「校正・校閲」は、「間違い探し」と思っている方が多いようで、とても残念に感じています。「間違い探し」ゲームのようなものなら、どれだけ気楽なことか!
わたしが校正を教わった師匠は、「情報を正しくすること」と説明していました。資料をあたったり、日付と曜日を確認したりといった「情報」を確認し、「正しく」整えること。
その中にはもちろん、日本語の文法に合っているかどうかも含まれます。ただ、根拠のない指摘はできないんです。「なんとなく、感覚的に」とか、「わたしならこうは書かない」と思うことがあっても、根拠がなければ単なる揚げ足取りに思われてしまうから。
今の会社でわたしが校正を担当しているのは、主に企業のリリースとweb記事です。以前はインターンの学生に書いてもらった記事も読んでいたのですが、その時いちばん感じたことは。
「日本語の文法を知らない人が多すぎる!!!」
でした。
主語と述語が合わない、いわゆる「ねじれ文」を見たとき。「名詞がね~」や「受け身はね……」なんて説明をしても、「受け身ってなんですか?」から話が始まるのです。道は遠い……。というわけで、自分の勉強のために買った日本語の辞書が『助詞・助動詞の辞典』と『動詞・形容詞・副詞の事典』です。
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『助詞・助動詞の辞典』
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『動詞・形容詞・副詞の事典』
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(なんかビックリする値段になってるからご注意を……。定価は2800円です)
この本、どちらも早稲田大学日本語研究教育センター所長の森田良行さんがまとめたものなのですが、「辞典」と「事典」なことにお気づきでしょうか。
『助詞・助動詞の辞典』の方は、「は」と「が」の違いといった解説を載せたもの。
一方の『動詞・形容詞・副詞の事典』はというと、各品詞ごとに文型や用法、類義語を集めた事例の本だからです。
特に重宝しているのは、『助詞・助動詞の辞典』にある「ので」と「から」の違いや、「に」と「へ」の違いです。ざっくり説明すると、こうなります。
「へ」:方向→ 駅へ行く(駅の方向に向かう)
一文字違うだけで、ニュアンスがちょっと違うんですよね。はぁ、日本語って奥深い。
日本語学者の方なら、古典の○○の頃には「を」で受けていたものが、明治時代に入って○○の小説あたりに……なんてことを研究されるのだと思います。
が、わたしは目の前の原稿が「整う」ことを目指しているので、仕事中はあまり歴史を気にしないことにしています。読んでいるとおもしろいですが。
誤字や文章のねじれが起きるのは、ほとんどの場合、「てにをは」です。助詞を使いこなせば、文章を書くときにもとてもラクになりますよ。
ところで。
「に」と「で」の違いって、説明できますか?
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