今月は新型コロナウイルスの感染予防のため、全体の勉強会を中止にし、夜に実施予定だったセミナーも延期……という事態になっています。残念。
1月に実施した若手向けのセミナーは、人材紹介会社の方からもほめてもらった内容でした。テーマは「失敗から学ぼう」で、カンタンに言うと会社版「しくじり先生」です。
失敗したくない。100点とって、いいところを見せたい。
「学校秀才」のワナという気がしますが、気持ちはとても分かるんです。でも失敗してくれないと、何が分かってないのかも分からない。だから失敗を恐れるな。失敗したからって評価は下がらないし、怒られないよ、と言葉で言っても挑戦を避けようとする。
だったら先輩方に「失敗から学んだことを話してもらおう」というセミナーでした。
終わってみて、「自分と同じ失敗を、先輩もしたことがあると聞いて安心した」という声や、「一つひとつの失敗に落ち込まなくていいんだなと思った」という感想をもらいました。わたしが紹介した失敗は、ちょっと引かれたけど。笑
そう語るのは、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出されたこともあるデザイナーの佐藤オオキさんです。
佐藤さんは400を超えるプロジェクトを同時進行させているそうで、プレゼンの影には当然、累々たるボツ案があります。その“渾身の”ボツ案を一挙に集めた本が『佐藤オオキのボツ本』です。
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『佐藤オオキのボツ本』
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プロダクト類をプレゼンする時には、3Dプリンターでリアルサイズの模型を作っていくそうです。自動販売機の横に置くゴミ箱、美容院の椅子、野菜のパッケージなどなど、多くのボツ案が紹介されています。
おもしろかったのが美容院の椅子のプレゼン。
こんなことできたらいいな♪
奇抜な発想のアイディアを持っていくのですが、「美容院の椅子は重いのでムリです」と瞬殺。
それでも佐藤さんは「そっかー!」で次にいくのです。数あるアイディアのひとつが消えただけ。議論を深めるための「たたき台」だから、よりよい方向が絞り込みやすくなった、くらいのおおらかな受け止め方はうらやましくなります。
佐藤さんほどの割り切りとハートの強さを求めるよりは、社内の空気を作る方がいいので、先述のセミナーの前には先輩たちへの研修を行いました。
本当に怒られない。
その安心がないと失敗もできないから。
特に、フィードバックのやり方を知らない人にダメ出しされると、自分を否定されたように感じてしまうので注意が必要です。ボツへの対応は素の自分が出てしまいがち。なので、セミナーでは「怒る/叱る」の違いも説明しました。
叱る:改善すべき点の指摘
たとえば上司に「叱られた」なら、ありがたく受け止めるのがいいいと思います。ですが、「怒られた」なら、それはパワハラの可能性がある。きちんと言葉を使い分けるって、大事なんです。
ボツから話が離れてしまいましたが、「失敗」から学べることはたくさんあります。佐藤オオキさんの芸術的な「ボツ案」を楽しんでみてください。ボツになっても美しいのは、本気のアイディアだからだと思います。
それをボツにされることを恐れない。
ボツを生み出すことは、成功へ向けた一歩なのです。
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