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類似点と相違点をクリアにするナビゲーター 『日本語の類義表現辞典』 #482


日本語教師をしている友人に、「一番教えにくい言葉ってなに?」と聞いたことがあります。「質問が大雑把すぎる」と文句を言われちゃったのですけれど。

漢字圏以外の学生が一番つまずくのはやっぱり「漢字」、それ以外で多いのは「助詞」とのことでした。

わたし“は”、mameです。
わたし“が”、mameです。

一文字違うだけで、ニュアンスが変わってしまうのが日本語。もし「わたし“が”」だけを覚えてしまったら、とても出しゃばりな人に見えてしまうかもしれませんね。

ふだん何気なく使っている言葉でも、あらためて考えてみると混乱してくるものもあります。

「水が飲みたい」か「水を飲みたい」か。

「食欲をそそられる」か「食欲をそそらせる」か。

そんな、辞書の用例だけではとらえられない、微妙な使い分けについて解説したのが『日本語の類義表現辞典』です。

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『日本語の類義表現辞典』
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著者の森田良行さんは、外国人留学生への日本語教育をされていた方で、『助詞・助動詞の辞典』の著者でもあります。


受け身・可能表現について確認したいことがあって『日本語の類義表現辞典』を買ったのですが、たぶんはるかにたくさん活用させてもらっているのは「語順の入れ替わる言い方」の章です。

① 母だけに相談する。
② 母にだけ相談する。

どちらも相談するのは「母」オンリー。お父さんも、お姉ちゃんも、おじいちゃんも、おばさんも、ない。意味としてはそうなんですけれど。

助詞の順番が違うだけなのにちょっとニュアンスが違いませんか?

「だけ」は限定を表す言葉ですが、①の場合、「お父さん、お姉ちゃん、おじいちゃん、おばさん、その他大勢」を無関係のものとして排除し、「母」だけを取り出して限定する言い方。

一方の②は、行為の対象や範囲を限定しているのだそうです。「相談する」という行為が、他のものには当てはまらないけれど、「母」にだけ成り立つということですね。

「どこを強調したいのか?」と考えると、分かりやすいのかもしれません。

「ありがとうございます」と「ありがとうございました」といった態度を表す表現、「現代に生きる」と「現代を生きる」といった時や場所を表す言い方など、よくある表現が解像度高く解説されています。

困ったときに引く辞典、というよりも、知りたい表現についてつまみ読みする辞典といえるかな。

類似点と相違点をクリアにしてくれる、ナビゲーターのような一冊。こうした表現の違いを意識できるようになると、もっと繊細な表現の可能性もみえてきますね。そして論理的に物事を把握できるようになるのかもしれません。


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