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つらすぎる経験を乗り越えて 『タイムマシンで戻りたい』 #208


今週からは「電車の中で読んではいけない」本をシリーズにしてご紹介したいと思います。

まずは、『タイムマシンで戻りたい』から。

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『タイムマシンで戻りたい』
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「日本うんこ学会」という、マジか!?という名前の団体があるそうです。電話を取る時、なんて名乗るんだろう? 銀行の窓口で名前を呼ばれる時はどうするんだろう? 思わず考えてしまいますね。


名前はアレですが、「大腸がん検診率向上」を目指すいたってマジメな団体で、現役のお医者さんが立ち上げた組織です。この団体がまとめた『タイムマシンで戻りたい』は、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群など、お腹が急に“クルクル”してしまう病を抱える人たちに、

「あなただけじゃないよ」

と励ますための書なんです。


好きな女の子とドライブ中に“クルクル”。

小学校の帰り道。家まで100メートルのところで“クルクル”。

友達の家に遊びに行き、エレベーターに乗ったところで“クルクル”。


といった、お腹“クルクル”病の人たちのエピソードが紹介されています。笑っちゃいけないけど、申し訳ないんだけど。

抱腹絶倒!!!

電車の中や食事中に読んではいけない本です。わたしは飛行機の中で読み始め、ダンナに怒られるくらい笑ってしまいました。

というのも、ダンナもお腹“クルクル”病なんです。

わたしたちが旅行をする時に団体旅行やツアーを選ばない理由は、ただひとつ。ダンナのトイレタイムのためです。

以前、日本武道館まで車で送ってもらう途中、ランチを食べてしまったわたしたち。無口になったダンナは突然路肩に車を止め、言いました。

「タクシー代あげるから、ひとりで行って」

どこかも分からないところで置き去りにされ、猛スピードで走り去っていく車を見送ったこともありました。

過敏性腸症候群(IBS)という病は、ストレスが原因となって起こるのだそうです。なかなか相談もしにくいことから認知もされにくい。でも。

「あなただけじゃないよ」

そう励ますことで、病院を受診するきっかけにしてください、という本。お腹の悩みを抱えている人は、ぜひご一読を。読めば勇気づけられる……かも。

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