最近読んだ本の中で、一番衝撃を受けたのが、中藤 玲さんの『安いニッポン 「価格」が示す停滞』でした。
日経新聞の連載をまとめて書籍化したものなので、ご存じの方もいるかもしれません。
製品の値上げができないので企業が儲からない
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企業が儲からないから賃金が上がらない
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賃金が上がらないから消費が増えない
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消費が増えないから、結果的に物価が上がらない
これが日本の「購買力」が弱くなった原因だそう。
『安いニッポン 「価格」が示す停滞』では、他の国の「ビッグマック」や「100円均一」の値段を比べながら、いかに日本の価格が「安値固定」になっているかが紹介されています。
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『安いニッポン 「価格」が示す停滞』
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10年くらい前のこと。「カントリーマアム」の好きな後輩がいました。夕方になるとコンビニで「カントリーマアム」とコーヒーを買ってきて、ひと息入れるのを習慣にしていたんです。
ある日、後輩が立ち上がって叫びました。
「カントリーマアムが小さい!!!」
見せてもらうと、「ミニサイズの袋を買ったんじゃないの?」なんて言いたくなるほど、ふたまわりくらい小さくなったクッキーが。
こうまでしてでも「値上げしない」という戦略をとらざるをえない。値上げに対する抵抗が強いのが、日本の消費者なのだと、本でも指摘されています。
値段が上がる方がショックか。小さくなる方がショックか。
悩ましい気もしますが。
商品のサイズを変えるためには、もろもろの改良や研究が必要です。こういう仕事のことを、東京大学の渡辺教授は、こう語っています。
ニューヨークの弁護士事務所に勤めることになった方の年収が話題になっていましたが、日本を基準にして考えるから話がおかしくなるのだと思います。
2019年に、コンサルティング会社が、世界の大卒入社1年目の基本給を調べた結果が紹介されていました。
アメリカ:629万円
ドイツ:531万円
フランス:369万円
韓国:286万円
日本:262万円
IT人材の年収だと、アメリカでは20歳代で1千万円超。ピークの30歳代では1200万円超。
日本はというと、30歳代で520万円なんです……。
日本の富裕層が多く住んでいるといわれている、東京都港区の平均年収1200万円は、サンフランシスコでは「低所得」なんですから、ひょえーーーーとしかいいようがない。
10月から小麦が値上がりしたため、パンやお菓子の値段が上がることが予想されています。電気料金とガス料金も値上がりしました。
食料品や水道光熱費が値上がりすると、生活直結で痛みが出るけれど。
30年間、価格が上がっていないことの方が異常なのだと、まずはその認識をあらためる必要がありそうです。
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