ドラマ「私の名前はキム・サムスン」で、「心に傷を持つ御曹司」を演じ、人気俳優となったヒョンビン。今年は主演映画が2本、日本で公開されています。
ひとり「ヒョンビン祭り」と称して対照的な映画を続けて観てみたら、ヒョンビンが魅力的に見える条件がなんなのか分かったんです(ような気がするんです)。
キーワードは“強い女”です。
昨日の記事では「ザ・ネゴシエーション」でヒョンビンが演じている犯罪組織のリーダーと、女性ネゴシエーター(ソン・イェジン)との対決において、“強い女”がヒョンビンの演技力を高めているという話をしました。
映画「ザ・ネゴシエーション」
https://note.com/33_33/n/nd13ccb08e6d1
2作目は「王宮の夜鬼」です。韓国では2018年に公開され、日本ではこの9月に公開が始まりました。
原題の「창궐(チョンゴル」は、”荒れ狂う”ことを意味します。韓国版ゾンビ“夜鬼(やき)”が荒れ狂う中、“人間vs.ゾンビ”、そして“人間vs.人間”の戦いを描いたパニックアクション映画です。
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映画「王宮の夜鬼」
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物語の舞台は朝鮮時代。謎の疫病が発生し、病に感染した「夜鬼(やき)」が暴れまわる世界です。清から帰国した王子イ・チョン(ヒョンビン)は、武官らと協力しながら王宮に向かいます。 一方、国王の側近キム・ジャジュン(チャン・ドンゴン)が、夜鬼を利用してクーデターを企んでいることが発覚。イ・チョン王子はキム・ジャジュンの暴走を止められるのか!?
王子様のヒョンビンと対立し、王位を狙うキム・ジャジュンを演じたのは、韓流四天王のひとり、チャン・ドンゴンです。濃い~顔立ちが印象的な俳優で、これまでに5回、青龍映画賞を受賞しています。韓流映画ブームの火付け役となった「友へ チング」や、「ブラザーフッド」など、多くの映画で主演を務めています。
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映画「ブラザーフッド」
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「王宮の夜鬼」も「インサイダーズ/内部者たち」や「神と共に」シリーズ同様、韓国のウェブ漫画が原作です。
「王になんて、なりなくない。女と一緒に清に戻りた~い」って言ってるナイーブな王子様が、民と協力してゾンビに立ち向かう過程を通して王としての自分に目覚める、というテーマなのですが。
時代劇+ゾンビ+王子様+裏切り+クーデターと、要素がモリモリすぎてテーマがぼやけてしまったかなという気がします。
向かうべきは、チャン・ドンゴン演じるキム・ジャジュン!
憎き相手だ! 切り倒せ!
と、ならないんですよ……。
【ここからちょっとネタバレあります】
白目をむいて、すごいスピードで走り回る“夜鬼”もすごいし、ヒョンビンの華麗な剣さばきもすごい。
ご存じのように、ゾンビは致命傷を与えない限りは何度でも復活してしまいます。ま、雑魚なので、主人公がやられるわけはないと思いますよね。
やられちゃうんです。(どちらが、までは言いません)
でも、急いで咬まれた腕を切り落としたせいか、完全ゾンビ化はしないんですよね。燃え盛る火の中を、フラ~ッと立っているだけ。おっそろしい目でにらんでる姿は、「ブラザーフッド」の戦場シーンを思い出させます。
もう少し、ゾンビになってしまったことへの悲哀も見たかったかなと思います。
この映画でヒョンビンが対決するのは、ゾンビである“夜鬼”と、クーデターを企むキム・ジャジュンです。どっちにせよ、ゾンビは王子様の相手ではありません。ここで大事なのは、ヒョンビンを輝かせる条件。
対決相手は“強い女”であること。
でも、この映画には、その“強い女”がいないのです! 敵役はチャン・ドンゴンだし、お目付け役として常にそばにいるのは内官(男性器を切り落とした宮廷人)だし。ヒョンビンを輝かせるものがない!
アクション、よし! 衣裳、よし! セット、よし!
3点そろってサイコーに迫力満点なのに、主演のふたりが直接対決するとフラストレーションがたまるという、不思議な体験をしました。
こうして2本続けて観ることで、違いがはっきり分かってよかったです。そしてあらためて、これまでのヒョンビン出演作で彼を支えた女優たちの実力を感じたのでした。自分に足りない要素を補完できる人と組むのは、大事ですね。
今後、ヒョンビンが出演するドラマや映画を観ようかどうしようか迷ったときはぜひ、ひとつの指標にしてください。
そこに“強い女”はいるか?
映画情報「王宮の夜鬼」121分(2018年)
監督:キム・ソンフン
脚本:ファン・ジョユン
出演:ヒョンビン、チャン・ドンゴン、チョ・ウジン
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