「あの人はなぜ優れた業績を残せるのか? 残業もしていないのに……」
朝から晩までモーレツに働くことがよしとされていた時代は終わったと思っていました。なのに、新人の中には「長時間働いて、がんばってる自分をアピールしよう!」と考えている人もいます。評価基準について説明して、“がんばる”方向性をマネジャーとすりあわせてもらっても、そこから抜け出せない。
誰に教わったのや!?
『GREAT@WORK 効率を超える力』の著者モートン・ハンセンもそんな考えを持っていたそう。野心満々で入社した一流のコンサルティング・ファームで、でも打ちのめされることになるのです。
残業もしないナタリーが、自分より優れた仕事をしているのはなぜか?
一所懸命働く<<<賢く働く
発想を変え、会社を変えることを説いた本です。
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『GREAT@WORK 効率を超える力』
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数百の学術論文を精査し、5000人を対象に調査を実施。「賢く働く」ための7つのファクターを抽出するとともに、企業の業績に影響を与えない項目を明らかにしています。
「賢い働き方」をしている人は、どんな業種にも、どんなレイヤーにも存在します。この人たちは、優先すべきことを厳選して、そこに努力を注いでいるから優れた結果を残せるわけです。
賢く働くための「七つの習慣」とは。
① 優先すべきことをいくつかに厳選し、そうして選んだ分野に大きな努力を注ぐ(業務範囲の重点化)。
② あらかじめ定められたゴールに到達するだけでなく、新たな価値を生み出すことに重点を置く(仕事の再設計)。
③ 機械的な反復練習を避け、技能を伸ばす練習を行う(質の高い学習サイクル)。
④ 自分の情熱を強い目的意識と一致させられる役割を探し求める(内的動機づけ)。
⑤ 他者の支援を得るために心理戦術をうまく使う(しなやかな主張)。
⑥ 無駄な会議を減らし、参加する会議では白熱した議論が必ず起こるようにする(厳密だが、オープンなチームワーク)。
⑦ 部署横断プロジェクトに参加する場合は、どれに参加するかを注意深く選び、生産性の低いプロジェクトは、はっきりと断る(ほどよい協働)。
これらの項目の影響力は66%である一方で、学歴や在職期間、年齢、性別といった要素は5%程度しかないとのこと。「組織」というものを見直したくなる結果でした。
個人の成長を加速したいのなら、重要なのはアウトプットに対する分析です。フィードバックからわかった欠点を矯正することに注力する。このときも問題を小さく分けて、6つの戦術で対することを勧めています。
① 一日15分を作り出す
② 目標も小さく分ける
③ 「ソフトスキル」を磨く
④ 建設的な意見に着目する
⑤ 賢く失敗する
⑥ 「ぬるま湯」と闘う
仕事で「価値を生み出す」とはつまり、自分以外の他者にメリットを与えることだといえます。メリットに長時間労働が含まれていないのだから、労働時間なんてホントに意味がないんですよね。
昨年の新人くんの中に、「長時間労働で、がんばってるアピール」タイプのメンバーがいました。「モーレツな自分に酔っているみたいなんですが、どう説明すればいいのか……」とマネジャーに相談されたことがありました。
当の本人が本好きだったのでこの本を勧めたところ、少し周囲に頼るようになったそうです。賢く働く発想は、上からも下からも必要なのかもしれないですね。
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