韓国にも「マドンナ」と呼ばれる歌姫がいます。
1993年に歌手としてデビューし、90年代後半に「セクシークイーン」として君臨したオム・ジョンファです。ファッションリーダーとしても注目され、「美容整形に失敗しちゃった~」なんてことも開けっぴろげに話す、かっこいいアネゴなイメージも。1998年に発表した4集「Invitation」のおかっぱヘアは一大ブームになりました。
ドラマや映画にも出演し、女優としても活動しています。中でもファン・ジョンミンと夫婦役を演じた「ダンシング・クィーン」は、コメディの才能を開花させた作品といえるかも。
でも、この時はまだ、「ポップスターのオム・ジョンファ」という印象が強かったと思います。映画の役柄も、そんなキャラクターを活かしたものでしたし。
それが、この2月に公開された「ノンストップ」では、コメディエンヌとして一皮むけた姿を見せてくれました。飛行機の乗員・乗客を巻き込んだ、ドタバタコメディです。
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映画「ノンストップ」
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揚げパン屋を営むミヨンは、パソコン修理工の夫ソクファンと娘と家族3人、つつましくも幸せな生活を送っていた。ある日、ハワイ旅行に当選した一家は人生初の海外旅行に旅立つが、搭乗した旅客機には北朝鮮のテロリストが乗り合わせていた。旅客機はテロリストにハイジャックされて危機に陥るが……。
市場の“おばちゃん”として、たくましくも、愛らしくもあるミヨンを演じるオム・ジョンファ。夫のソクファンを演じるパク・ソンウンが身長187cmとめちゃくちゃデカイ俳優なので、ふたり並ぶととてもかわいらしく見えます。
(画像はKMDbより)
ミヨンにも、ソクファンにも、秘めた過去があり、それがハイジャックという危機的状況を切り抜ける切り札になります。
というと、シュワちゃんの「トゥルーライズ」を思い浮かべてしまうのですが、狭い飛行機の中でのアクションや、飛行機から飛び降りるシーンなどなど、いろんな映画のいいとこ取りをしたような感じはありました。いい意味で。
ちなみにこの映画は、韓国初の「ハイジャックもの」なのだそう。美術スタッフは、約2週間にわたってパズルのような部品を組み合わせて飛行機のセットを完成させたそうで、チェックに来たボーイング社の担当者も褒めてくれたらしい。おかげでとてもリアルです。
激しく残念だったというか、こんなもったいない使い方あるのか!!と思ったのが、キム・ナムギルの登場シーンです。「高所恐怖症のビジネスマンがイヤイヤ飛行機で出張に行く」風で、何をやってくれるんだろうと期待が膨らむんですよ。
(画像はソウル経済より)
よく見ると、日本版のポスターには名前があるけど、韓国版にはない! そういうことかと納得してしまったのでした。
ミヨンは、「クァベギ」という、ねじり揚げパンのお店を開いています。これぞ庶民のためのB級グルメで、カリッとサクッとしていておいしいんです。映画の冒頭は、オム・ジョンファが揚げパンを作る様子をシズル感たっぷりで見せてくれます。「ノンストップ」もB級感あふれているけど、カリッとサクッと楽しめる映画です。
映画の後、ねじりドーナツを思わず買ってしまった。日本だと砂糖とかきなこをまぶされちゃうんだよな。
映画情報「ノンストップ」100分(2019年)
演出:イ・チョルハ
脚本:シン・ヒョンソン
出演:オム・ジョンファ、パク・ソンウン、イ・サンユン、ペ・ジョンナム、イ・ソンビン、キム・ナムギル
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