「悲しんではだめ、泣いてもだめ、簡単に諦めてもいけません」
母の教えを守り、決してへこたれず、身分社会の壁を超えた女性・チャングム。その母の言葉です。
イ・ビョンフン監督の「宮廷女官チャングムの誓い」は、韓国だけでなく、日本でも大ヒット。歴史書にたった一行だけ書かれていた記録をもとに、壮大な歴史ドラマを作り上げる想像力がすごいですよね。
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ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」
DVD
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幼い頃に母を亡くしたチャングムは、宮廷の調理場である「水剌間」の女官となり、母代わりになってくれる上司と出会います。謀略により、またまた“母”を亡くして、自身も島流しに。母たちの復讐を考えるチャングムは、内医院の医女となり、再び宮廷に戻ることにしますが……。
当初は全50話で放送予定だったものの、ドラマがスタートすると大人気に。そこで話数を伸ばして全54話にしたとのこと。ですが、最後は大慌てで話が畳まれていく、というか、畳みきれずに終わってしまいます。笑
演出家のイ・ビョンフンは、韓国のMBCでドラマ監督として活躍した方です。
時代劇にPOPSの挿入歌を取り入れたり、セリフを現代語にしたりと、現代人が親しみやすいドラマへの改革に取り組みました。
「時代劇の巨匠」とも呼ばれる彼のおかげで、たくさんのドラマに出会うことができたなーと感じます。
「チャングム」の企画が立ち上がったときも、局からは「宮廷の料理なんてマネできるもんでもないし、視聴者がくいつかないんでは?」と、一度ストップがかかったそうです。それでも、「不死鳥のような、彼女のへこたれない人生は、現代人の心を打つはず」と信じて制作。
おまけに、主演女優のキャスティングにも苦労したと著書で語っています。
「チャングム」を演じたイ・ヨンエに声をかけたのは、多くの俳優にフラれた後でしたが、そんなことはおくびにも出さず、「あなたしかいない!!」と口説いたのだとか。
人に何かを依頼するときの礼儀を学べるエピソードだなと感じます。
すでに映画スターだったイ・ヨンエが、いまさらドラマに……?と言われても仕方がない中、不屈の女性を演じきった根性もすごかったなと思います。
初々しい研修生時代から、同僚の嫉妬と謀略、絶望と別れを経験して「大長今」という最高の称号を手に入れるまでの半生を描いたドラマ。
印象的だったのが、王が原因不明の病に倒れたときのことです。治療法を巡って対立する、医官とチャングム。彼女は医女なので、あくまで医師をサポートする立場なんです。
女の言うことなんて聞けるか。医女ごときの言うことに耳を貸すなんて。
身分による差別や、性別による差別がことあるごとに顔を出すドラマなんですよね。チャングムは、自分が主張する治療に命を賭けることになってしまうのです。
母の言葉を守り、決してへこたれずに、さまざまな苦難を乗り越えていくチャングム。母たちの復讐を遂げることができるのか。
でも、それははたして人生の目標なのか。胸熱の展開は、会社員の処世術としてもおもしろいと思います。
わたしはむかーしに配信で観たので、現在配信されている他のドラマは「字幕が洗練されたなー」という印象があります。ドラマの字幕版って改変もされるのかな。昔のドラマにもいいものがたくさんあるので、ぜひやってほしい。
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