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時空を超えて届く未解決事件のヒントがエモい ドラマ「シグナル」 #521


「週刊少年ジャンプ」の方程式といえば、「友情・努力・勝利」ですが、最近の韓国ドラマにおける黄金の方程式といえば「復讐・格差・初恋」ではないかと思います。

2020年の流行語大賞トップ10に選ばれた「愛の不時着」はもちろん、「梨泰院クラス」や「スタートアップ:夢の扉」など、日本でも人気になったドラマはどれも3つの要素を取り入れていました。

友人から「ヒョンビン演じるリ大尉ってセリが初恋の人なの?」という疑問をもらったので、ちょっと補足。ドラマの中でリ大尉のことを“母胎ソロ”と呼ぶシーンがあるんです。“母胎ソロ”=母胎から出てきて以来、ずーっとソロという意味の韓国語なので、おそらく彼はセリに会うまで恋をしたことがなかったのではないかと思われます。

閑話休題。

「復讐・格差・初恋」を活用した刑事ドラマなら、断然「シグナル」がおすすめ。キネマ旬報が主催する「プロが選ぶ! 【第1回 韓国テレビドラマコレクション大賞】」にて、総合第1位を獲得したドラマです。

☆☆☆☆☆

ドラマ「シグナル」
https://www.netflix.com/title/80987077

☆☆☆☆☆

<あらすじ>
警察のプロファイラーであるパク・へヨンは、廃棄処分となっていた無線機を見つける。そこへ突然、イ・ジェハンと名乗る刑事から、15年前の誘拐事件の手がかりを伝える声がする。事件はヘヨンの同級生が犠牲となり、未解決となっていた。これをきっかけにふたりの交信が始まるが、情報を伝えるイ・ジェハン刑事は過去の人間で、上司であるチャ・スヒョン刑事がずっと探している人物だった……。


未解決事件チームに配属されたパク・へヨンとチャ・スヒョン。演じるのは若手実力派俳優イ・ジェフンと、キリッとしたアネゴ肌のキム・ヘスのコンビです。過去からメッセージを送ってくる人物であり、スヒョン刑事の先輩でもあるイ・ジェハン刑事はチョ・ジヌンが演じています。

もー、わたしの好きな俳優ばっかり!!!というわけで見始めたのですが、あっという間に夢中になってしまうサスペンスドラマでした。

現在(2015年)では未解決になっている事件の、発生現場にいるのがジェハン刑事なのです。無線がつながるのは、1990年代の後半から。時には6年くらい連絡が途絶えていることも。へヨン刑事からすると1週間なんですけど。

竜宮城とのやり取りのようですが、うまく通信できれば事件を防げるかもしれない。でも、過去を変えてしまえば、現在が変わってしまう可能性も。

それでも生きていて欲しい人がいる……。さあ、どうする!?

未解決事件には、証拠が足りなかったものもありますが、警察のミスによって迷宮入りしたものもあります。その裏に隠された秘密に、泣く……。イ・ジェフンの熱演と、キム・ヘスの二役、チョ・ジヌンの正義感のハーモニーに釘付けになってしまう。

スマホという便利な通信機器を持ついま。気まぐれにつながる無線機や、アナログの腕時計、オムライスといったレトロな小道具も、ドラマを盛り上げています。ああ、これが「エモい」ってことなのかと納得しました。

キム・ウォンソク演出×キム・ウニ脚本コンビの最高傑作だと思います。


ドラマ情報「シグナル」tvN全16話(2016年)

演出:キム・ウォンソク

助演出:イソ・ジェジュン、キム・エジ

脚本:キム・ウニ

音楽:キム・ジュンソク、バク・ソンイル

製作:A Story

出演:イ・ジェフン、キム・ヘス、チョ・ジヌン

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