「この人、すごぉぉぉいっ!!」
一度そう思うと、追っかけ生活が始まりますよね。わたしはアイドルにはぜんぜん詳しくないけれど、映画監督や俳優を一途に追いかけていくタイプです。
現在、どハマリしている小説家は、凪良ゆうさんです。
『流浪の月』と『滅びの前のシャングリラ』を読んで、「もっと……凪良節をください……」と本屋さんに行き、見つけたのが『わたしの美しい庭』でした。順番としては、『流浪の月』の後に発表されたようです。
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『わたしの美しい庭』
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小学生の百音は、「縁切りマンション」と呼ばれるマンションで暮らしている。マンションの屋上に「縁切り神社」があるせいだ。翻訳家の統理とふたり暮らしだが、隣室のバーテンダー路有とも毎日一緒に食事をする。屋上ガーデンにある神社には、悪癖、気鬱となる悪いご縁を断ち切りたい人がやってくるが……。
凪良ゆうさんは、BL作家として10年以上のキャリアを持つ小説家です。
2017年に初の非BL作品『神さまのビオトープ』を刊行していますが、単行本として発行されたのは『流浪の月』が初めてだったそう。
特徴として感じるのは、世間の一般的なモノサシだと「規格外」にされてしまう人物が登場することでしょうか。でも、決して自分を哀れむことはないし、できるだけ楽しく、こころ豊かに生きている。その姿に、ホロリとしてしまうんです。
『わたしの美しい庭』に登場する、百音ちゃんもやはり、世間から見ると「かわいそう」と思われてしまう小学生です。
5歳の時に両親を亡くし、母の元ダンナだった統理に引き取られることになります。統理は、古いマンションの屋上にある「縁切り神社」の宮司でもあります。
血のつながらないふたりの生活に、近所はコショコショ言うんですよ。同じマンションに住む桃子さんも、「いい年なんだから、早くお嫁にいかないと」と言われたりしてます。
よけいなお世話や! ほっといてよ!!
と言えれば、どれだけスッキリすることか。空気を読んで言い返せなかったり、モヤッとする原因がすぐに分からなかったり。そんなことを繰り返す中で、心は小さく小さく傷ついていくのだと思います。
路有の失恋話、桃子さんの恋バナなど、傷を抱えながらも、人は生きていくのですけれど。「踏ん張る」とか、「努力する」とか、そういう力の入った感じがないんです。
だから、とてもなぐさめられます。あと、面と向かって言えないことは、口にするもんじゃないなという教訓もあるかな。
こまめに庭を手入れし、「人形(ひとかた)」に込められた想いを祓う統理。祈りを捧げる人たちの光と影は、モネの絵画のようでした。
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