財閥と公権力の癒着は、韓国ドラマの定番テーマといえます。
呆れるほどの手口が披露?されたり、スルリスルリと法の網をすり抜けたり。
そんな悪党どもに対して、法律ではなく私的に復讐するドラマや映画を韓国では「サイダー」と呼ぶそうです。プッハーとスカッとするってことですね。
それくらい、闇が深いのだともいえますし、庶民の権力への絶望感が強いともいえそう。
ソン・ジュンギ主演のドラマ「ヴィンチェンツォ」の最終回なんて、サイダー感特盛でしたもんね。自分で「オレは悪党だから」と言わなきゃいけないのって、どうよ?とは思いましたが……。
数あるサイダードラマの中でも、歴代最高に残酷なエンディングと呼ばれたドラマが、韓国では2017年に放送された「ボイス~112の奇跡~」だそう。現在、Netflixなどで配信されています。
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ドラマ「ボイス~112の奇跡~」
https://www.netflix.com/title/80987095
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ソンウン地方警察の刑事ジニョクは、妻が殺される直前、112通報センターに助けを求めていたことを知る。容疑者が逮捕されるが、通報センターのグォンジュが声が違うと証言したため、釈放されてしまう。しかしグォンジュの父もまた、同じ日に殺されていた……。
シーズン1は、112通報センターに「ゴールデンタイム」チームが作られるところから始まります。「112番」は、日本の「110番」にあたります。
韓国に旅行する際、覚えておくといい電話番号はふたつ。
119番:消防と救急
112番:警察署
「110番」は現在、虐待相談に使われているのだそう。
イタズラ電話も多い通報センターが舞台とは、斬新というか、地味目の設定かと思いきや、バリバリの血みどろでした……。
残虐な方法で妻を殺され、自暴自棄になった刑事ジニョクを、チャン・ヒョクが演じています。
(画像はNetflixより)
“初めての”刑事役という紹介を読んで、そうだっけ?と思ったくらい、なにかを「探っている」役柄が多かったように思います。
「根の深い木」は、時代劇だから“刑事”にカウントされないのかしら。
ゴールデンタイムチームを立ち上げ、112申告センターを組織する司令塔カン・グォンジュは、イ・ハナが演じています。司令塔という役割の割には、現場に出て行っちゃうんですけど。
(画像はNetflixより)
通報があった後、3分で現場に到着し、状況を確認して10分で検挙できれば、被害者が助かる確率が高いのだそう。そんな安否を分けるタイムリミットが「ゴールデンタイム」です。
目指すところはグーだし、特別な費用がかかるわけでもないし、いいんじゃない?というプランだけど、チームは初っ端からつまずきっぱなし。
といのも、カン・グォンジュは、あらゆる音が聞こえてしまうという特殊な力を備えているから。人に話しても信じてもらえないんですが、この背景には「女だから」ってこともありそうです。
ボイスプロファイラーのグォンジュをリーダーに、チームは児童虐待や誘拐事件を追っていきます。そして、かつて家族を亡くした事件の背後に、町を牛耳る財閥が存在することが分かってきて……という展開です。
ジニョクも、グォンジュも、家族を殺されたという痛みを抱えながら、犯人を「逮捕」するために戦い抜きます。そんなふたりのドラマなのに、最終回が衝撃的だったんです。
真犯人を裁くのは、法か、私怨か。
と思ったら。
また別の「サイコパス」が登場するって……。
財閥と公権力の癒着は、まるでモグラたたきのように、ポコポコとわいて出てきます。同じように、人を人とも思わない人間も、なくなることはないのでしょうか。
シーズン2へのバトンなのかもしれないけど、わたしの中ではサイダーというより、どくだみ茶だなー。
シーズン2からは刑事役が交代してイ・ジヌクに。制作はシーズン4まで進んでいます。
ドラマ情報「ボイス~112の奇跡~」OCN(2017年)
監督: キム・ホンソン
脚本:マ・ジンウォン
出演:チャン・ヒョク、イ・ハナ、イェソン、ソン・ウンソ、ペク・ソンヒョン
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