かつての少女マンガといえば、フリフリでブリブリでクルクルな感じでした。そこに男同士の友情やBLを持ち込んだのが、竹宮惠子をはじめとする「大泉サロン」の漫画家たちです。
今日は少女マンガ界に革命を起こした漫画家・竹宮惠子さんの半生を綴った本『少年の名はジルベール』をご紹介します。
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『少年の名はジルベール』
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石ノ森章太郎先生に憧れ、徳島から上京した竹宮惠子と、福岡からやってきた萩尾望都、そしてふたりのブレーンとなる増山さん。練馬区大泉のアパートで始まった同居生活は、後に「大泉サロン」と呼ばれるようになります。
漫画家仲間はもちろん、漫画家になりたい人、マンガが好きな人が集まり、夜な夜な繰り広げられる議論と、ラブリーな少女マンガを描いてほしいだけの編集者とのギャップは大きくて、「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出來る」という高村光太郎の詩を思い出してしまいます。
そしてこの時期に議論されていたことは、今もまだあちこちで解決されていないのです。世の歩みのなんと鈍いこと!
普通でも共同生活は難しいのに、漫画家が二人+サロンに集う漫画家志望の女の子たち。互いに刺激しあえるうちはいいですが、誰かに圧倒的な才能を感じてしまうと厳しくなりますよね。
たった2年でサロンは解散、ようやく読者の目を意識できた竹宮さんも迷路を脱出。本当に描きたかった、ずっと温めていた漫画を描けるようになります。
やったことは、基礎の反復です。型があってこそ「型やぶり」ができる。感性だけで描いていた表現から、基礎をやり直し、自分の表現を手に入れていく辺りは、読んでいてゾクゾクしました。
往年のマンガファンだけでなく、表現に関わる仕事をしたいと思っている方におすすめ。
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