでいくと「元カレは天才詐欺師♡」は、詐欺師であるソ・イングクが悪いヤツとみんな知っている。マ・ドンソクは彼に利用されている。
でも。
何十億もの税金を滞納している金持ちのおっさんは被害者といえるのか?
という逆転現象が起きるんですよね。みんながそれぞれにウソをついて真実を隠しているので、どんでん返しはあるのか、真実はどこにあるのか、思わず引き込まれてしまいました。
全16話の韓国ドラマ。週末にいかがですか?
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