「人は誰でも一冊は本が書ける」といわれています。つまり、自分の人生を語るということですね。
人生最大のピンチや、人生が転換した出来事を語る「ザ・モス」という舞台があるそうで、15の物語を集めた『本当にあった15の心あたたまる物語』を読んで、初めて知りました。
YouTubeに動画もありました。
「あなた自身のことをお話しください。あなたがどのようにして今の『あなた』になったのか、その物語を教えてください」
語り手となる人にそう伝えて、普通に平凡に生きている人が、人生の一大事を語る「ショー」だそう。本に収録されている人の中には有名人もいますが、ほとんどは市井の人です。
マザー・テレサの手術室で、宇宙空間で、バイクの上で、見知らぬ人からの手紙で、人生が変わる。
本当に胸にしみる物語でした。
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『本当にあった15の心あたたまる物語』
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特に印象に残ったのは、マイケル・マッシミーノという元宇宙飛行士の語る、絶体絶命の物語です。
4度目の挑戦で、ようやくNASAに合格したマッシミーノ氏。宇宙空間に浮かぶハッブル望遠鏡を修理するミッションを受け、宇宙へと向かいます。
なんだか映画みたいな展開ですよね。
ハッブル望遠鏡の電力供給装置が故障したため、プロジェクトが組まれたのですが、問題は扉が開かないこと!
宇宙空間でうっかりパネルが開かないよう、固定されたネジは接着剤を流し込んでネジ穴をなくしてあるからです。
次々と起こるトラブル。寒さと孤独。地上からも、シャトルからも、後方支援部隊が“待って”いる。
プレッシャー!!!
超絶な状況に追い込まれていたわけですが、彼は、自分にはちゃんと「仲間」がいたことに気が付くんです。
ホロリとしちゃった……。
「仲間」というのは、不思議な存在だと思います。
励まし合い、支え合い、共に泣き、共に笑う。
そんな、ベタなスポ根ドラマみたいな様子を想像してしまうのは、わたしが「群れ」が苦手なせいかもしれません。
教祖と取り巻きのような関係には、健全な印象をもてないし、褒め合うだけでフィードバックがないのも、ちょっと違う気がしてしまう。
「ザ・モス」の舞台に上がった人たちは、それぞれ自分がひとりではなかったことに気が付く瞬間があるんですよね。相手と自分を結ぶ、信頼に気が付くともいえます。
「仲間」と呼べる人との信頼口座に、自分はどれだけ信頼を貯めているだろうか。
そんなことも、ふと頭をよぎりました。
普通に平凡に生きている人が語る、人生の転機。「ザ・モス」の日本版がほしいな。
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