韓国コンテンツを支える名バイプレーヤーたちには、大好きな俳優がいっぱいです。“おじさん”俳優の層の厚さこそ、おもしろさの指標といえるかもしれません。でも、女性陣だって負けてない。
パク・チャヌク監督の「親切なクムジャさん」、ユン・ジェギュン監督の「国際市場で逢いましょう」で、味のある演技をみせてくれたラ・ミラン。「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」のクソババアから、映画「82年生まれ、キム・ジヨン」で見知らぬ高校生を助けるおばさんまで、幅広い演技をみせるヨム・ヘラン。
こんな、名バイプレーヤーが“主役”となって、大暴れするコメディ映画が「ガール・コップス」です。
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かつて女性機動隊で活躍していた伝説の刑事・ミヨンは、結婚出産後、苦情センターに異動させられる。そこへ、義妹で熱血刑事のジヘが異動してくることに。ある日、一人の女性から相談を受けるふたり。アダルト動画サイトに動画を拡散されると脅されていたのだ。期限は48時間。相性最悪のミヨンとジヘは非公式捜査を開始するが……。
“大暴れ”と書きましたが、フェミニズム文脈に照らすと、なんともビミョーに感じる映画ではありました。理由はふたつ。
「女性も男性と同様に○○できる」
これは当然のことだと思うんです。だけど、
「女性が男性と同様の○○をする」
となると、ちょっとそれは違うんじゃないか。
刑事ものなので、アクションと切り離せないのは仕方がない。でも、女性刑事が男性のように闘わなくてもいいんじゃないか。それでなくても女性は、産休・育休を経て閑職にまわされるという「システム」と闘っているのだから……。
(画像はKMDbより)
そして、どちらかの優秀性を語るために、どちらかの性を貶めることはないのではないか、と思うのですよね。
映画に登場する「男性」は、ことごとくマヌケで、能なしで、情けない人ばかり。それが笑いを生むようにしたのだと思いますが、逆にムグムグとなりました。
「最も卑劣で、汚らしくて、醜悪な犯罪を、せいせいした気分がするように解決する愉快な映画を作りたかった」
制作意図についてこう語るジョン・ダウォン監督。調べてみたら男性だったので、正直、ちょっと意外でした。
派手目のアクションに挑戦するのは、ラ・ミランとイ・ソンギョン。天才ハッカー役を「少女時代」のスヨンが演じています。
「卑劣で、汚らしくて、醜悪な」脅迫事件を、窓際刑事が独自に追いかける。サボりを見張っていたはずの上司も実は……という展開は、たしかに「サイダー」感がありました。でも、わたしは「共闘」が見たいんだなと気が付きました。
2018年に韓国で公開されている映画なので、ちょうど『82年生まれ、キム・ジヨン』が出版された頃ですね。
たぶん、この頃はまだ熱が熱すぎて、これくらい“あからさま”にせざるを得なかったのかもしれません。韓国ドラマなんかを観ていると、フェミニズムを扱う手法も、徐々に洗練されてきているかもと思います。
ちょっとムグムグしちゃうけど、あっつーーい休日の映画にぴったりの映画です。女性はスカッとするかも。
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映画情報「ガール・コップス」107分(2018年)
監督:ジョン・ダウォン
脚本:ジョン・ダウォン
出演:ラ・ミラン、イ・ソンギョン、スヨン、ヨム・ヘラン、ユン・サンヒョン
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