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笑いは権力者に立ち向かう武器になる 『彦一さん』 #369


 「あわてない、あわてない。一休み、一休み~」

つるつる頭を働かせて権力者をやりこめる一休さんは、子どもの頃楽しみにしていたアニメのひとつです。実在の一休和尚の幼少期がモデルだそうですが、さまざま伝説を組み合わせた物語なので史実とはだいぶ違うのだとか。絵本やアニメの元になっているのは、江戸時代に作られた『一休咄』です。

アニメの影響か、「とんち」というと一休さんのイメージですよね。でも、わたしが子どもの頃親しんでいた「とんち」といえば、『彦一さん』と『吉四六さん』でした。

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『彦一さん』
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『吉四六さん』
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一休さんはお殿様ら権力者の高慢を「とんち」でやり込めるお話が多かったんですよね。一方の彦一さんや吉四六さんは、村の庄屋さんや大人、泥棒、意地悪な動物たちと対決する話がほとんどです。これは物語設定上の立場の違いかもしれません。

貧しい生活や権力者の横暴に切り込む「とんち」。笑いが権力者に立ち向かう武器となるのです。ただ、『彦一さん』には、勝ってばかりじゃなく、失敗してトホホとなるお話も。そんなところが好きで、小学生の頃は図書館で毎週のように読んでいました。

現在、わたしが持っている本は、上にあるAmazon品のようにカラフルで絵入り。子ども向けの本のようです。でも、昔読んでいたのは薄茶色のカバーで文字だけの本でした。あれはどこの出版社のものだったのかなー。

彦一さんも吉四六さんも、熊本周辺に伝わる民話の登場人物として扱われていますが、もともとは上方落語の始祖と呼ばれる米澤彦八の噺だったそうです。「彦八」の名前が九州上陸時に「彦一」となったという説も。

「とんち」と、上方落語。

探してみると原型が同じと思われるものがありました。「米がきらい」というお話です。

彦一に痛い目にあわされたキツネは仕返しを試みます。
それを知った彦一は、家の前に米粒をまき、「こんなに散らかして困ったな。おらは米が嫌いなのに」と言いながらホウキではきました。

その姿を見たキツネ。翌朝、家の前に米をいっぱいまき、その次の日には米一俵を放り込む。

おかげで彦一さんとお母さんはお正月に白いご飯が食べられました。


古典落語の「まんじゅうこわい」そのままですよね。なんと中国にも似たような昔話があるそうです。

彦一さんと吉四六さん。そして上方落語。長じては、ファンタジー小説や神話、ユーモア小説、ショートショートを読むようになり、わたしを本好きにしてくれたのは、これらの民話だったのだなと気がつきました。

20代になってからは推理小説やノンフィクションばかり読んでいたわたしに、SF小説や時代小説のおもしろさを教えてくれたのが、夫でした。通称「でぶりん」といいます。

その「でぶりん」は、80年代初頭くらいまでの映画にめちゃくちゃ詳しく、アカデミー賞の作品賞や監督賞をソラで言えるような人なんです。古い映画の魅力を語らせたら、めんどくさいくらい延々としゃべっています。

そんな「でぶりん」と結婚したのが2000年の7月16日。今日で結婚20年となりました。

結婚願望がゼロのわたしがまさか結婚することになるとは思わなかったし、いつかは京都に帰りたいと思っていたのにずっと東京暮らしになるとは思わなかった。まったくの想定外だったけど。

人生、想定外に伸びていく方がおもしろいかも。

紆余曲折ありながらの20年。お互い、よくガマンしたよねーと言いつつ、割合としては8:2でわたしの方が多い!と主張してケンカになります。結婚式を7月16日にしたのも、わたしの誕生日だから覚える記念日がひとつになって便利!という理由。あ、なんかムカついてきた。

この一年は、彦一さんのような「とんち」で切り返す力を磨きたいなと思います。

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