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『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』#681


企業の業績と、職場の空気には関連性がある。

北野唯我さんの著書『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』は、定量データから導かれた“キッパリ”とした結論が、刺激的な本でした。

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『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』
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「OPENNESS」とは、組織における「カナリア」と表現されています。危機に最初に反応する「炭鉱のカナリア」にたとえられているわけです。組織の「風通しの良さ」は、企業の採用や資本市場にダイレクトに影響を与えているというデータとのこと。

企業の口コミを集めたサイト「オープンワーク」のデータ、延べ840万人分を分析。従業員ロイヤルティ(職場に対する愛着・信頼の度合い)を数値化する指標「e-NPS」との関連性をみたところ、全11項目のうち、高かったのはこちらの項目です。

○職場の満足度に関係する項目
・風通しの良さ
・社員の士気
・人材の長期育成
・法令遵守意識
・待遇面の満足度

○平成30年間で時価総額を大きく伸ばした企業に関係する項目
・風通しの良さ
・20代の成長環境
・社員の士気

これは、企業の規模や設立年数には関係がなかったのだとか。

上場企業なら「財務データ」は公開されていますが、これまでブラックボックスになりがちだった「職場の空気」が数値化されたということは。

企業はステークホルダーに対しても、就職希望者に対しても、「嘘をつけない時代」なのだなと思います。

本では、採用におけるポイント、働きがいをつくるポイント、そして経営者(陣)が留意すべき点などが論じられています。

「風通しの良さ」や「社員の士気」といったソフト面は、やろうと思えばすぐにでも改善できることなのですが、一方で「人材の長期育成」は他社との比較が難しく、評価者(口コミを書いている人)の期待値と実際とのギャップが大きい項目でもあるんですよね。

“人材の長期育成は仮に会社が一生懸命投資したとしても、他社と比べて比較することが難しく、それゆえに「満足する基準がない」のだと思われる。”

学校じゃないんだから「育ててくれる」会社なんて、どこにも存在しない。会社ができるのは環境を準備するところまで。自ら学べ。以上!

という感じで、理想論に逃げず、キッパリと言い切るところが北野さんらしいです。

「長期」がどのくらいの期間を指しているのか分かりませんが、研修を担当する者としては、納得と残念のどちらの思いもありました。

どんなテーマを設定しても、必ずどこかから「自分には必要ないから」と言われてしまう。おまけに社長からは「嫌われ役をやってくれてありがとう」と言われてしまう。

研修の仕事は「変化のきっかけをつくる仕事」だと考えています。だから、嫌われること自体は怖くはない。うれしくもないけど。3年後、5年後に大きく活躍できる人が生まれればいいと割り切るしかありません。

そして30年後くらいに、「私の履歴書」で、こんなおもしろい研修のおかげで変われたって語ってくれたらうれしい。その時わたしはこの世にいないかもしれないけど、きっとあの世で涙を流す……。

話が逸れました。企業の採用担当者や、マネジャーには特におすすめしたい本です。「風通しの良さ」は「仲良しグループ化」を防ぐものでもあるという点で、石井遼介さんの『心理的安全性のつくりかた』と合わせて読むと、より理解が深まると思います。

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