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ルールを決めて、“考える”に時間を振り分ける 『記者ハンドブック』 #486


「鶏は三歩歩くと忘れる」は、本当にそうなのでしょうか?

出典を調べても、『広辞苑』や明鏡の『ことわざ成句使い方辞典』には掲載されていません。どうやらマンガから広まった言葉のようですが、真偽のほどは分からずじまいでした。

でも、「わたしは三歩歩くと忘れる」は本当だと思う。悲しいくらいに事実だなーと思う。

先週の「#1000日チャレンジ」は辞書をいろいろ紹介していて、最後は絶対これにしよう!と思っていたのに、一冊忘れていた……。

校正の仕事でも、ライティングの仕事でも、たぶん『広辞苑』より使っています。共同通信社が出している『記者ハンドブック』。一般に「記者ハン」と呼ばれている用語集です。

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『記者ハンドブック』
https://amzn.to/3cXo8Qf

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いまほどインターネットが普及する前は、世の中で一番文章を書く仕事といえば「日刊紙の記者」と言われていました。毎日締め切りがあるわけですから、自然とそうなりますよね。なので、記事の書き方や記号のルールなどは、新聞社が出しているハンドブックを参考にするのが一番手っ取り早いのです。

わたしはずっと共同通信社のものを使っていますが、朝日新聞や読売新聞からも出ています。

漢字か、ひらがなか。「づ」と「ず」の使い分け。「超える」と「越える」の見分け方といった辞書的部分と、算用数字を使う場面と漢数字を使う場面、外来語で「・」が必要な場合といった、文章を書く時の基本的なルールが掲載されています。

中でも重宝しているのが、「差別語、不快用語」のページ。ここは、辞書部分とは別に、新人ライターには必ず一度目を通すようにしてもらっています。

そんなわけで、会社で新しいメディアを起ち上げた時には、「記事執筆のルールは『記者ハンドブック』をベースに」と決めてもらいました。

ルールを決めることで、ムダに「考える」を減らすのが目的です。

「 」か『 』かなんてことに迷うより、「記者ハン」にあるからこう!と決めてしまう方がラクなんです。そんなことに時間を使うより、もっと内容に神経を注いだ方がいいので。

そんな超超超超超おすすめな用語集なのですが、なぜか買った後ロッカーにしまう人が多い……。

辞書は手の届く位置に置きましょう。面倒でも、一度引いてみましょう。新しい発見、もしくは、安心安全がありますよ。

パソコンやスマホで文章を書くなら、難しい漢字を書ける必要はないと、鶏アタマのわたしは思います。たくさんあるルールだって、覚えていなくていい。

辞書を引けばいいんだから。

文章を書く時、助けになってくれる辞書シリーズ。以下にまとめありますので、ぜひ参考にしてください。







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