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わたしを悩ませる“センス”の正体 『センスは知識からはじまる』 #183


「考える→アイデアを出す→説明する→書いてみる」までいくと、自ずと感じるのが「センス」の有無です。こうして毎日noteを更新しながら、心から実感するのです。

わたし、ホントにセンスないわー。才能ないわー。

こんなにもわたしを悩ませる「センス」とは何なのか。

「くまモン」のアートディレクターである水野学さんは、著書『センスは知識からはじまる』の中で、「センスは生まれついたものではなく、あらゆる分野の知識を蓄積すること」と語っています。

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『センスは知識からはじまる』

(画像リンクです)

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本で語られている「センス」とは。

“「センスのよさ」とは、数値化できない、事象のよし悪しを判断し、最適化する能力”


「センス」が「能力」ということは、誰でも磨いて伸ばすことができるはずです。では、どうするか。水野さんは「普通」を知ることが大切としています。

「普通」を知るためには、「いいもの」と「悪いもの」の両方を知る必要がありますよね。その真ん中が分かることが第一段階。

普通を知り、その能力を向上させるためには、観察と几帳面さを維持することが大事とのことです。

効率よく知識を集め、センスをよくしたいなら、これ。

王道を知る

いま流行しているものを知る

「共通項」や「一定のルール」を探る


なぜこれだけ知識にこだわるのかというと、知識があれば、より自由に発想できるからです。

知識を「紙」、センスを「絵」にたとえ、知識があるということはそれだけ広い大きな「紙」を使える。だから自由な「絵」を描くことができるのだとしています。これはデザイン業界だけでなく、どんな仕事にも通じる考え方だと思います。

センスとは「知識の集積」だから。

本でこのくだりを読んでいて「あれ?」と思いました。ジェームス W.ヤングの『アイデアのつくり方』には、

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである。組み合わせるための情報をたくさん集めよ。

とあった!


はい、というわけで、「考える→アイデアを出す→説明する→書いてみる→センスを磨く」は、見事に円環の中にあることが分かりました。笑

「センスがないから分からない、できない」は、言い訳でしかない。分からないのは、センスを磨く努力をしていないから、と水野さんは言っています。キビシー。

でも、これが真実で現実です。

企画の仕事をしている、仕事力を上げたい、この春から社会人になる、という方は、こちらの順番で読むのがおすすめです。


・ジェームス W.ヤング『アイデアのつくり方』

・嶋浩一郎『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』

・西島知宏『思考のスイッチ ~人生を切り替える11の公式~』

・中村圭『説明は速さで決まる ~一瞬で理解される「伝え方」の技術~』

・橋口幸生『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』



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