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『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』#986


ウソみたいなホントの話に、壮絶な努力に、壊れかけた家族の再生に、涙が止まらなかった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』。

こんな話だと思ってなかったよ……。

通称「ビリギャル」と呼ばれた、教育についてのフィクション小説です。

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『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』

(画像リンクです)

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話題になっていた時にはスルーしていて、今ごろになって読みました。きっかけは、「ビリギャル」こと、小林さやかさんが、UCLAとコロンビア教育大学院に合格されたという話を聞いたから。



めちゃくちゃおめでたい!!!

でも、さやかさんは高校2年生の段階で、「JAPAN」の意味は「ジャパーン」だと思っていた方なんです。

マジか!?という段階から偏差値を上げて慶応大学に合格するまでには、当たり前だけど壮絶な毎日があったことが伝わってきます。今回のTOEFL受験に至るまでの勉強方法もYouTubeにまとめられています。


本の中で衝撃を受けたのは、さやかさんのお母さん(ああちゃんと呼ばれているそう)と、坪田先生の、徹底的に相手を肯定する姿勢です。


ここから書くのはイベントでお聞きした話で本には載っていないのですが、子育ての姿勢として象徴的だったので紹介しますね。

小学校のときに習い事をしたいと思ったさやかさん。お母さんにお願いして通うことになりますが、わりとすぐに飽きてしまったそう。「辞めたい」というさやかさんに、さて、何と言いますか?

「せっかく通わせてあげたのに!」

「あんたが行きたいって言ったんでしょ!」

なんて、わたしの場合は言われてましたね……。自分でも言いそうな気がします。

でも、さやかさんのお母さんは違う。

「自分で決められてエライね!」

これを聞いて、(!!!!!)ってなりましたよ……。


こうしたお母さんの姿勢は本の中でも紹介されていて、子どものことを全肯定し、とことん寄り添い、励ます「あり方」が、もう涙なしには読めない。

そして坪田先生の関わり方も、「相手に興味を持って、とことん信じる」って、こういうことなのか!と、目からウロコがボロボロ落ちました。

さやかさんが前向きなエネルギーにあふれていて、どんなことがあっても自己肯定感が下がらないのは、こうした大人に出会えたからなのかもしれません。

アメリカで教育学を学び、ああちゃんや坪田先生のような人を増やしたい、と語る元「ビリギャル」。日本の「トップ博士ギャル」になる日も近いかも。

ちなみに。

単行本には受験勉強のポイントが書かれているんですが、文庫のほうには省略されているそうです。参考にしたい方はご注意くださいね。

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