子どもの好奇心をそのまま伸ばしていたら……。
いまではベストセラー作家になっていたかもしれないし、ハリウッド映画に出演していたかもしれない。なんて思うことがあります。
子育てにも、勉強にも、大事だといわれているのに、なぜ「将来に役立つ」ものばかり優先するようになってしまうのでしょう。
大人になっても子どものまんまの好奇心を活かし、ノーベル物理学賞を受賞したリチャード P. ファインマン氏は、子ども時代、「なぜなに坊や」だったことがエッセイに綴られています。
著者初のエッセイ『ご冗談でしょう、ファインマンさん』は、型にはまらない発想の原点が垣間見える一冊です。
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『ご冗談でしょう、ファインマンさん』
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リチャード P. ファインマン氏は、アメリカ出身の物理学者で、1965年にシュウィンガー氏や朝永振一郎氏とともにノーベル物理学賞を共同受賞されました。
量子力学で偉大な功績を残し、近代物理学への功績が大……だそうですが、そういう難しい知識がなくても十分楽しめます。ウィットに富んでいるというか、ユーモアにあふれているというか。
聡明で、いたずら好き。絵を描き、太鼓を叩き、人生を大いに楽しむ物理学者。
「物理学者」というと、眉間にしわを寄せて、実験室で計算に没頭しているような姿を思い浮かべてしまいますが、たぶん正反対の極にいます。
続編として出ている『困ります、ファインマンさん』も、大笑いしながら読みました。『ご冗談でしょう、ファインマンさん』は上下巻あるので、長い文章を読むのが苦手な方は、こちらの方が読みやすいかも。
息子を科学者にしたいと考えていた父の影響も大きかったようですが、子どもの素直な好奇心に応え続けたご両親がすばらしいと思います。あれだけ、「なんで?」を連呼されたら、イラッとしちゃいそうですけど……。
エジソンは、「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」と語ったそうですが、ファインマンさんも、言い訳とあきらめに対する厳しい言葉を残しています。
『困ります、ファインマンさん』より
こうした言葉で、自分を鼓舞し続けていたんでしょうね。いや、すでにもう「鼓舞」ではなくて、「習慣」だったのかもしれません。
長いエッセイを読んで、強く感じました。
既成概念を超えて物事をとらえ、何事もやってみて、考える。
それだけで、人生は楽しくなるのだと。
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