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『竹内政明の「編集手帳」傑作選』#981


いまの流行と、自分の理想。そのギャップにずっと悩んできました。

「#1000日チャレンジ」を始める前、通っていたライター講座で、何度か講師の方から(参加者からも)言われた言葉がありました。

「自分が好きなライターの文章を“写経”するといいですよ」

やりました。何人ものライターさんの、何本もの記事。でもぜんぜんしっくりこない。好きなライターさんだけでなく、人気のライターさん、バズっている記事も“写経”してみましたが、やっぱり何かが腑に落ちない。

悩み続けて、やっと原因が分かりました。

ウェブで読まれるコラムと、わたしが理想とするコラムは、構造が違うことに。

「紙」で育った世代のせいか、わたしは「起承転結」のある文章が好きです。中でも「起」から「転」への角度が急であるほど、「おおっ!」という思いが強くなる。すべての流れを受ける「結」には、ジグソーパズルの最後のピースがピタッとはまるような快感がある。

読売新聞の「編集手帳」を担当された竹内政明さんのコラムは、ドンピシャでわたしの理想でした。

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『竹内政明の「編集手帳」傑作選』

(画像リンクです)

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竹内さんは、読売新聞社に入社後、財政、金融などを担当して、1998年から論説委員を務められました。

新聞社などでよく見る肩書きの「論説委員」。似たものに「編集委員」がありますよね。

専門の分野のコラムや記事を書くのが「編集委員」、社説などで社の論調を書くのが「論説委員」なのだそう。

なんかすごそう……な肩書きですが、竹内さんのコラムは徹底した「下から目線」なんです。

“私の書くコラムというのはよくへそ曲がりだといわれまして、大体電報と一緒で、勝った人にそっけないんですね。負けた人に手厚い。”

たとえばソチ・オリンピックの期間、「勝った」選手を取り上げたのは2回しかなかったと綴っておられます。

歌舞伎に落語、相撲や童謡など、時には町で耳にした子どもの言い間違いから話が始まり、時事問題へとつながっていく。

深い教養があるからこそ、こうした「起」を書き出せるのでしょうね。

構成の練り具合、言葉の選び方、目線のやさしさに惚れてしまい、読売新聞は読んでないけど、竹内さんのことはずっと尊敬しているという、おかしな具合になっています。

ただ、会社の後輩(20代女性)3人に『「編集手帳」傑作選』の1本を読んでもらったところ、

・何が言いたいのか分からない

・だらだら長い(500文字もないのに!!)

・結論が分からない

と言われてしまいました……。

聞いてみると、新聞や書籍ではなく、ネットでニュースを知り、記事を読むとのこと。

たった「N=3」で乱暴な結論かもしれませんが、これは好みの問題以上の問題を含んでいるのかもしれないと思います。あっちの話とこっちの話をつなげる「思考力」や「読解力」について、考えさせられた出来事だったんですよね。

もちろん、わたしに「思考力」や「読解力」があるわけでもないので、ガーーーーーンとなって途方に暮れたのですけれど。


「#1000日チャレンジ」も残り20日を切り、もっとこうすればよかったかなと思うところはありますが、これだけ書いても自分の理想は変わりませんでした。

ネットでさまざまなニュースやコラムを読む人が増えたいま、SEOの知識や、「ネット受けする」書き方を知ることも大切だと思います。

読まれることと、自分がやりたいことは、トレードオフなのだろうかと考え続けた時間でもありました。何かの知識を得るのではない読書や、知識から知恵を作り出し知性とする体験を、求め続けているようにも思います。

なんてことを突然思ったのには理由があります。

長い間ほったらかしにしていたInstagramの投稿を100日間がんばってみようと、始めたのですが、DMがいっぱい来るんですよ。Twitterの比じゃないくらいの量!

その内容が、だいたい一緒です。

このアカウントもっと伸ばせるよ! やり方を知らないのはもったいなーい! 代わりに運用してあげるよ! わたしにお任せ!!

「余計なお世話や」という気持ちと、「わたしがフォロワー獲得を目的にしてないことぐらい分からんか?」という疑問と、「わたしのインサイトも想像できない人に頼もうとは思えないっす!笑」というツッコミが沸いたから。

日々の営業活動お疲れさまですが、もう少しちゃんとアカウントを見てね……と思ってしまったのでした。あと、名前を間違わないでね……。

それにしても、あと18本だなんて、まだぜんぜん信じられない気分。

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