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『平成ネット史 永遠のベータ版』#688


「平成」という時代を天気で表すと「どんより曇り空」な気がします。バブル崩壊と、2度の大震災によって、「失われた30年」とも呼ばれている時代。

評論家の宇野常寛さんによると、「インターネットだけが、平成を語れる」のだそう。NHK Eテレで2019年に放送された「平成ネット史(仮)」の中での発言です。このたび、番組の内容が『平成ネット史 永遠のベータ版』として書籍化されました。 

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『平成ネット史 永遠のベータ版』
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テレビ放送は見ていないのですが、番組タイトルにあった「(仮)」は、書籍化にあたって「永遠のベータ版」になりました。オタクやギークの遊び場だったインターネットは、一般大衆も触れることができるように。でも、永遠に「完成」することのない技術という意味が込められているのだそう。

いままさに、現在進行形で続いているインターネットの歴史。それを「自分たちで作り上げてきた」方たちが、番組の出演者でした。

○出演者

・堀江貴文
・落合陽一
・宇野常寛
・ヒャダイン
・眞鍋かをり
・森永真弓
・池田美優

この方以外にも、伝説のテキストサイト「侍魂」を運営していた健さん、「初音ミク」の生みの親・佐々木涉さんらのインタビューが掲載されています。

わたしがパソコンを手に入れたのは、たしか1998年くらいだったと思います。仕事でwindowsやmacを使うことはありましたが、「自分用」のパソコンが欲しくて、大枚をはたいて購入。ニフティに加入して、初めてネットに接続したときのことは、いまでも覚えています。

ピ~ヒョロロロロ~ピ~ ガションガションガション

なにが起こったのか分からず、爆発するかと思った!!

今思うと、画面に「なにか」が表示されるまで、呆れるほど時間がかかっていましたよね。そんな牧歌的な時代はあっという間に過ぎ去り、ADSL、フレッツ光と、契約とパソコンを乗り換えながら現在に至っています。

「集合知」としての機能が期待される一方で、中川淳一郎さんの『ウェブはバカと暇人のもの』にあるように、他人のことが気になって仕方がない人たちを生んだのも、インターネットといえるかもしれません。

宇野さんは、20世紀が「映像に映った他人の物語」に感情移入する時代だったとすると、ネットが生まれた瞬間に、「自分の物語を語る方が好き」だと気付いた人が多かったと指摘しています。そうやって、「他人の物語」から「自分の物語」へと移行したとしても、みんながみんなトップクリエイターやインフルエンサーのような発信ができるわけもなく、かえって残酷な真実が露わになったわけです。

“インターネットが誰もに発信の権利を与えても、「発信に値する中身」を持っている人って、ほんの一握りしかいないということ。”

中身のない人にできるのは、「コメントを書くこと」だけ。そしてSNSの誕生によってさらに闇に落ちていく。

基本的に「使う人次第」であることはもちろんですが、ネットを使いこなすのか、使われてしまうのか。これは、主体的に考えたい問題でした。

堀江さんの「iPhoneの名付け」はユーザー目線だからこそできたこと、という話には、なるほど!となりました。

「パソコンが手のひらに来た」というよりも、なじみのある「電話」にたとえたことで、誰にでもイメージがしやすくなりました。技術者発想だと出てこないコンセプトだと語っておられます。

「インターネットだけが、平成を語れる」という「情報革命」の時代から、いまはすべてのモノや行動がデジタル化される時代になりました。

AIで過去の偉人が復活して、政権運営をする、なんてSF的な話も現実になるのかも。

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』
https://okusama149.blogspot.com/2021/05/687.html


日本のネット黎明期を支えた企業の、誕生秘話を解き明かした『ネット興亡記 敗れざる者たち』も合わせて読むのがおすすめ。
https://okusama149.blogspot.com/2021/05/674.html



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